ドル円ユーロ投資戦略






2007年12月03日(月) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:「サブプライムローン問題」と「ドル金利の変動」は『今年の特殊要因』

いよいよ、クリスマス・シーズンが近付いて来ました。
 日本の11月下旬の「勤労感謝の日」が終わりました。アメリカの、サンクス・ギビング・デイ(感謝祭)も終わりました。今年も、もう、事実上、残り2週間程度しかありません。

そう言うと、『まだ、1ヶ月あるじゃない!』と、思う読者の方々も、多いことでしょう。
 しかし、『12月は、やらない』『やらない方が良い』と考えているので、それを、早めに、インフォームしておきましょう。
 『12月に、為替相場をやっているヤツは、負けたヤツ』と、眺めていれば良いのです。

今年は、サブプライムローン問題が、潜在的に年越しの課題で残ることでしょう。
 また、ドル金利の引き下げが、この12月に予測されていますから、いわゆる『クリスマス相場』に、すぐに突入するわけでもないでしょう。それは、『今年の特殊要因』に過ぎません。休める人は、休んで構わないのです。

ニューヨーク市場では、いつもなら、このサンクス・ギビング・デイ(Thanks Giving Day、感謝祭)が、クリスマス・シーズンの始まりです。
ニューヨークの外国為替ディーラーたちは、いっせいに休暇を取ります。12月はイヤー・エンドですから、1月から11月までの11ヶ月間で、バジェット(収益目標)を達成しているディーラーは、まるまる一ヶ月休暇を取ります。
せっかくバジェット(収益目標)を達成しているのに、わざわざ会社に来て、相場の動きに巻き込まれるリスクを取るのは馬鹿げているからです。
 バジェット(収益目標)を達成しているのならば、少しくらいバジェット(収益目標)を超えて、利益を出したところで、その評価は変わりません。損をして、達成しているバジェット(収益目標)を減らしてしまい、未達になるのはもっと馬鹿馬鹿しいことです。
 バジェット(収益目標)を達成していなくとも、8割程度達成しているのならば、同じように、休暇を取ってしまいます。

「残り一ヶ月で、もう少しで、達成できるじゃないか?」と思う方も多いのでしょうが、相場は必ず勝てるとは限りません。特に、余裕がないときは『欲』がでますから失敗する可能性が高くなります。
 『あと少し・・・・』『ここまで来たら・・・・』『為替レートが、○○○円になったら・・・・』
 そう思ったときに、届かずに大失敗した経験は、誰にでもあるのではないでしょうか?

『欲』は、こうあってほしいという『願望』であり、『思惑』に過ぎません。
そういった気持ちが強い時は、冷静な判断ができずに、アゲインストのポジションを持たされたまま、相場に持っていかれることが多いのです。
 『失敗したくない』『負けたくない』といった気持ちが強い時は、『損切り(ロス・カット)』が遅れがちになります。無理をすると、余計な負担が増えるだけです。だから、バジェット(収益目標)を達成していなくとも、8割程度達成しているのならば、同じように、休暇を取ってしまうのです。

「休まなくたって、ポジションを取らないで、会社に来ていればいいじゃないか?」と思う方もいることでしょう。しかし、ディーラーにとっては、ちゃんと休暇を取って、会社に来ないことが大事なのです。
ディーラー気質は、目の前で、マーケットが動けば、何かしたくなります。基本的に、ディーラーはリスク・ラバー(リスクを好む性格)が多いですから、手を出したくなり、結局、『少しくらいなら・・・・』と、ポジションを取ってしまうのです。
また、ディーリング・ルームにいると、顧客からの電話や、取引は必ずありますから、しかたなく、取りたくもないポジションを持たされることもあります。
 多くのディーラー達が、イヤー・エンド休暇を取っているのですから、ニューヨークの外国為替市場は参加者が少なくなります。すると、取引量も少なくなりますから、マーケットは薄くなって、値が飛びやすくなります。
 『リクイディティ』が少なくなっているマーケットは、不測の動きになることもしばしばです。

もちろん、全員がいなくなっては業務ができなくなりますから、若手や最小限の『お当番』が留守番をしているのですが、上述のように、今年の成績がある程度満足できる状態のディーラーはいなくなりますから、12月のマーケットに残っているディーラーは、はっきり言えば、負けたディーラーだけになります。
 しかし、それも場合によっては、負けたディーラーにとってチャンスなのです。
参加者が少なくなって、薄くなったマーケットは、いつもより少ない『アマウント』で、相場を動かすことができますから、仕掛けやすいのです。
 負けてクビになりそうなディーラーは、勝負に出てきます。
だから、12月のマーケットは、理由なく突如としてレートが飛ぶようなことが起こります。
 為替レートが動く理由がなくとも、「大量のドル売り」や「大量のドル買い」を仕掛ければ、マーケットは動くからです。
クリスマス・シーズンの、薄いマーケットで、売買も少ない場合は、センチメント(雰囲気)には緊張感も無く、レートも動いていません。そういった状況の時に、突如として、「大量のドル売り」や「大量のドル買い」を仕掛けるのです。
 通常のマーケットを考えると、為替レートが動く理由・原因があっても、売り手と買い手がぶつかり合って、売買が均衡している場合は、緊張感を持ちながらも、レートは動きません。
しかし、売買が積み上がって、均衡が崩れた途端にレートが走り出すのです。
レートが大きく動く時は、水面下で必ず大量の売買が行われています。
いずれの場合も、為替レートが大きく動く場合は、大量の売買を伴っています。
『プライス』だけを見ると、出会いも無くレートが飛んでいるように見えますが、水面下で、必ず大量の取引が行われています。
 取引を伴わずにレートだけが動く、といったことはありません。
12月に、理由なく突如としてレートが飛ぶような場合は、そういったことが起こっているのです。



2007年11月29日(木) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:『小掬い商い(スキャルピング)』は、しない方が良い

『小掬い商い(こすくいあきない)』という言葉がある。
 例えば、マーケットで買い気配が強い時に、買いから入って、短時間(数秒〜数分程度)で、1、2ポイントから数ポイント程度の利益を狙って、売り逃げるような売買のやり方。
 こういった売買手法を、英語では、『スキャルピング(Scalping)』と言う。
 相場の動きは不測なものだから、目先の少額の利益を狙って売買しても、結果として思惑が外れて、大きく損をすることもよくある。
 それで、英語の『スキャルピング(Scalping)』も、日本語の、『小掬い商い』も、よく考えずに、目先の利益を狙う売買手法、といった『軽蔑した・小バカにした』ニュアンスを含んでいる。『小掬い商い』はしない方が良い。

 『スキャルピング(Scalping)』の語源にも触れておこう。
 北米先住民(アメリカ・インディアン)は戦利品として、敵の頭の皮を剥ぎ取った。
 "Scalp" は、その剥ぎ取った頭髪のついた頭皮のこと。
 『薄く頭皮を剥ぐ』という意味から転じて、ディーリングで、薄く利鞘を剥ぐように、稼ごうとする売買手法を、『スキャルピング』と呼ぶ。

先週末、11月23日(金)のドル/円(USD/JPY)のニューヨーク・クローズは、形として、高値引けになっている。だから、週明け月曜日のウェリントン・シドニー市場で、急落する恐れ(可能性)は、少ないだろう、と考えていた。
 しかし、全く、下値リスク(ドル円の急落リスク)は、収まっていない。上昇は、「綾戻し」に過ぎない。107円台で、底値を付けたとは、考えていない。

さりとて、週末のニューヨークが、「ショート・スクイズ」気味に推移したので、週明け早々にドルを売る意欲にも欠ける。だから、11月26日の週明け月曜日の東京市場は、様子見だろう。つまらない週明けになりそうだ(やりようの無い週明けだろう)、と考えていた。

 案の定、週明け月曜日のウェリントン・シドニー市場で、ドル/円(USD/JPY)は買い気配。週明け月曜日の東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場の午前中までは、動きなし。注目に値せず。108円で推移。
 ところが、11月26日、週明け月曜日のニューヨーク市場引け際(ニューヨーク・クローズ)に、米株市場の下落を材料に、ドル/円(USD/JPY)は、急落。[118.00]を割り込むと、107円台前半に大きく下落。

 11月27日(火)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、107円台前半程度で寄り付いた。
 この日の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、じり高に推移。日本の機関投資家の外貨建て投信設定もあった様子。107円台後半に上昇。
 東京市場午後は、日本株が堅調だったこと受けて、ドル/円(USD/JPY)は、[108.00]を上に抜けて急騰した。
 目先、ドル・ショート筋の、ストップ・ロス(損切りのドル買い)もあった。

アブダビ投資庁が米国シティグループへ資本注入を行う、といったニュースを材料に、いわゆる「ショート・スクイズ」を誘い、ドル/円(USD/JPY)は、[108.80]アラウンドまで上昇した。
しかし、ドル/円(USD/JPY)の108円台後半では、いわゆる「やれやれのドル売り」が待ち構えており、上値重く、[108.00]アラウンドまで急落した。
 11月27日(火)のロンドン市場は、[108.00]前半で動きなし。
 11月27日(火)のニューヨーク市場午前中のドル/円(USD/JPY)は、107円台ミドルに下落。しかし、107円台ミドルでは追随のドル売りは出ず。
今度は108円台前半に急反発している。
 11月27日(火)のニューヨーク市場午後には、典型的な「ショート・スクイズ」で、ドル/円(USD/JPY)は、108円台後半に上昇。
翌シドニー市場で、109円台に乗せる。

 11月28日(水)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、108円台での持ち合い。
 それなりに、動いているようにも感じるだろうが、一歩下がって大きな目で見ると、要するに、107円台前半から109円に乗せた辺りでの、「下値持ち合い」。
振幅があるようにも感じるのは、短時間で(半日程度で)値幅が1円以上あるから。
 [107.20-109.20]の狭いレンジの中で、上下動を繰り返しているだけに過ぎない。

こういう値動きを見ると、文頭の『小掬い商い(スキャルピング)』をしたくなるものだ。
しかし、「下値持ち合い」は、ポジション調整中で、大きく動く前の小動きであるケースが多い。『小掬い商い(スキャルピング)』なんか、しない方が良い。
(2007年11月28日東京時間18:00記述)



2007年11月26日(月) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:拙著「外貨崩落」103ページより、抜粋引用します


●●「外貨買い円売り」で稼げるトレンドは、いつまでも続かない

 外貨投資を行えば、確かに、その外貨の金利(利息)を受け取れます。
 円キャリー・トレードでは、円資金を使って、外貨に投資をすることで、その外貨の金利と円金利の差(金利差)を受け取ることができます。

円金利は、超低金利政策のもとで、■ほとんど、ないに等しい■状態ですから、ほぼすべての、どんな外貨に投資をしても、その外貨の金利と円金利の差(金利差)を享受することができます。
 しかし、「外貨投資を行う際に、その外貨の価値(価格)が動かなければ(変動しなければ)」という条件を忘れてはいけないのです。
 このことは、「外貨投資を行う際に、その外貨の価値(価格)が下落したら」、投下した元本が減ることを意味します。つまり、そこには、元本自体が減るというリスクが存在しているのです。
 ところが、元本自体が減るというリスクは、実は、元本自体が増えるというリスクも内包しています。「外貨投資を行う際に、その外貨の価値(価格)が上昇したら」、投下した元本が増えることになるのです。

 ここ数年のマーケット(外国為替市場)は、「円安」傾向が続いています。
 つまり、「外貨投資を行う際に、その外貨の価値(価格)が上昇している」状態です。ですから、投下した元本が増えているのです。
 この数年の間は、外貨投資を行うと、その外貨の金利と円金利の差(金利差)を受け

(図版105ページ 入る)

取ることができるうえに、投下した元本も増えている状況が続いています。
 そして、こういった状況は、外貨投資ブームに火をつけて、市場参加者の数を急激に拡大させています。
 しかし、「外貨投資を行う際に、その外貨の価値(価格)が下落したら」、投下した元本が減る、というリスクがなくなったわけではないのです。
 最近のマーケットでは、そのリスクが忘れられているかのような風潮が見受けられます。
 現在のマーケットは、外貨に投資を行うと、その外貨の金利と円金利の差(金利差)を受け取ることができるうえに、さらに、投資した元本が増えている状況にあります。
 ですから、現在は、外貨に投資をしないと、なかなか■旨味■が受け取れません。
しかし、繰り返しますが、「外貨投資を行う際に、その外貨の価値(価格)が下落したら」、投下した元本が減る、というリスクがなくなったわけではないのです。
このリスクは、マーケットが、どのような状況になっても存在し続けているのです。
 その真実を忘れてはいけません。
そして、その真実に従わざるを得ないときが、必ず来ます。


ここ数年は、たまたま「円安」傾向が続いたために、金利差を狙った取引が横行していますが、金利差を目的とした外貨投資は、一概には勧めることができません。
 しかし、マーケットには、トレンドがありますから、金利が高い通貨であっても、その価値が上昇することがあり、金利差を享受しながら、キャピタル・ゲイン(為替差益)もダブルで受け取れる場合があります。
現在が、たまたま、そういった時期に当たっているのです。
 外国為替取引は、金利差を狙うのではなく、キャピタル・ゲインを狙うこと、▲――つまり、トレンドを狙うこと▲――で、利益に結びけるべきだ、と考えています。
 はっきり言えば、金利差は■おまけ■に過ぎません。考え方としては、「金利差を享受できれば、なおラッキー」といった程度のことなのです。
 金利差を狙った取引は、未来永劫うまくいく、というわけではありません。
 今現在は、それに従わないと、利益に結び付かないように思えます。そう感じている方も多いことでしょう。
 しかし、外国為替取引は、金利差を狙うのではなく、キャピタル・ゲインを狙うことを目的とすれば、外貨の価値(価格)が下落する場合でも、利益を追求することができるようになります。

(図版108ページ 入る)
(図版109ページ 入る)

つまり、リスクをリターン(利益)に変える発想で、キャピタル・ゲインを目的として「外貨売り円買い」を行うことです。「外貨売り円買い」のポイントとテクニックについては、第5章で詳しく説明します。
 こういった事柄は、アウフヘーベンをしないと、「単なる矛盾」「単なる詭弁」にしか聞こえないことかもしれません。



2007年11月22日(木) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:ドル円の持ち値の悪いロングは、『損切り』を敢行した方が良い

11月の中旬(2007年11月12日、第105回)のコメントに、
『ドル円のロングは、いったん、さっさと「損切り」を敢行した方が良い』と述べた。
トレンドは、すでに、『ドル安トレンド』に転換している、と考えていたからだ。

マーケットに臨む際の大前提として、『ドル安トレンド』がベースにある。つまり、潜在的なベースの考え方に、『ドル安トレンド』を、常に意識する必要がある、ということ。

その際に、さらに、こうも書いた。
相場が、動いた際に(動いている際に)、人は、その動いた理由・原因を探そうと、します。
 しかし、そんなことをする前に、
『もっと、大事なことが、あるでしょ?!』
と、言いたい!
『相場が、動いた際に(動いている際に)、理由・原因よりも、もっと、大事なことは、「どのように行動するか?」だ!』

ごく目先で言えば、8月中旬のドル円の安値、111円台ミドルを下に割り込む場合は、急落の可能性は大きい、と考えています。そして、すでに、111円台ミドルを下に割り込みました。
但し、その場合は、私は、[109.00]([108.99])に注目しています。
ドル円が、[109.00]アラウンドのチャート・ポイントを、下にブレイクすると、[101円台]程度まで大きく急落する可能性があります。
 [109.00]を割り込むような、クラッシュの場合は、今年の8月よりも激しいパターンがきても、不思議ではありません。

少なくとも、111円台ミドルを割り込む場合は、ドル円のロングは、「損切り」を行うべき、と考えますので、ドル円のロングは、さっさと「損切り」を敢行した方が良い、と考えます。

●個人的には、現状で、ドル円をロングで戦うのは、セオリーではない、と考えます。

●また、直近の114円ないし、117円程度で作ったドル円のロングを、111円台ミドルを下に割り込んでから、損切りを行うのは、理解できます。

●コストが、120円台よりも上の、持ち値の悪いドル円のロングを、111円台ミドルを下に割り込んでから、損切りを行うのは、遅きに過ぎます。だから、それは、理解できません(理解する気もありません)。

●10円以上の損切りは、ドル円取引を行うに、(レバレッジが何倍であろうとも、)資金管理の面から、ルーズに過ぎる、と考えます。(=対応が誤り、と考えます。)


昨日(11月21日)、『完璧に』、チャート・ポイントの【109.00】を、下に、ブレイクした。
 テクニカル分析(チャート分析)では、下値のメドは、101円台まで、無い。
 そんなことは、11月の中旬に、上記のコメントを書いた際に、すでに、わかっていたこと。

一気に行くのか、ぼちぼち行くのか、そんなことは、知らない。
実際に、テクニカル分析(チャート分析)の通りに、相場が動くのか、どうかもわからない。それは、あくまでも、予想・予測に過ぎない。
 『相場のことは、相場に聞くしかない』のだから。

 このところの値動き(外国為替市場の動き)は、個人的には、予想通りに動いている。
 そうは思うが、どうも快哉を叫ぶ気持ちには、ならない・・・。

ドル円の持ち値の悪いロング(ドル円の買い持ちポジション)は、致命傷になる前に、さっさと、『損切り』を敢行した方が良い。手遅れになる前に・・・。





2007年11月19日(月) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:外国為替取引で、思惑の無いポジションは無い

今回、ドル円は、109円まで、売り込まれた。
(誰かが、109円まで、売った。誰かが、売らなければ、109円台は、無いのだから、必ず、誰かが、売った!)
109円を、売った人は、目先、損をした。
(まだ、勝負は、終わっていない、と、考えるが、それは、次元の違うテーマ。)

その動き(ドル円を売った行為)を指して、投機的だとか、投機筋とか言うコメントが、あるようだ。

そういうコメントが、まかり通るのも困る。
それは「ポジション・トーク」に過ぎないからだ。

自由な取引を保障するのが、外国為替市場の『誇り』であり、『尊厳』だ!

外国為替市場が、クローズ(閉鎖)したのは、セプテンバー・イレブンの時だけだ!
それも、阿吽の呼吸で、やらなかっただけだ!
セプテンバー・イレブンの時でさえ、マーケットは、オープンしていた!

値幅制限も無い!
それは、世界最大の自由な市場なのだ!

自由は、責任を伴う!
失敗すれば、損をする。
ただ、それだけだ!
それも、自由なのだ!

嫌なら、参加しなければ良い!(だったら、投資をしてはいけない!)

もっと、詳しく説明することも出来るが、それ以上は、この文章を読んで下さる方々の、読解力、判断に、委ねよう!

よく考えて欲しい。
ドル円を売る行為が、投機なら、ドル円を買う行為は、投機ではないのか?

そもそも、投機は、『悪』か?

思惑の無いポジションは、無い!

ありとあらゆるポジションが、投機に過ぎない!
実需と伴う外国為替取引も同様だ。

自由を保障することは、自分と、違う考えであっても、相手を尊重すること。
自分の考え・思惑を、正当化するために、他者を、おとしめては、いけない!
自分を、正当化するために、ウソを吐き、ごまかすのは、もっといけない!



2007年11月15日(木) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:『最初から、長期ホールドを目的としたポジションの取り方は、誤り』


ポジションの長期ホールド(長期保有)は、日々の値動きを、その都度、確認して、その結果として、長期ホールドになるのであって、最初から、長期ホールドを目的としたポジションの取り方は、誤り。

株式投資などでは、そういった投資スタイルはあり得るが、外国為替取引(外貨投資)では、誤り。

そもそも、何でも、株式投資のスタイル、技法(テクニック)など、を、外国為替取引(外貨投資)に持ち込もうとする、その態度が変(おかしい)。

株式投資は、株式投資であって、外国為替取引(外貨投資)ではない。
 外国為替取引(外貨投資)は、外国為替取引(外貨投資)であって、株式投資ではない。

もともと、違う取引なのだ。何でも、同じと考える方が、無理がある。

繰り返すが、『最初から、長期ホールドを目的としたポジションの取り方は、外国為替取引(外貨投資)では、誤り』。

 それは、相場に対して、『こうなる』と、予断を持って、臨んでいる状態。
 こういった思惑は、当たる場合と、外れる場合が、ある。

トレンドを調べて、トレンドに従う行為と、一見すると、同じように見える。

それは、第三者から見れば、区別は、つかない。
 しかし、自分は、第三者ではない!
 舞の名人は、第三者の目で自分の舞を見る!
 観客は、ごまかせても(観客に、うそを言っても)、第三者の自分は、ごまかせない。

 ポジションを取ることは、他者と、戦うことではなく、自身と向き合い、自身の欲望、自身の恐怖心と、戦うこと。

 某所で、今回の相場で、大敗して、『どうでもよい、と、感じる旨』の文章を読んだ。
 相場が、怖く無い状態は、既に、『死地』ある。
 自分が、『死地』にあることに気が付けば、助かる可能性もあるが、自ら、気が付かない人を、救うことは出来ない。

恐怖心の無い人に、『敬謙なる畏れ』を知れ、と、伝えても、理解不能。だから、後は、苦しまずに、成仏を祈ることしか出来ない!
『縁無き衆生は度し難し』。合掌。



2007年11月12日(月) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:ドル円のロングは、いったん、さっさと「損切り」を敢行した方が良い
 
前々回のコメントで、トレンドは、すでに、『ドル安トレンド』に転換している、と考えている、と述べた。
マーケットに臨む際の大前提として、『ドル安トレンド』がベースにある。
つまり、潜在的なベースの考え方に、『ドル安トレンド』を、常に意識する必要がある、ということ。


相場が、動いた際に(動いている際に)、人は、その動いた理由・原因を探そうと、します。

しかし、そんなことをする前に、
『もっと、大事なことが、あるでしょ?!』
と、言いたい!

大学の先生になる訳でもあるまいし、理由・原因の探究など、どうでも良い!
 私は、大学で教鞭をとるが、学生にも、こう教える。
『理由・原因の探究も大事だ!それは、勉強だから。
しかし、そんなことよりも、相場が、動いた際に(動いている際に)、もっと、大事なことは、「どのように行動するか?」だ!』


先週後半になっての、ドル円市場は、危険な状態です。
動き出した理由など、どうでも良いことです。
予測通りに、(個人的には、予定通りなのですが・・・、)外国為替市場は、かなり、「ヤバイ状況」になっています。
ごく目先で言えば、8月中旬のドル円の安値、111円台ミドルを下に割り込む場合は、急落の可能性は大きい、と考えています。
 そして、先週末、すでに、111円台ミドルを下に割り込みました。

但し、その場合は、私は、[109.00]([108.99])に注目しています。
ドル円が、[109.00]アラウンドのチャート・ポイントを、下にブレイクすると、[101円台]程度まで大きく急落する可能性があります。

 そして、テクニカルには、大して意味は無いと考えますが、[110.00]はビッグ・フィギュア(大台)の要なので、『それ([110.00])を割り込むか?』にも留意はしています。
しかし、正直なところ、[110.00]には、あまり興味がありません。


 [109.00]を割り込むような、クラッシュの場合は、今年の8月よりも激しいパターンがきても、不思議ではありません。

少なくとも、111円台ミドルを割り込む場合は、ドル円のロングは、「損切り」を行うべき、と考えますので、ドル円のロングは、さっさと「損切り」を敢行した方が良い、と考えます。


●個人的には、現状で、ドル円をロングで戦うのは、セオリーではない、と考えます。

●また、直近の114円ないし、117円程度で作ったドル円のロングを、111円台ミドルを下に割り込んでから、損切りを行うのは、理解できます。

●コストが、120円台よりも上の、持ち値の悪いドル円のロングを、111円台ミドルを下に割り込んでから、損切りを行うのは、遅きに過ぎます。だから、それは、理解できません(理解する気もありません)。

●10円以上の損切りは、ドル円取引を行うに、(レバレッジが何倍であろうとも、)資金管理の面から、ルーズに過ぎる、と考えます。(=対応が誤り、と考えます。)



2007年11月08日(木) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:現状のマーケットで、「円キャリー・トレード」の巻き戻しを考えるなら・・・
 
前回のコメントで、トレンドは、すでに、『ドル安トレンド』に転換している、と考えている、と述べた。

昨日(11月7日)の東京市場では、中国の外貨準備のアロケーション(振り分け・配分)のニュースをきっかけに、ユーロ/ドルが上昇した。
 つまり「ユーロ買いドル売り」となった。
 これは、ドル/円での「ドル売り(円買い)」を連鎖させた。

きっかけは、中国発のニュースだったかも知れないが、引き続き、「サブプライム・ローン問題」に伴う、米国金融不安の状態に変化はない。
 ドル/円を買う気分に全くならない。

というか、あまり、ドル/円をやりたくない。
何故かと言うと、「円キャリー・トレード」の影響で、ドル/円に歪みがあるから。
引き続き、『奇妙な、変な「円売り」』が存在している。

しかし、それでも、ドル/円を買うのは、絶対に嫌だ。
 どうしても、ドル/円を何かせよ、と言うならば、ドル/円を売る。

高所恐怖症ではあるが、ストップ・ロス・オーダーをちゃんと入れて、「ユーロ/ドル」の買いをする位しか、思い付かない。

ただし、ユーロ/ドルの上昇力にも、一服感がある。すなわち、高所恐怖症。ユーロ/ドルも、調整があっても、不思議ではない。

しかし、ユーロ/ドルの調整を狙っての「ユーロ売りドル買い」は全く奨めない。それはむしろ、危険に過ぎる。

ところで、私の知り合いが、昨日(11月7日)のロンドン市場(ロンドン市場の時間帯)で、ポンド円のショート・ポジション(ポンド売り円買いポジション)を持った。
 その行動パターンは、「ユーロ/円の売り」と同じ。

その気持ちは、理解は、する。(理解は、できる・・・)
 しかし、より高きを見て欲しい!目指して欲しい!
それで、厳しいコメント(個人的考え)を、彼に、寄せた。


 以下、彼に贈ったアドバイスの引用。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 ポンド/円(GBP/JPY)のショートも、何を、どう考えているのか、理解は、できる・・・。

だから、人様のポジションや、行動に、とやかく、言う気は、全く無い!
 それは、大前提。

夏だったかな?春だったかな?
ポンド/ドル、2.1000の話をしたよね!
 来たよねー・・・!(感無量)(^O^)/

しかし、腹の底で、こーも思う!
 『ほれ見ろ!やっぱり、来たじゃねーか!ザマーミロ!』(快哉!)(^O^)/

では、現時点で、ポンド/ドルは、天井なのか??
 ポンド/ドルは、方向転換(トレンド転換)したの??

答は、NOだ! 現時点で、絶対に、NOだ!

実際に、行くか、行かないか?届くか、届かないか?
そんなことは、知らない(今わかる必要が無い)が、ポンド/ドルは、2.2000を向いている。

この状況で、わざわざポンド/円を売るのならば、ドル/円を売るべきだ。

『円からみの外国為替取引』をするならば、という意味で、言っています。

今、このステージで、ポンド/円やユーロ/円のクロス円を売るのならば、ドル/円を売るべきだ。
 そうでないと、思索、行動に、整合性が、見いだせない!(^O^)/

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2007年11月05日(月) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:トレンドは、すでに、『ドル安トレンド』

先週は、10月31日(水)に、日銀の政策決定会合。事前の予想通りに、円金利の据え置きが発表された。円金利の据え置きは、マーケットの事前予想通り、すなわち「織り込み済み」で、特段のコメントも無し。

円金利は、今後、必ず、引き上げられますが、目先は、米国の金融市場の混乱、すなわち「サブプライム・ローン問題」に端を発した世界の金融市場の不安定に配慮して、円金利を、当面、動かせない状況(動かさない状況)になっています。

10月31日(水)のFOMCでは、ドル金利の[0.25%]の引き下げ。これも、マーケットの事前予想通り、すなわち「織り込み済み」。

FOMCの前に、ドル/スイスが、1.16を割り込み、「ドル売りスイス買い」方向。
ポンド/ドルは、上昇して2.07台。(=「ポンド買いドル売り」)
ユーロドルも1.44台ミドルに上昇。(=「ユーロ買いドル売り」)

ドル/スイス、ポンド/ドル、ユーロ/ドルで、全て『ドル売り』になっているのに、ドル/円だけが、さほど、『ドル売り』になっていない。(むしろ、「ドル買い円売り」に推移しています。)

これは、クロス円が、上昇しているからだ、と、説明もできますが、これは、『円キャリー・トレード』の影響だ、と、説明した方が、素直で、わかりやすい。

ドル金利の引き下げは、このステージでは、基本的には、『ドル売り材料』。

だから、FOMCの前でも、FOMCの後でも、ドル円だけが、変な値動き(奇妙な値動き)に、なっています。

この時点で、ドル/円が、いつ、大きく急落しても、おかしくない、否、ドル/円が、下落する方が、自然な状況になっています。
 FOMC発表後も、この、おかしな値動きは、続いています。(その傾向は、若干ですが加速しています。)

その後、11月1日(木)のニューヨーク市場で、ドル/円(USD/JPY)は、[115.85-95]レベルの高値を付けるが、米株の下落から調整が起こり、ドル/円(USD/JPY)は、114円台ミドルに急落した。
 むしろ、全体的に見れば、このドル/円(USD/JPY)の急落でバランスが取れた、と感じる。ドル円は、落ちるべくして、落ちた、と感じる。
ドル円だけが、変な動き(奇妙な動き)をしていたが、いつまでも、こういった変な動き(奇妙な動き)は、続かないのが普通。
 11月1日(木)のニューヨーク市場午後のドル/円(USD/JPY)は、114円台後半での持ち合い。

11月2日(金)は、夜に米国失業率(雇用統計)の発表。
 所詮、それ(米国失業率:雇用統計)は、『月一のイベント』だから、そこに集中するしかない。
先週末(11月2日)金曜日の東京市場、ロンドン市場のドル/円(USD/JPY)は、概して、114円台後半での上下動持ち合い。レンジとしては、[114.40-90]程度。
それなりに、上下動した値幅はあるが、米国失業率(雇用統計)に向けての「ポジション調整」の域を出ない。

ニューヨーク市場で発表された「米国失業率(雇用統計)」では、失業率は事前予想通りだったが、「非農業部門就業者数(NFP)(10月)」の予想[+85,000人]に対して、発表された結果は、[+166,000人]。

「米国失業率(雇用統計)」発表直前のドル/円(USD/JPY)は、[114.70−80]レベルだったが、この発表を受けて、[115.30−40]レベルに上昇した。
 NFPの数字は、強烈に良い数字で、マーケットは、素直に『ドル買い』に反応した。

しかし、潜在的な『ドル売り』が根強く、『待ち構えていたドル売り』が、上値を抑えた。
 最終的には、この「米国失業率(雇用統計)」の強い数字でも、『ドル買い』にはならず。

「米国失業率(雇用統計)」の影響の薄れる1時間、2時間後には、ドル/円(USD/JPY)は、114円台ミドルに急落した。
 トレンドは、すでに、『ドル安トレンド』に転換している、と考えている。



2007年11月01日(木) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:FOMC=ドル金利引き下げ

いつもこのコラムの原稿は、前日に書くようにしているのですが、今回は、昨日(10月31日)のニューヨーク市場で、FOMCの発表を控えていたので、本日(11月1日)の朝、今、書いています。

FOMCという、大きな、重要なイベントを控えて、その結果をふまえて、コメントを書く方が、良いだろう、(その方が誠実だろう)と考えたからです。

昨日(10月31日)は、日銀の政策決定会合もありましたが、それは、事前の予想通りに、円金利の据え置きが発表されました。
円金利の据え置きは、マーケットの事前予想通り、すなわち「織り込み済み」で、特段のコメントもありません。
円金利は、今後、必ず、引き上げられますが、目先は、米国の金融市場の混乱、すなわち「サブプライム・ローン問題」に端を発した世界の金融市場の不安定に配慮して、円金利を、当面、動かせない状況(動かさない状況)になっています。

それでも、このところの原油価格の上昇や、日本でも確実に起こっているインフレの影響を考えれば、(昨日は、ビールの値上げが発表されました・・・)円金利を引き上げるという選択(政策)はあり得る、と、考えます。

しかし、『和をもって貴しと為す』、そう考える日本人気質なのでしょう、結局、賛成多数で円金利の据え置きが決定されました。

ガソリン価格や、ビールだけではなく、これから、原材料費の上昇で、ありとあらゆる価格が上昇していくことでしょう。

年金で生活している人たちは、苦しくなります。
インフレは、賃金の上昇に結びつきますから、現役で働いている人は、いずれ、インフレ分を取り戻すことが出来ますが、「賃金の上昇」は、「物の値段の上昇」の後追いになりますから、現役で働いている人も、決してハッピーではありません・・・。生活は苦しくなります。
弱いものが、ますます苦しい、という政策です。
強いものは、もともと強いのですから、困ることは無いのです。
「弱きをくじき、強きにおもねる」
その非を、喧伝しないマスコミ・・・。

自己防衛をしていくしかないのかもしれません・・・。
まあ、このテーマはこのくらいで・・・。

昨日(10月末)のFOMCでは、ドル金利の[0.25%]の引き下げ、が発表されました。
これも、マーケットの事前予想通り、すなわち「織り込み済み」と言えます。

FOMCの前に、ドル/スイスが、1.16を割り込み、「ドル売りスイス買い」方向。
ポンド/ドルは、上昇して2.07台。(=「ポンド買いドル売り」)
ユーロドルも1.44台ミドルに上昇。(=「ユーロ買いドル売り」)

ドル/スイス、ポンド/ドル、ユーロ/ドルで、全て『ドル売り』になっているのに、ドル/円だけが、さほど、『ドル売り』になっていない。
(むしろ、「ドル買い円売り」に推移しています。)

これは、クロス円が、上昇しているからだ、と、説明もできますが、これは、『円キャリー・トレード』の影響だ、と、説明した方が、素直で、わかりやすい。

ドル金利の引き下げは、このステージでは、基本的には、『ドル売り材料』。
だから、FOMCの前でも、FOMCの後でも、ドル円だけが、変な値動き(奇妙な値動き)に、なっています。
ドル/円が、いつ、大きく急落しても、おかしくない、否、ドル/円が、下落する方が、自然な状況になっています。

FOMC発表後も、この、おかしな値動きは、続いています。(その傾向は、若干ですが加速しています。)

明日(11月2日金曜日)に、米国雇用統計を控えて、本日(11月1日)のマーケットが大きな値動きになるとは考えませんが、ドル/円だけが、不自然な値動きになっていることに留意するべき、と考えます。



2007年10月29日(月) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:ユーロ/ドルは、「ユーロ統合以来の最高値」を更新


先週末(10月26日)金曜日の注目は、ユーロ/ドル(EUR/USD)。
東京市場の夕方になって、欧州勢が参加してくると、「ユーロ買いドル売り」が進んだ。
[1.4350]を上に抜け、「ユーロ統合以来の最高値」を更新した。

先週末(10月26日)金曜日のロンドン市場のユーロ/ドル(EUR/USD)は、小動きながら、じり高。1.43台後半に上昇。ニューヨーク市場も、「ユーロ買いドル売り」のセンチメント(雰囲気)継続。

[1.4400]には、「プロテクトのユーロ売り(=防戦ユーロ売りドル買い)」があった様子で、まだ、[1.4400]を、上に突き抜けてはいない。

[1.4400]が付かないように、オプション取引絡みでの、「防戦ユーロ売りドル買い」が出ていただけだろう。いずれ、時間の問題で、上に抜けるだろう、と考える。

ユーロ/円(EUR/JPY)は、大きく乱高下している。
G7の前あたりから、「円キャリー・トレード」のアンワインド(解消・巻き戻し)が、起こり、G7明けには、ユーロ円の売りは、ユーロドルを、押し下げた。

株価が、落ち着きを、取り戻すと、「円キャリー・トレード」の、「アンワインドのアンワインド」と、いった雰囲気。

G7で、確認できたことは、サブプライム・ローン問題は、簡単に、解決しない、ということ。
だったら、サブプライム・ローンは、米国の問題だから、基本的に、ドル売り材料。

ユーロ/円と、ドル/円は、円キャリー・トレードの影響で、難しいのだから、対ユーロで、ドルを売るのが、一番やりやすい。
つまり、ユーロ/ドルを買う、と、いうこと。

ただし、ユーロ/ドルのロング(買い持ち)でポジションをとる場合は、ストップ・ロス・オーダーを、入れておくこと。
ユーロドルのトレンドは、「ユーロ高ドル安」で、変わらないが、「修正・調整」に、対応して、戦うのは、言うまでも無く、当たり前のことです。



2007年10月25日(木) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」

ドル/円(USD/JPY)は、G7の前から下落を始めている。
G7を控えての、ドル/円(USD/JPY)急落の原因、理由は、経済指標なども、少しはあろうが、要するに、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」。

G7明けの、10月22日(月)には、『円高』は進んだ。これも、要するに、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」。

8月の急激な『円高』の後で、この9月から10月中旬にかけて、「円キャリー・トレード」が再拡大していた。
 G7を直前に控えて、その再拡大していた「円キャリー・トレード」の「ポジション調整」が行われた。

現在の「円からみの為替取引」は、株価との連動性が強い。株価の下落が材料となって、ドル/円(USD/JPY)が急落している、と換言しても構わないが、いずれにせよ、ドル/円(USD/JPY)急落の原因、理由は、要するに、「円キャリー・トレード」の「ポジション調整」。

「円キャリー・トレード」は、すなわち「円売り」なのだから、「円キャリー・トレード」の「ポジション調整」とは、すなわち「円買い」「円の買い戻し」に他ならない。

週明け月曜日(10月22日)のウェリントン・シドニー市場で、値を飛ばしての---「窓を開けての」---もう一段の急落の可能性、すなわち、もう一段の「円高」の可能性も、充分に高い、と考えていたが、案の定、東京市場のオープン前に、ドル/円(USD/JPY)は、急落。
先週末のニューヨーク・クローズだった114円台ミドルから比べると、1円以上の大きな急落となり、113円台前半を示現した。

週明け月曜日(10月22日)は、東京市場オープン前に、下に突っ込んだリバウンドの動きで、この日の東京市場は、113円台ミドルから、114円台前半に上昇している。典型的な「窓埋め」の動きを示している。

114円台前半でも、先週末のニューヨーク・クローズが、114円台ミドルだったのだから、円高方向に、下振れしている。
[114.50]まで上昇して、初めて「窓埋め完了」となる。「窓埋め」を完了しようと、完了しまいと、ドル/円(USD/JPY)は下落リスクの方が大きいことに留意するべき。

G7は、目新しさは無く、想定の範囲内であるが、マーケットが、動き出してしまったので、止まらないだろう、と考える。
つまり、G7を直前に、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が、起こってしまった。動き出したマーケットは、一定量の「ポジション調整」が済むまで、なかなか止まらない。

現時点では、下値のサポートがどのレベルなのか、わからない。
月曜日の東京市場のオープン前に付けた、113円台前半が下値のサポートになるとは限らない。現在のテクニカル分析ならば、下値のサポートは、111円台ミドル(8月の安値)。9月中旬の安値、112円台ミドルは、弱いサポート。

直近のドル/円(USD/JPY)を俯瞰して見れば、10月中旬の高値[118.00]アラウンドから、---正確には、117円台後半、[117.90-95]レベルから、---113円台前半に、5円弱、急落している。

もう少し大きく見れば、ドル/円(USD/JPY)は、今年の6月下旬に124円台の高値を付けてから、8月に111円台まで大きく急落しており、その8月の暴落後は、いわゆる「下値持ち合い」を形成している。

現在は、[111.50]から、[118.00]のゾーンでの、「下値持ち合い」を形成しながらの調整中(=調整局面)、と考える。



2007年10月22日(月) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:二番天井

円キャリー・トレードが、大復活していた。
この9月から10月中旬にかけて、「円キャリー・トレード」が再拡大していた。

ユーロ円(=クロス円の代表としてのユーロ円)は、10月中旬に、167円台にまで上昇した。

ユーロ円は、8月の暴落の際は、149円台を見たのだから、15円以上、上昇した。

8月の暴落の後で、何回も、『二番天井』を作りに行くだろう、と、書いた。

165円を上に抜けてからは、そろそろ、『二番天井』を、意識した方が良いだろう、と指摘した。
気を付けなければならないことは、『二番天井』の高さは、事前には、誰にも、わからない、と、いうこと。

『一番天井』は、[169.00]---正確には、168.90-95---だった。

『二番天井』は、『一番天井』と比べて、低い場合もあるし、高い場合もある。
ほぼ、同じ高さの場合もある。

それでは、意味が、無い、と、言うなかれ!

『一番天井』に比べての『二番天井』なのだ。

169円に比べて、155円や、160円は、『二番天井』と、呼べまい。

だから、165円を越えてからは、そろそろ、『二番天井』を意識する水準に来ている、と、気が付いて、行動することに、意味が、ある。

繰り返すが、『相場の大きさ』は、事前には、誰にも、わからない。

その時の、市場参加者達の行動によるからだ。

その水準から、もう一段買い上げる大口の投機筋が、居るか?否か?

換言するならば、165円を上に抜けていく、その水準からは、『やれやれの売り』が、待ち構えている。
その『やれやれの売り』を、飲み込んで、買い上げる大口の機関投資家が、居るか?否か?
この流れ、勢いならば、もう一段の上値を狙う投機筋も居るだろう、と考えていた。そして、やはり、居た。

対応方法は、いつでも、逃げられるように、準備しながら、相場に臨むこと。

しかし、『二番天井』の高さは、誰にもわからないことを、忘れてはいけない。

『へっぴり腰』『および腰』と、言われようと、『臆病者』と、言われようと、構わない。

『死んで勇者』と、呼ばれるよりも、『生きて臆病者』と、呼ばれたい!

『臆病』は、『卑怯』ではない!!
『臆病』は、『敬謙なる畏れ』を知ることであり、『臆病』は、恥ずかしいことではない!!
『臆病』は、『知恵者の証』であり、『経験』だ!

『臆病でないこと』は、『無謀』『蛮勇』『無知』なだけだ!
それを、『匹夫の勇』と、呼ぶ。

先週になって、ドル/円(USD/JPY)が急落している。
その原因、理由は、経済指標なども、少しはあろうが、要するに、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」。

この9月から10月中旬にかけて、「円キャリー・トレード」が再拡大していた。

G7を直前に控えて、その再拡大していた「円キャリー・トレード」の「ポジション調整」が行われた。

「円キャリー・トレード」は、すなわち「円売り」なのだから、「円キャリー・トレード」の「ポジション調整」とは、すなわち「円買い」「円の買い戻し」に他ならない。




2007年10月18日(木) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:【G7】(Group of Seven)


【G7】(Group of Seven)
(Conference of Ministers and Governors of the Group of Seven)

先進7ヶ国蔵相・中央銀行総裁会議のこと。
7ヶ国(Group of Seven)は、日本、米国、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダを指す。
先進7ヶ国の財務相と中央銀行総裁が世界経済などに関して話し合う国際会議の略称を"G7"と呼ぶ。

"G7"は、原則として、年3回開催される。
会議の結果は、外国為替市場や国際金融市場に大きな影響を与えるので、市場参加者は注目する。

もう少し、説明を加えます。

従来、各国は、自国の金融・経済に関して、独自に政策を決定、実施していました。しかし、世界経済の発展や自由化、情報の共有化で、各国の経済が、相互に影響を与え、自国だけの独自の政策では、有効に働かない状況も出てきました。
そういったことに、各国が協調して対応しようと考えて、集まったのが、この会合の目的です。
1986年にイタリアとカナダが加わり、"G7"となりましたが、それ以前は、米・英・西独・日・仏の5ヶ国が参加する"G5" (ジーファイブ) と呼ばれていました。

"G7"は、"Group of Seven"のことで、G7会合は、"Conference of Ministers and Governors of the Group of Seven"の略称です。
7ヶ国は、日本、米国、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダを指します。
先進7ヶ国の財務相と中央銀行総裁が世界経済などに関して話し合う国際会議が"G7"です。
"G7"は、原則として、年3回開催され、会議の結果は、外国為替市場や国際金融市場に大きな影響を与えるので、市場参加者は注目します。

現在の"G7"は、日本・アメリカ・イギリス・イタリア・カナダ・ドイツ・フランスですが、1986年にイタリアとカナダが加わり、"G7"となりました。
それ以前は、米・英・西独・日・仏の5ヶ国が参加する"G5" (ジーファイブ) と呼ばれていました。
役割に関しては、当初から変わっておらず、同じです。

歴史に残る(心に残っている)G7は、何と言っても1985年9月の「プラザ合意」です。
この当時は、まだ、イタリアとカナダが加わる前ですから、"G5(先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議)"の時代です。
「プラザ合意」は、1985年9月、ニューヨークのミッドタウンにある一流ホテルであった「プラザ・ホテル」で行われた為替レートに関する合意のことです。
当時の米国は巨額の貿易赤字と財政赤字の「ふたごの赤字」の対応に苦慮していました。
特に対日貿易収支の不均衡を是正するために、米国は「ドル安円高政策」を採りました。
米国の採った「ドル安円高政策」を有効にするために、「各国が協調介入を行なうこと」に対する合意が、「プラザ合意」と言えます。
「プラザ合意」は週末に行われ、当日、発表されています。
翌日、月曜日の1日(24時間)で、ドル円レートは、1ドル235円から約20円下落しました。



2007年10月15日(月) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:相場の『うまいヤツ』は、いない!

中学時代の同級生から、何度も電話があった。忙しくて、なかなか出られなかったし、折り返しも出来なかった。用件はわかっている。彼女は、外国株を持っていて、その相談をしたいのだ。『いつ、電話をすれば、出てもらえますか?』という文面を見て、あわてて電話をした。

「なかなか、出られなくてゴメン!」

「いや、私が聞きたいだけだから、いいよ。」

「外株(ソトカブ)のことだろ?」

「そう。」

「いっかい利食って、売った方がいいよ。いいタイミングで、電話してくるじゃない?」

彼女は、米国株式とNZ株、HK株に投資をしている。
 8月の為替相場の大変動で、為替の影響に気が付き、9月初旬にも電話をしてきた。
 その際に、為替は『二番天井』を付けに行くだろうから、しばし、様子を見ろ、と、答えた。いいタイミングで電話をしてくる。

「為替が気になっちゃって・・・。
外国株やってみると、為替の方が影響が大きいこと、わかった。」

「この前、話したときに、為替は、『二番天井』を作りに行くことを話したよね?」

「うん。だから、それ覚えていて、電話した。」

「来週早々にでも、売った方がいいと思うよ。」

「わかった。」

「オレがそう言ってから、手放した後で、もう少しいい時が来ると思うけど、何ヶ月か様子を見れば、納得できると思うよ。」

「だいじょうぶ。わかっているから。」

「ホントかぁ?
だいたい、相場ってのは、オレが売った方がいいよ、と言ってから、もう少し、上があるんだよね。そーゆーもんだ。すると、多くの人が『あー、もっと上があったのに』って思うものさ!」

「・・・・」

「利食いだろ? 今なら?」

「うん。」

「だったら、いったん、利益を確保しとけよ。それ以上に、いいときがあっても、文句言うなよ。」

「うん。わかった。」

「相場の『うまいヤツ』は、いないヨ。
相場の『強いヤツ』はいるけどネ。

バドミントンでも、どんなに『うまいヤツ』でも、一回も失敗しないなんてことないだろ?
パーフェクトは、あり得ないのさ。だから、どんなに『うまいヤツ』でもミスをする。
 『強いヤツ』は、失敗することがあることを知っている。だから、それを前提に試合をする。バドミントンと相場って、似てるんだよネ。」

「あはは・・・」

「『強いヤツ』は、精神的にめげない。というか、あきらめないってことかな?
 バドミントンでも、技術が一定の水準まで届いたら、後は、もう『根性』だろ?」

「そーだね。」

「技術が同じなら、ミスの少ない方が勝つ。
でも、ミスの無いことなんて、あり得ない。
最後は、『ねばり』と『根性』だけだろ?」

「マツダクンも、たとえ話がうまいネー!」

「お前に分かるように、バドミントンにしたんだよ!!」

「あっ、そーかぁ。ありがとう!」




2007年10月11日(木) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:時間の概念

「短期」「長期」といった「時間の概念」は、実は人によって、まったく様々です。

例えば、ある人にとって「短期」という場合は、「ほんの数秒から数分」を指すこともあります。そうすると、その人にとっては、「1週間」は「長期」になります。
 また、別の人の場合には、「短期」は「2〜3日から1週間程度」を指すこともあります。その人にとって「長期」は「1年から2年程度」になります。

この二人が会話をすると、話が噛み合わなくなるのは、想像がつくのではないでしょうか?
しかし、それは個々人の時間に対する感性ですから、どちらも誤りではないのです。

だから、相場のコメントを読む際には、そのコメントを書いた人がどういった「時間の概念」なのかを斟酌する必要があります。相場のコメントを読むことに慣れてくると、無意識のうちに、それを判断して読むようになります。

『リスク&リターン』は、時間が長くなればなるほど、可能性としては、どちらも大きくなります。
ただし、正比例しているわけでもありません。

ディーリング・スタイル(取引スタイル)は個々人の「時間の概念」に負うところが大きいので、一概には言えないのですが、その個々人の「時間の概念」で、「短期」の売買が得意の人もいれば、「長期」の売買が得意の人もいます。
『得意のパターンに持ち込めるかどうか』、が勝敗の分かれ目です。
ただし、上述の通り、時間が長くなれば『リスク』も大きくなります。

『リスク&リターン』と言うと、損失をぼやかして綺麗に聞こえますが、この場合の『リスク』は、すなわち『損失・ロス(Loss)』のことです。
 『含み損』になった場合に、『損失を確定させる反対売買取引(ロス・カット)』をするまでは、元に戻る可能性があるので『リスク』といった言い方をするのでしょうが、そういった、綺麗事の言葉に惑わされてはいけません。

『リスク』とは、何か? と訊かれたら、『損失のこと。もしくは、含み損がでた場合に、その損失という客観的事実を認めて、どこまでそのポジションを保持するのか、を考えること。』
私は、そう答えます。



2007年10月09日(火) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:米国失業率(米国雇用統計)雑感


10月04日(木)のロンドン市場のドル/円は、116円台ミドルから、116円台後半に、若干、強含む展開。
この日、BOE(英国中銀)、ECB(欧州中銀)の政策金利の発表があったが、事前の予想通りに、それぞれ、「据え置き」となった。
 10月04日(木)のニューヨーク市場も、基本的に、小動き、持ち合い。116円台ミドルで推移した。ニューヨーク・クローズは、116円台ミドル。

先週末(10月05日金曜日)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、116円台ミドルでオープン。
東京市場も、特段の動きなし。この日(10月05日)発表される「米国失業率(米国雇用統計)」を控えての様子見が続いている。

前回の「米国失業率(米国雇用統計)」は、非農業部門雇用者数が[マイナス4000人]で、予想より、はるかに悪いものだった。

今回の非農業部門雇用者数の予想は、[プラス100000人]の増加。
今回の失業率の予想は、[4.7%]。(前回は、[4.6%]だったので、悪化が事前予想となっている)

今回の「米国失業率(米国雇用統計)」は、世界中から、注目されている。

しかし、発表された「米国失業率(米国雇用統計)」は、事前予想通り(範囲内)であった。
非農業部門雇用者数は、プラス11万人。1万人、予想より良かったのは、わかるが、その程度は、『誤差の内』。

前回が、マイナス4,000人から、プラス89,000人に、上方修正された。
 そんなに、修正して、いいのだろうか・・・?

アメリカ人は、けっこう、おおざっぱで、いい加減だから、驚きもしないし、こんなものだ、と、思うが、ちょっと、ひど過ぎるなあ・・・。
 雇用統計に関しては、そんなところ。

「米国失業率(米国雇用統計)」の結果で、ドル/円は、117円台に乗せた。

円キャリー・トレードが、大復活している。それも、単なる事実。

円キャリー・トレードは、最終的に、必ず、失敗(破綻)するが、その最終的破綻を『夢見て』、クロス円を売るのも、また対応としては間違い、と考える。

最終的に破綻しようと、目先、勝つために、クロス円を買い、売り逃げる。(この場合の『目先』は、2、3日ではなく、2、3ヶ月)
相場に勝つには、そのくらいの『性根』『根性』を持つ必要がある。



2007年10月04日(木) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:「クロス・レート」

今回は、ちょっと専門用語の「定義」について。
「クロス取引」とは何でしょうか?

「現在の基軸通貨である【米ドル(USD)】に対しての為替取引」ではない、「【米ドル(USD)】以外の組み合わせの通貨間の為替取引」を、「クロス取引」と呼びます。

クロス取引で取引される「為替レート」を、「クロス・レート」と呼びます。

 「クロス・レート」は「基軸通貨である【米ドル(USD)】に対しての為替レート」が決まっていれば、計算して導くことが出来ます。

 だから、日本では、一般的に「対円の為替レート」のことを「クロス・レート」と言うことがありますが、本当は、「クロス・レート」は「対円の為替レート」に限りません。
 
対円でのクロス取引では、「ユーロ/円(EUR/JPY)」「ポンド/円(GBP/JPY)」が多く取引されています。
「オーストラリア・ドル/円(AUD/JPY)」も、比較的多く取引されています。

「クロス取引」で多いのは、「ユーロ/ポンド(EUR/GBP)」「ユーロ/スイス(EUR/CHF)」などの欧州通貨間での取引です。

現在の外国為替市場では、素直に「ユーロ/円(EUR/JPY)」「ポンド/円(GBP/JPY)」に注目しています。
この夏以降、「サブプライム・ローン問題」から、「円キャリー・トレードの解消」が起こっています。そのため、クロス円レートは、大きく下落しました。
8月下旬から、現在に至るまで、そのリバウンド(修正上昇)が起こっています。

8月の「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」を引き起こした、「サブプライム・ローン問題」は根の深い問題で、一気に解決することはないでしょう。
そういった意味で、「円キャリー・トレードの解消」が、すべて収束したとは考えていません。再度、対円のクロス取引が注目を集めるだろう、と考えています。

(2007年10月3日東京時間14:30記述)



2007年10月01日(月) ドル円ユーロ投資戦略
ユーロ/ドル:『ドル売り』のトレンドに、変化が無い

先週のユーロ/ドルの値動きは、膠着感が強かった。

『円キャリー・トレード』に因る『ユーロ円の買い』に支えられて、底堅く動いているが、なかなか、1.4200を、上に抜けることが、出来ずにいた。

トレンドは、何も変わらずに、『ユーロ高ドル安』。
 だから、ユーロドルのショートは、不可。
 しかし、1.4200を、上に抜けることが出来ない場合、目先の調整が、起こる。

膠着感が強い時は、焦れて、イライラする。その感覚は、誰でも、同じだ。

この時点では、目先、ユーロドルは、我慢してスクエア。
セオリーでは、1.4250-60レベルを、上に抜けてから、買い出動すれば良い。

ユーロドルの場合、チャート・ポイントを、一見すると、突き破るのだが、結局、チャート・ポイントが、守られるケースがある。(そういうケースが多い。)

だから、1.4220-30レベルを見ても、チャート・ポイントをブレイクしたのか確認出来ない。
 そこら辺が、ドル円と、違う。そういうクセが、ユーロドルの付き合い難いところ。各通貨ペアの習性だから、合わせるしかない。


先週末のニューヨーク市場で、ユーロドルは、上に抜けた・・・。
『あーあ・・・。』といった気分。

先週末のニューヨーク市場で、ユーロドルは、1.4250-60を上に抜けた。
 これで、『ドル売り』のトレンドに、変化が無いことが、再確認された。
 改めて、『ドル売り』方向で、付いて行くしかない。

『やり難いパターンなんだよね、このパターンは・・・。』(個人的感想)

ドル円は、クロス円の上昇の影響で、比較的に底堅く動いているが、ドル円を買ってはいけない、と考える。
 クロス円の上昇の影響=「円キャリー・トレード」の影響。

しかし、それは、ドル・ストレート取引の中で、比較的に(相対的に)、ドル円でのドル安が、マイルドである、というだけ。
 言い換えれば、ユーロドルや、ポンドドルでの『ドル安』に比べると、ドル円での『ドル安』は、比較的に(相対的に)、穏やかである、ということ。

しかし、ドル円にも、『ドル売りプレッシャー』があることに、何ら変わりが無い。
 つまり、ドル円での、『ドル売りプレッシャー』が、「円キャリー・トレード」の影響で、打ち消されている(相殺されている)状態だ、ということ。

「円キャリー・トレード」の影響が、無くなれば、(弱くなれば、)ドル円での、『ドル売りプレッシャー』だけが、残ることになる。

だから、ドル円を買ってはいけない、と考える。
いつ何時、大きく崩れるか、分からない状態になっている。
それは、「円キャリー・トレード」の影響次第の状態ということ。

(2007年9月30日東京時間12:00記述)



2007年9月27日(木) ドル円ユーロ投資戦略
「さい狼(=やまいぬとおおかみ)」の目が光っている


FOMC(9/18)の前後になって、急にドル/円が買い気配になった。
 それは、ドル/円レートの値動きを見れば、誰にでもわかることで、それが、分からない方が、(気が付かない方が、)おかしい。
 それは、ドル/円レートが上昇しているのだから、誰にでも、分かることだ。
 そして、それは、当然に、『誰か』が、ドル/円を買っているはずだ。

何のニュースもない、まだ、FOMCには、ずいぶんと時間があるときに、マーケットのみんなは、一様に、FOMCを待っているときに、そういった動きがあれば、『その人』は、FOMCに賭けて出ている(=ギャンブルに出ている)のは、明白ではないか?

 『その人』は、FOMCで、ドル/円が上昇することに賭けて、大量の「ドル買い円売り」を実行した(はずだ)。
 大量(巨額)の資金を使わなければ、相場は動かない。
 『ニュースだけで、相場が動く』と言う人がいるが、それは、『ウソ』だ。
 ニュースに基づいて、大量(巨額)の資金が動くから、為替レートも動くのだ!

現に、FOMCの発表前に、米系大手証券の決算発表で、「サブプライム・ローン」に伴う損失が、思った程でもない(事前予想よりも小さい)ことが発表されて、ドル/円は、上昇気味となった。
そのニュースに伴って、「ドル買い円売り」が実行されたから、ドル/円レートが上昇したのだ。
 そのニュースだけで、相場が動いたのではない。

FOMCの日は、その米系証券の決算発表後に、『対米証券投資』が発表されている。
 事前予想に比べて、とんでもなく悪かったのだが、ドル/円レートは動いていない。
つまり、この日は、『対米証券投資』のニュースがあったのだが、そのニュースに基づいて大量の売買が起きなかったのだ。
 否、この日、『対米証券投資』に基づいて、ドル/円を売った市場参加者は存在した(はずだ)。
 その、「ドル/円の売り」を吸収して、ドル/円レートをサポートした、―――つまり、ドル/円レートが下落しないようにドルを買った、―――市場参加者がいたはずだ。

それは、『その人』と、同一人物(同一チーム?)だった、と考えられる。
 『その人』は、FOMCに賭けて、ギャンブルに出ているのだから、降りる訳にはいかなかったのだろう。
 もう、始めてしまったのだから、途中で降りたら、とんでもない損失になる。だから、降りることも、不可能だった。

たぶん、『その人』は、8月の相場で、巨額の損失を抱えている状態だったのだろう。
 そうでなければ、乾坤一擲の勝負に出ることはない。理屈で考えても、想像が付く。

 結果的に、『その人』(そのチーム?)は、FOMC当日、その前後の勝負には、勝った(だろう)。
 しかし、8月の相場で負けた金額には、全く、遠く、及ばない。
 (もともと、「サブプライム・ローン」で負った巨額の損失を、抱えているのかも、知れない・・・。)

まだ、『その人』(そのチーム?)は、対円絡みで、マーケットにしがみついて、目を光らせている。
 「さいろう(さい狼)=やまいぬとおおかみ」の目が光っている。



9/25(火曜日)
タイトル:円キャリー・トレード


今月のFOMCで、ドル金利の[0.50%]の引き下げが、実施された。
ドル金利の、大幅な利下げは、
「ドル売り」のニュース(材料)である。

---ドル金利の引き下げは、
米国株価の上昇につながるので、
「株価上昇からドル買い」を唱える声が上がるのは、
あらかじめ理解しているが、
それは、「我田引水」の意見に過ぎない。---

FED(FRB)が、[0.50%]の、
「大幅な」利下げを断行したのは、
「サブプライム・ローン問題」に起因する損失額が、
巨額だと、FED(FRB)は、判断した、ということです。

FED(FRB)が、その損失額を把握しているのか、
していないのか、不明だが、
---FED(FRB)でさえも、その損失額を、
把握出来ていない様子が、うかがえる---
[0.50%]の引き下げを断行する必要が、ある、
と、判断したことが、事実である。

「サブプライム・ローン問題」が原因の損失額は、
米国経済に、大きく影響を与える程の
巨額である、という判断を、FED(FRB)はした、
ということ。

だから、ユーロドル、ポンドドルは、
ドル金利引き下げ後、
「ドル売り」に、素直に反応して、上昇した。

ドルスイスも、「ドル売り」に反応して、
下落している。

しかし、ドル円だけが、変な反応をしている。

すると、ドル円だけの特殊な要因が、ある筈だ。

それは、円の突出した低金利を利用した
「円キャリー・トレード」しか、考えられない。

金利差享受(いわゆる、スワップ金利)を
狙った取引は、
最終的には、失敗する、と、私は、考えます。


しかし、マーケット(相場)には、一時的に、
金利差を受け取り、利益になる時期(一定の期間)が、
存在します。
それも、事実です。

その場合は、
(「金利差を享受して、利益を得た」場合は、)
最後は、ポジションを閉じて、
マーケットから、逃げないと、
いつまでも、ぐずぐず残っていると、
最終的に、
それまでの利益をも吹き飛ばして、破綻します。

「円キャリー・トレード」の使い方は、
まさに、「もろ刃の剣」と、考える。

私は、最終的に、「円キャリー・トレード」は、
破綻する、と、考えるが、
「円キャリー・トレード」の
拡大している時期(期間)は、
それに逆向かう行動も、『蟷螂の斧』であり、
また、「愚」である、と、考える。

だから、今しばらくは、
「円キャリー・トレード」をやりたければ、
やればよい、という結論になる。

この夏に、
「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が、
かなり出たが、
まだ、あの程度では、
「円キャリー・トレード」は、終わっていないし、
破綻でも無い。

(これから、将来に向けて、破綻する時が来る、
と、考えています。)

「円キャリー・トレード」を行う際に、
知っておかねばならないことは、
最終的に、
「金利差を狙った取引」は、破綻すること。

つまり、ポジションを持ち続けると、
必ず、負ける、ということ。

利益を確保することも、
リスク管理の重要なテクニックです。



2007年9月20日(木) ドル円ユーロ投資戦略
結局は、ドルを買う訳にいかない

昨日(9月18日)、FOMCは、FF金利(ドルの政策金利)の[0.5%]引き下げを決めた。
個人的な、感想は、『なーんだ・・・、利下げしちゃうの・・・』。

私は、FEDの毅然とした態度を期待し、『ドル金利据え置き』を予想していたので、ちょっと、失望感。

自己責任で、投資をして、損をした人、つまり、住宅(不動産)投機をした人たち、そして、巨大機関投機家たちの救済措置をする訳ネ・・・。
今後、モラルは、どーなるのかなぁ・・・?

所詮、バーナンキFRB議長も、こんなもんかねー・・・。
(グリーンスパン氏も、1998年10月のLTCMショックの際に、同じようなことをしているから、一概に、非難はしないが・・・)
以上は、個人的な感想。

個人的な感想は、さておき、私の相場に臨むスタンスは、『相場に勝つこと(=相場で利益を得ること)』だから、きれいごとは、どーでも良い。

ですから、さて、ここから。
現在の与件で、昨日(9/18)のFOMCでは、ドル金利の利下げを実施した。
このことは、『予防的利下げ』。

『サブプライム・ローン問題』に端を発する損失額は、---明確な数字は、いまだ不明だが、---金融システムを揺るがす程に、根が深い(=巨額である)、と、FOMCメンバーが、判断したことになる。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

ドル/円(USD/JPY)のマーケットを、俯瞰してみると、現在(9月19日現在)は、6月下旬に付けたこのところの高値124円から、8月中旬の111円台ミドルまで、大きく下落した後の『調整局面(綾戻し・揺り戻し局面)』にある。

さらに、9月初旬の米国失業率(雇用統計)悪化を材料として、115円台から112円台に急落した後の『調整局面(=リバウンド上昇局面)』でもある。

調整局面が時間的に長引けば、反転上昇する可能性もあるが、その場合の時間とは、少なくとも、2ヶ月程度は必要だろう。

現状の与件を考えると、111円台から、117円台程度で2ヶ月程度の「下値持ち合い」上下動が続けば、反転上昇する可能性も出てくる。

しかも、相変わらず、ダウンサイド・リスクの方が数段に大きい。

今、現時点で、すぐに、111円台ミドルに下落するのは、材料が不足だが、なんらかの拍子に、---原因は何でも構わない---111円台ミドルがサポートされずに、下に向かい出すと、[110.50][110.00]が、次のサポートだが、その下のサポート[109.00]を割り込むと、この間の8月のドル/円(USD/JPY)のフリー・フォール状態の再現もあり得る。

そう考えると、引き続き、ドル/円(USD/JPY)を買う気にはまったくならない。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

上述の考え方は、まったく変わっていない。

FOMC前後になって、ドル/円(USD/JPY)は、[115.50]を上に抜けて、リバウンド(上昇)している。
だから、「下値持ち合い」のゾーンが、『112円台から115円台程度』のゾーンから、『111円台から117円台程度』のゾーンに拡大しただけ。

若干、上方にシフトしている感もあるが、FED(FRB)が、『予防的利下げ』を実施したことで、『サブプライム・ローン問題』に端を発する損失額が、巨額であることも確認された、と考えると、下値も、拡大している、と、考えたほうが、無難だ。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

FOMCに関しては、上述の通りに『なーんだ・・・。利下げかぁ。』と、いったところ。
FEDの毅然とした態度を期待して、『据え置き』を予想したが、ドル金利は、引き下げ。

ただ、これで、対応は、『ドル売り』だから、相場への臨み方は、単純。
同じ、『ドル売り』ならば、『ユーロ買いドル売り』が、ポジションを持ちやすい、と、考える。

『ドル売り円買い』『ポンド買いドル売り』よりも、『ユーロ買いドル売り』が、一番、楽だろう。
ユーロは、利上げを控えているし、気分的に楽。

これで、米国は、予防的利下げを実施したことになるが、だとすると、サブプライム・ローン問題は、想像以上に、悪いことになる。

なおかつ、全員一致の決定。
サブプライム・ローン問題は、相当悪い(巨額の損失がある)という証。

結局は、ドルを買う訳にいかない。

(2007年9月19日東京時間20:30記述)



2007年9月10日(月) ドル円ユーロ投資戦略
本日のFOMC

本日(9月18日)は、FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)。
ドルの政策金利(FF金利)の引き下げを予想する声が、増えている。
それは、それで、理解します。

マーケット(短期ドル金利市場)が、利下げを織り込んだ状態を、FED(FRB=Board of Governors of the Federal Reserve System:連邦準備制度理事会)が、追認する形で、ドル金利の利下げを行う。
FEDは、マーケットのせいにできるので、責任が、無い(回避できる)。

それは、それで、シナリオとして、充分考えます。

また、それは、株安回避にも都合の良い選択でしょう。

しかし、FEDが、考えるべきことは、目先の1000ドル、2000ドルのダウ平均の姑息な上下では無いハズ。

サブプライム・ローン問題に端を発するクレジット・クランチ(信用収縮)は、重大問題だが、公定歩合で、借りることは、恥ではない、と、わざわざ発言した。公定歩合で借りなさい、と、うながしている。

また、今回利下げを開始したら、クレジット・クランチが、解消しても、利上げには、向かえない。(朝令暮改は、政策担当者として、正しい行動とは言えない)

サブプライムに起因する緊急事態も、分かるが、今までに、築き上げてきた威厳・尊厳の方が重い。
 FEDが、プライドを捨てるのは、それは、それで、構わないが、FEDが、今月利下げをしたら、信認が揺らぐ。
 もう少し、経済指標を確認して、米国経済が、後退期に入ったので、利下げする、というなら、納得する。
 無形の『信認』という財産を築くのは、何十年もかかり、大変だが、壊すのは、一瞬。
今月利下げを実施する予定なら、もっと、きちんと、広くマーケットと対話するべき、と考える。
バーナンキFRB議長のやり方は、前のグリーンスパン氏とは違う、と、解釈することも可能だが、それも、立派な態度ではない。

だから、今回のFOMCでは、現在の与件ならば、FED(FRB)は、ドル金利(政策金利=FF金利)を据え置く、と、考えている。

しかし、久しぶりに、ドル金利で、読みの難しい場面に遭遇している。

私は、据え置きを予想するが、マーケットは、引き下げを要求している。
マーケットが、FEDを動かす場合が、あるから、油断はしない!

「利下げか?」「据え置きか?」の事前の判断(予想)は、難しいが、『それへの対応は、簡単』。
 ドル金利引き下げが、実施されたら、ドルを売れば良いだけ。
 据え置きの場合は、若干、ドルは、買われるだろうが、そこは、取りに行かないで、様子を見た方が良い。

ドル金利据え置きの場合、米国株式市場を注目する必要が、あるからだ。
米株が、崩れる場合、結果的に、ドル売りになる可能性が、ある。

今回のFOMCは、最大限の注目をしている。

ただし、『予想をすること』『予想を当てること』は、相場をやる際の目的ではない。
 『相場に勝つこと』『相場で、利益を上げること』が、目的なハズだ!

勘違いしては、いけない。繰り返すが、
『予想を当てることが、目的では無い!』
 『相場に勝つことが、目的だ!』

『予想を当てても、予想を外しても、勝つ』そのための、具体的な典型例が、珍しく、ある、と考えている。



2007年9月13日(木) ドル円ユーロ投資戦略

タイトル:安倍首相の辞任は、為替相場に関係ない


亜細亜大学で講師をしています。

7月初旬の、参院選のかなり前に、その亜細亜大学の授業で、
『自民党が、負けて、総理大臣が、交代する』
と、予言して、学生に話をした。

みな、一様に、きょとんとしていた。

そのことは、私の配信している、その頃のメールマガジンにも書いた。

本日(9月12日)、安倍首相が辞意を表明した。

しかし、今回の件は、
安倍首相が、本来、参院選直後に、辞めるべきだったのに、
安倍首相自身が、間違った判断をして、続投しただけ。

私にしてみれば、以下のように考えている。

『ほれ見ろ!』
『たったの2ヶ月、ズレただけ』
『安倍さんは、民意・下情が、分からない人柄だ』

そして、相場への影響だが、
安倍首相が、辞めることは、外国為替相場に、影響を与えない、
と考える。

通常ならば、日本の政局不安定から『円売り』になるが、
もともと、日本の政局は不安定なのだから、『織り込み済み』になる。

参院で逆転状態だから、日本の政局不安定は、
今後も、長ければ、衆院選挙まで続く。

衆院解散は、自民党にしてみれば、できる限り避けたいところ。

現状では、前回の衆院選のように大勝できる可能性が無いのだから、
解散総選挙の断を下すわけが無い。

だから、解散総選挙に持ち込まれたら、負けるのがわかっているから、
勝負には出ない。

相場も同じだが、
『負けるのがわかっている勝負に出るのは、単なる愚』
それは
『匹夫の勇』


また、今は、『ドル売り』のニュースには反応するが、
『ドル買い』のニュースには反応しない。

センチメント(市場心理)が、そーいった場合だから、
安倍首相が、辞めることは、外国為替相場に関係無い。
(影響を与えない=あっても軽微)



2007年9月10日(月) ドル円ユーロ投資戦略
舌鋒厳しくあるも、老婆心ながら・・・

現実から、目をそむけてはいけない!それは、非常に危険だ!
このコメントは、舌鋒厳しくあるも、老婆心ながら、真剣に書いています。

先週末の「米国雇用統計」で、NFP(非農業部門雇用者数)が、悪かった。
だから、「ドル売り」。
高値で塩漬けになっている持ち値の悪いドル・ロング(ドルの買い持ち)は、早く損切りをした方が良い。(損切りをしないと、危険だ!)

「ドル売り」とは、ドル円を売るのか、つまり、「ドル売り円買い」をするか、あるいは、ユーロドルを買うか、つまり、「ユーロ買いドル売り」をする、ということ。

「ドルを売るとは、どういうことか?」
「それは、ドル・ストレートを売る」という意味。

 耳に痛いことを、あえて、わざと、言う。
 『楽して儲かる』などということは、現代の、この世の中に無い!!
 『それは、ウソだ!』

『少し、冷静に、まともに、考えれば、それは、ウソだ、そんなことは、有り得無い!』
と、誰だって、分かるハズ。

『どうして、それが、理解できないのか?』
人間、欲がからむと、冷静な判断が、出来なくなるという典型例。
そして、『自分だけは、大丈夫』という、『自分だけは、違う』という、変な勘違い。
「オレオレ詐欺」に、騙された話を聞いて、どうして、騙されるのか、不思議でしょ??
 それは、他人事だから。
人間は、自分の事になると、冷静な判断が、出来なくなる。

 もうひとつ、耳に痛いこと。

よくある質問。
 「120円で、買ったドル円が、あるのですが、どうすれば良いでしょうか?」
 「今すぐ、損切りして下さい!」
 「いや、それでは、損をしてしまうので、切れません・・・。」
 「・・・・。」

「そうではなくて、120円で、買ってしまったのですが、今、大きく下落して、含み損になっています。何とかする方法は、ないでしょうか?」
 「無いですね。相場に『魔法』や『手品』は、無いですから。」

「どこで売れば良いとか、ないのですか?」
 「だから、最初に、今すぐ、損切りをして下さい、と、言ったじゃないですか。
いったん損切りをして、上昇すると考えるなら、改めて買えばいい。いったん損切りをして、冷静になって、改めて、売りだ、と、判断するならば、売ればいい。
一番悪いのは、切ることも出来ずに、ただ、待っていること。それは、座して死を待っているだけです。稀に、運が良ければ助かることもありますが、大半は、もっと損が、膨らみますヨ。
 外国為替は、お金とお金の売買だから、含み損と実際の損は、同じですヨ。」

「いや、含み損は、損切りをしなければ、実現損ではない、と思いますが。」
 「ゴーギャンやルノアールの絵画のように、いつでも自由に売買できる訳ではない、そして、評価する人によって、価格が、大きく違う場合は、含み損益を考えることに、意義があります。
 しかし、外国為替は、お金とお金の取引だから、誰が評価をしても同じです。世界中、何処に行っても、誰と取引をしても、損失額は、同じです。
外国為替取引は、換金は、常に可能だから、含み損益と実現損益を区別するのは無意味ですよ。」
 「いや、含み損は、まだ、損ではない・・・」
 「気持ちは、理解します。でも、売っても買っても、どちらも現金なんですよ。」
 「いや、認められません!」

「・・・・。」

何度でも、繰り返す!耳に痛かろうと、あえて、わざと、言う。それが、真実だから。
『楽して儲かることは、無い!』
『それは、ウソだ!』

そして、高値で塩漬けになっている持ち値の悪いドル・ロング(ドルの買い持ち)は、早く損切りをした方が良い。(損切りをしないと、危険だ!)



2007年9月6日(木) ドル円ユーロ投資戦略
FRBのスタンス

特段のコメントでもなく、このところのコメントの焼き直しになります。
念のため、補足しておきます。マーケットの与件に変化が無い、ということです。
逆に、コロコロと、意見・考え方、スタンスが変わる方が、変です。日替わりで、意見が変化するのは、筋が通っていない証左です。
 しかし、マーケットの与件が変化した場合は、『己が豹変する勇気』が無ければ、「殺されます」。
 例えば、現状のマーケットでは、『ドル金利(FFレート)に関して、利下げ期待』が広まっています。それ(マーケットの思惑・期待)は、わかります(理解しています)。

しかし、FED(FRB)が、ドルの公定歩合を0.5%引き下げた際に、政策金利(FF金利)を引き下げなかったのだから、基本的には、FEDは、インフレ懸念を継続して持っていることが、わかる(明白に、推測できる)。

そのことは、米国公定歩合変更のすぐ後で記述しました。
第81回 2007年8月20日米国公定歩合変更の意味

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FED(=FRB:米国連邦準備制度理事会)は、先週末の金曜日、8月17日に、臨時のFOMC(連邦公開市場委員会)を開き、公定歩合を6.25%から0.5%引き下げ、5.75%とする緊急利下げを決めた。
サブプライム・ローン問題に起因する、金融市場の混乱に対応する措置。
政策金利(FF金利)は、5.25%に据え置いた。

このFED(FRB)の意義(メッセージ)を、読み解く必要がある。テレビも、新聞も、アテにならないし・・・。(自分が、充分に、目を通していないだけかも知れませんが・・・。)

このことに関して、大半のコメントは、次のような程度。(困ったものだ・・・、と思っていますが・・・)

『米国公定歩合が、引き下げられたので、金融緩和』
『だから、ドル金利は、下がる可能性が、出て来た』
『それで(公定歩合の変更で)、先週末の米国株価が、上昇したので、日本株価も上昇するだろう』
『株価下落が、円高を招いていたので、来週(8月20日の週)は、ドル円やクロス円は、上昇するだろう』

それは、それで、間違いとは言わないのですが・・・。

しかし、
『その程度しか、思い付かないのぉー・・・?』
 『金利の勉強も、少しは、やれよー・・・』
『為替ディーラーは、勉強嫌いだからなー・・・』
が、個人的な感想。

政策金利(FF金利)を変更していないから、実質的には、『本来は、』何も、影響は、無いハズ。
『何故、そんな無意味なことをしたのだろう?』
と、考えるのが、普通。

FEDは、米国の中央銀行ですよ!
日銀と違って、ちゃんと尊敬されている、敬意を払われている中央銀行ですよ!!

公定歩合は、FEDが、金融機関に、貸し出す金利です。
 このところ、FEDが、巨額の緊急資金供給したことを思い起こせば、クレジット・クランチ(銀行間での貸し渋り、インターバンク市場での貸し渋り)が起きて、米国銀行は、マーケットから、資金調達が出来なくなっていることが、分かる。

ECB(欧州中銀)も同じ。
サブプライム・ローン問題で、名前の挙がっている金融機関は、インターバンク市場での資金調達が、不能なのだろう。

『そりゃー、そーだろー』と、誰だって思う。
『倒産の恐れがある銀行には、誰も貸さない』
 『銀行の審査部は、貸し出し枠を絞るに決まっている』
 『銀行なんて、コンサバのカタマリみたいなものだから、そんなところに資金貸し出しの許可は下りない(おろさない)』

 だから、プレミアムを払って、(通常より、高い金利を払って、)資金調達をするしかない。
 信用収縮とは、そういうことだ。

FEDは、『米国金融機関が資金調達不能で、倒産するリスクを、回避したかったのかなぁ』と、推測できる。
さらに、金融市場の混乱が、酷くなれば、FF金利を変更する可能性を否定は、しない。
今後、サブプライム・ローン問題で、何が、出て来るか、わからない・・・。
しかし、FEDは、現在、FF金利を変更したくないから、こうしたのだ。
つまり、FEDは、まだインフレ懸念を持っていることが、分かる。
 FEDは、まだ、金融緩和をしたくないのだ。

 FEDは、サブプライム・ローン問題ばかりでなく、米国全体の経済に責任を持たねばならない。サブプライム・ローン問題で、株が安くなったからといって、安易に、ドル金利を動かすことが出来ない。
 良識がある、と拍手を送りたい。がんばれバーナンキ議長!!
 それに対して、日銀は、どうするのだろう・・・・?
矜持を保てるのだろうか?
個人的には、信用しきれない・・・。残念ですが・・・。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

ここで、長文にもかかわらず、引用したのは、先週末のバーナンキFRB議長のコメントと、比較して欲しいからだ。
 先週末のバーナンキFRB議長のコメントは、上述のコメントの、焼き直しそのものではないか!?
 きちんと、勉強すれば、金利は、かなりの精度で読める。
 先週末(8月31日)のバーナンキFRB議長のコメントは、8月17日の公定歩合引き下げの直後に、予見できるという証左ではないか?

しかしながら・・・。(ここからも重要)
それにもかかわらず、ドルの政策金利(FFレート)引き下げの思惑(期待感)は強い。

それは、マーケットが、---この場合の「マーケット」は、漠然と多くの市場参加者の気持ちを指している---
『FEDが、利下げに追い込まれるのではないか?』
と、考えているからだ。

つまり、「サブプライム・ローン問題」を起因とした、金融システム不安から、クレジット・クランチ(信用収縮)状態が、継続していることに対する不安が、ぬぐい切れないからだ。

目先の、FEDのスタンスは、読むことができるかも知れないが、マーケットの示唆している(予期している)『FEDが、利下げに追い込まれる』という状況が、無いとは言えない。

このあたりは、『きちんと勉強しても、誰にもわからない部分』。
金利でも、為替でも、マーケットには、『誰にもわからない部分』が、必ず、ある。
だから、「リスク」があるのであり、「リスク」があるから、「キャピタル・ゲイン」がある。(もちろん、「キャピタル・ロス」もある)
 「リスク」が無いと、「キャピタル・ゲイン」も「キャピタル・ロス」も無い。

(2007年9月5日東京時間17:30記述)



2007年9月3日(月) ドル円ユーロ投資戦略
ドル/円は「調整局面」

8月下旬の相場は、概して、「調整局面」となっている。

8月30日の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、115円台ミドル程度---[115.65-70]レベル---でオープン。この日(8月30日)の東京市場午前中のドル/円(USD/JPY)は、積極的な動き無し。115円台後半程度の持ち合い。
 この日(8月30日)は、東京市場午後になって、また、たらたらと下げて、[115.25-30]レベルの安値を付ける。

「あー調整しているなぁ・・・。典型的な『揺り戻し局面』だなぁ・・・。」といったところ。
このあたりの水準での上下動は、典型的な『揺り戻し』の値動き。下がっているから調整なのではなくて、上昇していても調整局面に違いはない。

現在のドル/円(USD/JPY)は、124円から、111円まで大きく下落した後の「揺り戻し局面」(調整局面)と、考えている。
111円台を見てから、理由は何であれ、リバウンド(上昇)している。
しかし、大きく下落した後の、典型的な値動き(=『揺り戻し』)に過ぎない。
特に、[114.00-117.00]のゾーンは、典型的な『下値持ち合い』を形成している。正確な数値(為替レート)を挙げると、[113.80-117.20]程度のゾーンだが、アバウトで考えれば充分だ。大相場のときには、10銭、20銭を気にしているより、もっと大局を見た方が良い。

この与件では、---現在のさまざまな、マーケットの状況を考えると、---個人的には、ドル/円(USD/JPY)を買う気には、全くならない。

週末が近づくと漠然とした期待感から、ドル円、クロス円は、若干の上昇傾向を示した。
 8月30日のロンドン市場は、概して、115円台後半の小動き。
 8月30日のニューヨーク市場は、若干ドル買い気味に推移し、[116.00]アラウンドまで上昇するが、引き続き、115円台後半から[116.00]アラウンドでの小動き。

そのため、8月末(8月31日)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、115円台後半([116.00]アラウンド)---[115.95-00]レベル---でオープン。しかし、積極的な動意がない。東京市場午前中は動かず。
8月末(8月31日)は、東京市場の午後になって、じりじりと「ドル買い円売り」が進んだ。東京市場の夕方には、[116.45-50]レベルまで上昇。
 8月末(8月31日)のロンドン市場のドル/円(USD/JPY)も、116円台ミドル程度での持ち合い。高値は、[116.55-65]レベル。

この日は、ニューヨーク時間に、ブッシュ米国大統領が「サブプライム・ローン問題」に対し、救済策を発表するのではないか、といった期待感が広がっていた。
 また、バーナンキFRB議長の講演も予定されていたので、漠然とした期待感からドル/円、クロス円が買われていた。
 しかし、バーナンキFRB議長は、流動性を確保するための資金供給には対応するとしたが、利下げについては、目先、否定的な発言だった。
 ブッシュ大統領による「サブプライム・ローン問題」についての会見でも、「投機家を救済するのは政府の役目ではない」とコメントした。
まことにもって、その通りであり、ブッシュ大統領にしては、珍しく、立派なコメントだ、と考えている。

ブッシュ米国大統領の発言とバーナンキFRB議長の発言を材料に、ドル/円(USD/JPY)は、[115.45-50]レベルに下落した。
 ニューヨーク・クローズは、115円台後半程度。

「夏休み相場」も明けたので、---ロンドンのレイト・サマー・ホリデーが明けたので、---この夏に、何があったのか、冷静に、振り返るには、よい時期。
 のんびりと、夏にあったニュースを読み直すとか、チャートを眺めるには、ちょうどよい値動きだ。
 大した動きではない。上述の通りに、典型的な「揺り戻し局面」(調整局面)。
 9月の相場が、このまま、凪いだ相場(おとなしい相場)になるとは、考えていない。
 「忙中閑あり」といったところ。気や、体力を養うには良いかな、と思っている。
 9月は、「がんばる月」と、考えています。



2007年08月30日(木)ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:ドル円の115.00

ドル円が、115.00アラウンドの微妙な水準で、上下動を繰り返している。

ドル円は、115.00より上にいると、上昇するような気分になるし、
115.00よりも、下にあると、さらに下落するような気分になる。

何年か以前に、財務省・日銀が、ドル円レートが、下落しないように、大量の「ドル買い円売り介入」を実施した。

調べるのが、面倒なので、うろ覚えの数字だが、32兆円の大量介入じゃなかったかな?

その際の、ターゲット・レート(サポートを目論んだレート)が、115.00だった。

あれ以来、ドル円の115.00は、常に、意識されるレートになった!

大噴火の跡とか、広島の原爆ドームとか、大災害や大事件(大人災)のモニュメントみたいなものだ。

マーケットは、115.00の値覚えをして、忘れていない、ということだ。

馬鹿げたことやったものだ、と、思っている。

私も、115.00を見る度に、広島・長崎の原爆を思い出すように、大量介入を思い出すのだろう!

金融政策で、対応すべき問題で、安易な介入は、すべきではない、と、思量する。

結局、最終的には、介入が、負けてる。
『無理が通れば、道理が、引っ込む』と、いう訳ではない。

さて、いつまでも、115.00で、止まっているわけは、無かろう。

現在の与件で、ドル円を買うのは嫌だ。
つまり、「ドル買い円売り」のポジションを取る気には、全くならない。



2007年8月27日(月) ドル円ユーロ投資戦略
日銀の政策決定会合前後のマーケット

8月22日(水)のドル/円(USD/JPY)は、朝方のシドニー市場で、[114.00]アラウンドの下値を試す動きも出たが、それ以上の『売り方』の追随も無かった。シドニー時間のうちに、リバウンド(ドルの買戻し)。

そして、この日(8月22日)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、[114.35-40]レベルでオープン。
東京市場は、日銀の政策決定会合を、翌日の8月23日(木)に控えて、様子見といったところ。

東京市場の夕方になって、BNPパリバ傘下のファンドの資金凍結が、早ければ今週にも解除されるのではないか、といったウワサを材料に、ドル/円(USD/JPY)が買われた。
ドル/円(USD/JPY)は、114円台ミドルから[115.00]アラウンドに上昇した。

8月22日(水)のロンドン市場、そして、ニューヨーク市場では、ドル/円(USD/JPY)は、[115.00]を挟んだ小動きに推移。
翌日、8月23日(木)の日銀政策決定会合の結果待ち、といったところ。ニューヨーク・クローズは、115円台前半程度。

8月23日(木)のシドニー市場で、ドル/円(USD/JPY)は、115円台前半から、115円台後半に上昇した。
サブプライム・ローン問題が落ち着くのではないか、といった思惑から、また、円金利の引き上げは、先送りされるだろう、といった思惑から、ドル/円(USD/JPY)を買う動きとなった。

その流れから、昨日(8月23日)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、115円台後半でオープン。

8月23日(木)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、結果的には、終日、115円台後半から、116円台に乗せたあたりでの小動きとなった。

8月23日(木)の昼過ぎ、日銀は、政策金利の据え置き決定を発表。
円の政策金利は、[0.5%]のまま据え置かれた。


7月下旬の参院選の前から、参院選後の8月には、日銀が円金利引き上げを実施することが確実視されていた。
しかし、7月下旬以降、米国の「サブプライム・ローン問題」から、金融市場では、「クレジット・クランチ(=信用収縮)」が発生。
世界同時株安となった。
米国は、ドルの公定歩合を引き下げる措置を採った。

こういった与件の変化から、『円金利の引き上げは、「先送り」されるだろう』と、マーケットのコンセンサス(合意・お決まりの約束ごと)は変化した。
「全く、何が起こるか、わからないものだ・・・」

直前の予想では、円金利据え置きは、大多数を占めた。
日銀の発表直前のドル/円(USD/JPY)レベルは、[116.00]アラウンド。
円金利据え置きは、事前の予想通り(マーケットの期待通り)であったため、それが発表されても、特段の値動きになっていない。

日銀の、円の政策金利の据え置き発表後、ドル/円(USD/JPY)レベルは、若干、「円高方向」に推移し、115円台後半程度になった。「織り込み済み」の反応。
『予想で買って、結果で売る』といった反応。しかし、動いた内にも入らない程度の値動き。

8月23日(木)のロンドン市場では、円安が進行した。

特段のニュースや材料があったわけではないが、ドル/円(USD/JPY)では、[116.20-30]を上に抜けたあたりと、[116.50-60]を上に抜けたあたりに、ストップ・ロス・オーダー(損切りのドル買い円売りオーダー)があった様子。

ドル/円(USD/JPY)の上昇に弾みがつき、[117.10]アラウンドまで急上昇となった。
目先で、ドル/円(USD/JPY)を売っていた向きの損切りで動いてしまった印象。

117円台では、待ち構えていたドル売りもあった様子。
一時的に、117円台に乗せると、その後のドル/円(USD/JPY)は、116円台前半にまで、タラタラと下げた。

ドル・ショートの損切りも終わっているし、さりとて、116円台後半、116円台ミドルでは、買う気にもならないので、タラタラと下げた印象。

8月23日(木)のニューヨーク市場は、そういった、タラタラと下げる場面。

ニューヨーク市場の昼前後になって、[116.20-30]を割り込むと、今度は、目先で、ドル/円を買っていた向きのストップ・ロス(損切りのドル売り円買い)を付けて下落。

ドル/円(USD/JPY)は、115円台ミドル程度---[115.60-70]レベル---の安値を見ている。

ニューヨーク市場の午後は、値幅はあるものの、フラクチュエーション(意味のない上下動)といった印象。115円台後半から、116円台前半程度で推移した。

何だか、マーケット(外国為替市場)が傷付いている、といった感覚。
目先のディーリング(短期売買)は、「買っても、負けるし、売っても、負けている」だろう、といった印象。
何とかしようと、あせって目先の売買にはまっている様子が感じられる。

さりとて、ドル/円(USD/JPY)のロングでつかまっている、本格的なポジション(塩漬けになっているポジション)は、[120.00]よりも上のコストだから、本質的な損切りもままならない。
そこで、目先の売買で、少しでも、利益を狙うのだが、かえって、損失になっている、といった印象。



2007年8月23日(木) ドル円ユーロ投資戦略
マーケット・コメント

現状のマーケット(金融市場)では、「サブプライム・ローン問題」が、「質への逃避」を引き起こしました。
「質への逃避」の一環として、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が惹起されました。
そういった意味では、「サブプライム・ローン問題」が、引鉄(ひきがね)ですが、マーケットは、動き出してしまえば、原因や理由は、さほど問題ではありません。
 「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」そのものが、現在の外国為替市場のテーマになってきています。

現在の「質への逃避」のバロメーター(メルクマール:指標)は、株式市場(各国の株価)になっており、株価の上下動で、為替レートが右往左往しています。
 つまり、株価の動きで、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が加速されたり、さらに、その買戻しが起こったりしています。

 もちろん、先週のマーケットは、「大相場」といって良いでしょう。
 『5年に一度程度』の相場つきだ、と考えています。
今週になって、急に、おとなしくなった印象もあります。
それは、激しい値動きを見た直後だからです。

 今週の週明け、月曜日(8月20日)の東京市場は、ドル堅調に推移。「ドルじり高」で、細かい上下動を繰り返しながら、114円台前半から114円台後半に上昇。東京市場の夕方になって、[115.00]を上に抜けています。
 先週大きく「円高」が進んだ「綾戻し」の動きです。
 週明け、月曜日(8月20日)のロンドン市場も、東京市場の流れを引き継ぎ、ドル/円(USD/JPY)は、堅調に推移。ロンドン市場のドル/円(USD/JPY)は、おおむね、[115.00-115.50]程度。
 週明け、月曜日(8月20日)のニューヨーク市場は、ニューヨーク株式が軟調だったことから、ドル/円(USD/JPY)は、115円台前半から、114円台前半に急落。
 ニューヨーク市場の午後になって、ニューヨーク株の買戻しが出ると、それを見て、今度はドル/円(USD/JPY)急騰。114円台前半から、115円台前半に、約1円の急上昇。

 まだ、落ち着きを取り戻していない、先週の余波が残っているのが、この値動きからわかります。

こういった流れを受けて、8月21日(火)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、114円台後半程度でオープン。
8月21日(火)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、114円台後半から、115円台に乗せたあたりでの小動き。
東京市場の夕方、欧州勢が参加してくると、ドル/円(USD/JPY)は、114円台前半に下落。
安値は、[113.95-05]レベル。
 ロンドン市場は、114円台前半から、リバウンドし、再度、114円台後半程度---[114.70-80]レベル---に上昇した。

8月21日(火)のニューヨーク市場のドル/円(USD/JPY)は、114円台ミドルでのフラクチュエーション(意味の無い上下動)。
---それなりに、株価とかの影響はあるのだろうが、大勢に影響が無い、と思料。---

 それなりに、振幅はあるとも言えるが、このところの「大相場」を見てしまうと、この程度の動きは、動いていない、と感じてしまう。多くの市場参加者が、同じ気持ちだろう、と考えます。

日銀の政策決定会合を8月23日(木)に控えて、様子見といったところ。

日銀も、現在の与件から、この状況では、円金利を据え置く公算が強い、と考えます。
---市場は、すでに、円金利が据え置きの方が多数派になっている。---

8月22日(水)の東京市場も、日銀の政策決定会合を、明日8月23日(木)に控えて、
様子見が続いています。
 まだ、波乱を含んでいます。
リスクが高いことを理解して、マーケットに臨む必要があります。
(2007年8月22日東京時間15:00記述)



2007年8月20日(月) ドル円ユーロ投資戦略
米国公定歩合変更の意味

FED(=FRB:米国連邦準備制度理事会)は、先週末の金曜日、8月17日に、臨時のFOMC(連邦公開市場委員会)を開き、公定歩合を6.25%から0.5%引き下げ、5.75%とする緊急利下げを決めた。
サブプライム・ローン問題に起因する、金融市場の混乱に対応する措置。
政策金利(FF金利)は、5.25%に据え置いた。

このFED(FRB)の意義(メッセージ)を、読み解く必要がある。テレビも、新聞も、アテにならないし・・・。
(自分が、充分に、目を通していないだけかも知れませんが・・・。)

このことに関して、大半のコメントは、次のような程度。
(困ったものだ・・・、と思っていますが・・・)

『米国公定歩合が、引き下げられたので、金融緩和』
『だから、ドル金利は、下がる可能性が、出て来た』
『それで(公定歩合の変更で)、先週末の米国株価が、上昇したので、日本株価も上昇するだろう』
『株価下落が、円高を招いていたので、来週(8月20日の週)は、ドル円やクロス円は、上昇するだろう』

それは、それで、間違いとは言わないのですが・・・。

しかし、
『その程度しか、思い付かないのぉー・・・?』
 『金利の勉強も、少しは、やれよー・・・』
『為替ディーラーは、勉強嫌いだからなー・・・』
が、個人的な感想。

政策金利(FF金利)を変更していないから、実質的には、『本来は、』何も、影響は、無いハズ。
『何故、そんな無意味なことをしたのだろう?』
と、考えるのが、普通。

FEDは、米国の中央銀行ですよ!
日銀と違って、ちゃんと尊敬されている、敬意を払われている中央銀行ですよ!!

公定歩合は、FEDが、金融機関に、貸し出す金利です。
 このところ、FEDが、巨額の緊急資金供給したことを思い起こせば、クレジット・クランチ(銀行間での貸し渋り、インターバンク市場での貸し渋り)が起きて、米国銀行は、マーケットから、資金調達が出来なくなっていることが、分かる。

ECB(欧州中銀)も同じ。
サブプライム・ローン問題で、名前の挙がっている金融機関は、インターバンク市場での資金調達が、不能なのだろう。

『そりゃー、そーだろー』と、誰だって思う。
『倒産の恐れがある銀行には、誰も貸さない』
 『銀行の審査部は、貸し出し枠を絞るに決まっている』
 『銀行なんて、コンサバのカタマリみたいなものだから、そんなところに資金貸し出しの許可は下りない(おろさない)』

 だから、プレミアムを払って、(通常より、高い金利を払って、)資金調達をするしかない。
 信用収縮とは、そういうことだ。

FEDは、
『米国金融機関が資金調達不能で、倒産するリスクを、回避したかったのかなぁ』
と、推測できる。

さらに、金融市場の混乱が、酷くなれば、FF金利を変更する可能性を否定は、しない。
今後、サブプライム・ローン問題で、何が、出て来るか、わからない・・・。

しかし、FEDは、現在、FF金利を変更したくないから、こうしたのだ。

つまり、FEDは、まだインフレ懸念を持っていることが、分かる。
 FEDは、まだ、金融緩和をしたくないのだ。

 FEDは、サブプライム・ローン問題ばかりでなく、米国全体の経済に責任を持たねばならない。サブプライム・ローン問題で、株が安くなったからといって、安易に、ドル金利を動かすことが出来ない。
 良識がある、と拍手を送りたい。がんばれバーナンキ議長!!
 それに対して、日銀は、どうするのだろう・・・・?
矜持を保てるのだろうか?
個人的には、信用しきれない・・・。残念ですが・・・。



ドル円ユーロ投資戦略 2007年8月16日(木)分

タイトル:各国中央銀行の協調資金供給


先週8月9日のFED(米国の中央銀行システム)のオペレーション(資金供給)は、
240億ドル(約2兆9000億円)。

ECB(欧州中央銀行)が、950億ユーロ(15兆4000億円)の資金供給。

8月10日の日銀の資金供給が、1兆円。

緊急の資金供給としては、September11の時より多いらしい。

株価の急落は、問題だが、そんなに重大問題なのか?
何だか、訳が、わからないから、余計に不安になる。

各国の中央銀行は、当然に、ある程度の数字を
つかんでいるのだろう(と、誰でも考える)。

つかんでいなかったら、その方が問題が大きくないか?(「か?」は反語)

そう考えると、
『世界の金融システムが、震撼する程の損失が、
「サブプライム・ローン問題」で、積み上がっているということか?』
といった疑念が湧き上がる。

各国の中央銀行が、明確な説明をしないと、かえって、
リスク回避(質への逃避=Fry to Quality)を惹起(=引き起こす)する。

今週になっても、各国中央銀行の資金供給は続いている。

そのため、『米国の利下げ(ドル金利引下げ)』や、
『日銀の利上げ回避(円金利の据え置き)』が話題に上っている。

あくまでも、現時点での、与件での判断だが、
この状況で、米国が、早期利下げ(ドル金利引下げ)を実施したら、
日米金利差縮小を理由に、かえって、
「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」は、
強まることになるでしょう!

ただし、米国は、年内は、ドル金利を据え置く、と、考えていますが。
(ドル金利引き下げが、あっても、年末と、考えます。)

現在のマーケットでは、
「サブプライム・ローン問題」が、
「質への逃避」を惹起し、
「質への逃避」の一環として、
「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」となっている。
「円キャリー・トレード」を止めれば、
為替リスクは、ゼロになる(無くなる)からだ。

現時点では、ドル金利の絶対水準は、無関係に、
「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」
が、起きています。

こういう状況で、ドル金利が、引き下げられれば、
「円キャリー・トレードのアンワインド」は、
加速する方向に、ベクトルは、働きます。
つまり、多くの人が、望まない(嫌がる)方向には、
力は、増幅される、ということです。

マーケットは、多くの人が、困る方向に、力が働くと、加速・増幅するが、
逆方向に、力が働く場合は、 ほとんど話題にならない、という状況になる。

現実問題としては、以下のように考えます。

まあ、ドル金利の変更は、目先は、無い!
だから、資金供給を実施した。
ドル金利を動かす考えが、無いことの証が、今回の資金供給。

ドル金利引き下げの意図があれば、資金供給をしないで、
緊急利下げを実施する。
(セプテンバー11の際は、そうした。)



2007年8月13日(月) ドル円ユーロ投資戦略
「サブプライム・ローン問題」でECB、FRBが資金供給オペレーション

先週後半、8月9日(木)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、119円台ミドル程度を維持していたが、東京市場の夕方になって、[119.00]アラウンドに急落。8月9日(木)のロンドン市場のドル/円(USD/JPY)は、下げ足を加速して、118円台ミドルに下落した。
原因は、BNPパリバ(フランスの大手金融機関)の、傘下の、3つのファンドが資金を凍結したこと。「サブプライム・ローン問題」が、原因となって、世界的に損失が拡大している、といった認識が広がった。そのため、"Fly to Quality"(質への逃避)の意識が広がり、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」が起きた。

ECB、FRBが資金供給オペレーションを行い、ブッシュ大統領が住宅問題に対して、強気なコメントを発表した。しかし、マーケットの、「リスク回避」の動きは収拾せず、8月9日(木)のニューヨーク市場のドル/円(USD/JPY)は、118円台前半で、安値引けとなった。
8月9日のFED(米国の中央銀行システム)のオペレーション(資金供給)は、240億ドル(約2兆9000億円)。
 8月9日のECB(欧州中央銀行)が、950億ユーロ(15兆4000億円)の資金供給。
 大量の資金供給(資金放出)は、「かえって不安心理をあおる」結果となった。

事態が、よくわからない、かつ、明確な説明も無いのだから、マーケット(金融市場)が、そういった反応を示すのは、当然の帰結、と考える。

 8月10日(金)のシドニー市場で、ドル/円(USD/JPY)は、[118.00]を割り込み、もう一段、下落した。
 8月10日(金)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、117円台後半---[117.85-90]レベル---でオープン。
8月10日(金)の東京市場は、緊張感のある中、[118.00]を挟んで、小動きに終始した。

8月10日(金)に日銀は、1兆円の資金供給を実施。

8月10日(金)のロンドン市場では、ドル/円(USD/JPY)は、もう一段、下落。
[117.20]アラウンドの安値を付けた。

要因は、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」。
「サブプライム・ローン問題」が、原因となって、リスク回避が起きている。
8月9日の時点で、ECBの資金供給が、950億ユーロ(15兆4000億円)と、突出して大きい。
 『BNPパリバ(欧州の巨大金融グループ)の損失額が、異常に大きいのではないか?』
 『欧州経済に、影響を与えるほどの損失額なのか?』
 『米国では、メリルリンチやゴールドマンサックスの名前が挙がっているが、欧州でも、巨大金融機関が潰れる(破綻する)可能性もあるのか?』
といった、疑心暗鬼を引き起こした。

 8月10日(金)の朝方のニューヨーク市場は、117円台前半ないし117円台ミドル程度であった。
結果的に、8月10日(金)のニューヨーク市場午後のドル/円(USD/JPY)は、[118.00]を回復し、一時、[118.50]も上に抜けて上昇した。
急騰(ドル円のリバウンド上昇)の原因は、FED(米連邦準備理事会=FRB)が、8月9日に引き続き、市場安定化のために、追加の資金供給を実施すると発表したこと。

そのため、リスク回避(質への逃避=Fry to Quality)が一時的に沈静化。
ニューヨーク株式市場が上昇し、前日比プラスに転じるとドル/円(USD/JPY)は、高値[118.65-75]レベルを付けた。
 理由・原因は、何であれ、典型的な「夏休みの薄い中の乱高下相場」となった。
また、米国で有名なファンドの損失が報道されると、再び、乱高下の様相を呈した。
ドル/円(USD/JPY)のニューヨーク・クローズは、118円台ミドル程度。

通常は、各国の中央銀行(中央銀行システム)は、市場の安定化を主目的として行動する。しかし、今回のドタバタを見ると、株価急落を懸念して、各国の中央銀行(中央銀行システム)が、引っ掻き回しているように、感じるのは、私だけだろうか?(「か?」は強い反語)

株価急落を懸念して、その対応を行っているのはわかるが、それ以上に、実態がわからないから、不安になり、市場参加者が右往左往する。
 もっと、具体的な、数字を示しての説明が行われれば、市場は、落ち着く。
 換言すれば、
 『BNPパリバの具体的損失額は、いくらなのか?』
 『メリルリンチやゴールドマンサックスの具体的損失額はいくらなのか?』
 『サブプライム・ローン問題に伴う具体的損失額は、いくらなのか?』
を発表(公表)するべきだ、と考える。
それを発表(公表)したら、もっと、驚愕して、不安になってしまうのかも知れませんが・・・。それに関しては、何とも、言いようが、ありません・・・。



2007年8月9日(木) ドル円ユーロ投資戦略
【『絶対水準で、戦うのか?』『値動きを切り取るのか?』】

前回(8月6日)のコメントで、このところのユーロ/円(EUR/JPY)の値動きを述べた。
現在のところ、ユーロ/円(EUR/JPY)は、高値から急落した後の、典型的な「揺り戻し局面」(=高値から急落した後の「下値持ち合い」)にある。
まだ、下値リスクは、収まっていない。

 外国為替取引を行う際の「戦い方(手法)」には、『絶対水準で、戦う』『値動きを切り取る』といった2パターンがある。
 その2パターンを、厳密に、区別することも、また難しいが、考え方、相場への臨み方という意味で、理解していただければありがたい。

「絶対値(絶対水準=絶対レベル)で、戦うのか?」

それならば、---絶対水準で戦うのならば、---ユーロ/円(EUR/JPY)は、169円から、(正確には、高値は、168.90-95だが、それは、169円と、言って良い)160円台まで下落しているのだから、現時点で、ユーロ/円(EUR/JPY)のロング(買い持ち=ユーロ買い円売り)を持っているのは、誤り、と言える。
つまり、絶対水準で戦うのならば、ユーロ/円(EUR/JPY)を、"BUY AND HOLD" するのは(しているのは)、間違いと、言える。

絶対水準で、戦うのではなく、『値動きを切り取る』戦い方をするのならば、160円台を買って、163円台、164円台を売る行動は、正しい、と、言える。
---現状の、ごく目先の値動きで言うならば、162円程度を買って、163円、164円を売る行動と言う方が、わかりやすいかも知れない。---

しかし、その場合は、スクエア(ポジションの無い状態)から、始める行動。

高値でのロング・ポジションを抱えて、取る行動では無い。---それは、『値動きを切り取る』戦い方でも無い。---

つまり、絶対水準で、戦うならば、ユーロ/円(EUR/JPY)が、[165.00]を割り込んだ時に、ユーロ/円(EUR/JPY)のロングは、損切りを敢行するべき。

絶対水準で、戦うのではなく、『値動きを切り取る』戦い方をするならば、スクエアが、基本の状態だから、
---スタート時点での、持ち高は、スクエア(ポジションの無い状態)のはずだから、---
高値でのロング・ポジションが残っているのは、おかしい。
つまり、「それは変だ」ということ。戦い方に整合性がない。戦い方に齟齬があるということ。





2007年8月6日(月) ドル円ユーロ投資戦略
このところのユーロ/円(EUR/JPY)

6月中旬に、ユーロ/円は、「ユーロ統合以来の最高値」を更新して、[165.00]を上に抜けた。
 6月下旬に、一時、[165.00]を割り込む局面も見られたが、俯瞰(ふかん)して見るならば、6月中旬以降の、ユーロ/円は、概して、165円台よりも高い水準を維持し、「ユーロ統合以来の最高値」を何度も更新して、上昇を続けている。
 通常は、クロス円の上昇相場は、上下動(ジグザグ運動)を繰り返しながら上昇して行く。典型的な、上昇波動に乗った値動きだった、と言える。

そういった、典型的な、上昇波動に乗った値動きは、7月中旬まで続いた。
 7月の中旬には、168円台後半---「168.90-95」レベル---の「ユーロ統合以来の最高値」を付けている。

7月20日(金)の東京市場のユーロ/円は、[168.50-55]レベルでオープン。
 7月20日(金)の東京市場のユーロ/円は、更なる「ユーロ統合以来の最高値」をトライする雰囲気も広がっていた。
 しかし、東京市場午後の高値は、[168.80-85]アラウンドで、「ユーロ統合以来の最高値」水準の、「168.90-95」レベルに届かず。
 東京市場クローズ(東京時間17:00)は、168円台ミドルに垂れ下がった。
7月20日(金)のロンドン市場のユーロ/円は、168円台ミドルで小動き。
 7月20日(金)のニューヨーク市場になって、サブプライム・ローン問題を材料に、ドル売りが広がった。
 ドル/円(USD/JPY)は、[122.00]を割り込むと、121円台後半から、121円台ミドルに、急落。
 サブプライム・ローン問題は、「米国へ投資されている資金の引き上げ」を促している。
 リスクを回避する、つまり、ヘッジ(Hedge)の意識を高めている。

このところ、活発に、拡大していた円キャリー・トレードのアンワインド(買戻し)が出て、「円買い」は加速した。この「円買い」の影響から、ユーロ/円(EUR/JPY)は、168円台ミドルから167円台ミドルに、1円以上の急落となった。

 7月23日(月)のシドニー市場で、ユーロ/円は、167円台ミドル程度から、168円台ミドル程度に急騰。しかし、シドニー市場で投機的に「ユーロ買い円売り」を仕掛けた様子。シドニー市場の時間帯のうちに、167円台後半に戻している。
---どこかの投機筋が『売りたいから、買いを仕掛けたのではないか?』と考えています。---

7月23日(月)の東京市場では、ユーロ/円は、167円台後半で---[167.80-85]レベル---で寄り付いた。
 東京市場が始まると、すぐに167円台ミドルに下落した。その後は、概して、167円台ミドルないし、167円台前半程度。

 【Fly to quality:質への逃避】が、7月下旬以降のキーワードとなった。
 【Fly to quality:質への逃避】は、当然に、「為替リスクの回避」も惹起する。
『自国通貨へ回帰すれば、為替リスクは無くなる』『「円キャリー・トレード」を止めれば、為替リスクは無くなる』といったロジックだ。そのため、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」もでる。

7月25日(水)のニューヨーク市場で、ユーロ/円は[165.00]を割り込んだ。
 明確に、下抜けを確認できるのは、7月26日(木)のロンドン市場であるが、【Fly to quality:質への逃避】による、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が継続していることを考えれば、ユーロ/円の、更なる下落リスクが大きいことは、明白であった。

7月26日(木)のロンドン市場で、『明確に』、[165.00]を割り込むと、ユーロ/円は、162円台にまで急落。
7月27日(金)の東京市場で、[164.00]アラウンドまでのリバウンド(綾戻し)を見る局面もあったが、7月30日(月)のシドニー市場では、160円台ミドル---[160.55-65]レベル---まで急落する。

7月末から、この8月上旬(8月3日)までのところは、160円台ミドルから、163円台後半程度のレンジの中で、乱高下している印象もあるが、要するに、高値から急落した後の「下値持ち合い」を形成している。
 典型的な「揺り戻し局面」(=高値から急落した後の「下値持ち合い」)に、ユーロ/円は、突入している。

このまま、まだ、「持ち合い相場」(=高値から急落した後の「下値持ち合い」)が続くのか、「円キャリー・トレード」が復活するのか、今の時点では、判断が付かない。

「下値持ち合い」が、もうしばらく続き、下値が固まってくれば、「円キャリー・トレード」が復活する可能性も否定しないが、「下値持ち合い」が、始まったのが、7月27日(金)であることを考えると、この8月いっぱいくらいまで「下値持ち合い」が、継続しないと、
『底値固め』とは、呼びにくい。

仮に、事前の予想通りに、(予定通りに、)円の政策金利の、[0.25%]引き上げが実施されても、[0.75%]に過ぎず、その絶対値が低金利である。
だから、「円キャリー・トレード」が復活する可能性も否定しない。

しかし、『今後、円金利引き上げは、断続的に引き上げが実施されることになる』(と、予測する)。

まだ、そうはならないだろうと考えているが、マーケットの注目(関心)が、『円金利の変化(今後もさらに上昇していく)』に向かうと、「円キャリー・トレード」は復活するのではなく、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」が、継続することになる。

もっと、わかりやすく、為替レートで換言するならば、
『ユーロ/円(EUR/JPY)が、[160.00]を下に割り込むのか?』
『ユーロ/円(EUR/JPY)の、[160.00]がサポートされるのか?』
が、ポイントになる。

現在のところ、ユーロ/円(EUR/JPY)は、高値から急落した後の、典型的な「揺り戻し局面」(=高値から急落した後の「下値持ち合い」)にある。
 下値リスクは、収まっていない。
「夏休み相場」でもあるし、ユーロ/円(EUR/JPY)は、しばらく、様子見で良い、と考えている。



2007年8月2日(木) ドル円ユーロ投資戦略
リスク回避(質への逃避=フライ・トゥ・クオリティ)のテーマ変わらず

このところ、注目を集めていたニューヨーク・ダウは、先週末金曜日(7月27日)にも、最終的には200ドル以上の大幅下落となった。
そのため、先週末金曜日(7月27日)のドル/円も118台ミドルで、ニューヨーク・クローズ。ユーロ/円も161円台で、下落傾向にて、ニューヨーク・クローズとなった。

その流れから、週明け月曜日(7月30日)のウェリントン市場・シドニー市場では、ドル/円は急落。一時、[118.00]を割り込み、117円台後半を示現している。

しかし、週明け月曜日の東京市場は、比較的静かな展開。118円台ミドル程度で、様子見となった。東京市場の引けにかけて、ドル/円は、[119.00]近辺まで上昇している。

週明け月曜日のロンドン市場では、[119.00]アラウンドから、118円台前半に急落する場面もあったが、[118.00]を割り込むことがなかったことから、つまり、ウェリントン市場・シドニー市場で付けた安値を更新しなかったので、その後のロンドン市場で、ジワジワと、ドル買い戻しとなった。
7月30日のロンドン市場、ニューヨーク市場は、概して、118円台での推移となった。

7月31日のシドニー市場では、もう一段の「ドル買戻し」となり、ドル/円は、119円台前半に、再び乗せた。

そういった流れから7月31日の東京市場のドル/円は、119円台前半で寄り付き、東京市場の時間帯は、[119.00]を挟んだあたりでの上下動小動きに落ち着いてきた。

7月31日のロンドン市場、および、ニューヨーク市場の昼過ぎまでは、ドル/円も、概して、穏やかに、119円台前半程度で持ち合った。
 このところ、不穏な値動きが続いていたが、少し、安心感が広がっていた。

 ところが、ニューヨーク市場の午後から夕方に、ニューヨーク株式が、下落したことから、リスク回避(Fly to quality:質への逃避)に、センチメント(マーケットの雰囲気)は一変した。

前回のコメントでも触れたが、【Fly to quality:質への逃避】が、現在のマーケット(外国為替市場を含む金融市場)のメイン・テーマ。
【Fly to quality:質への逃避】は、株式から債券への資金シフトを惹起(じゃっき)する。---リスクの高いものから、リスクの低いものへの動き---
 そのため、「米国国債(T-Bond)の買い」となり、米国国債利回り(=長期金利)は低下した。

【Fly to quality:質への逃避】は、当然に、「為替リスクの回避」も惹起する。---自国通貨へ回帰すれば、為替リスクは無くなる。「円キャリー・トレード」を止めれば、為替リスクは無くなる。---
 そのため、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」もでる。

米国長期金利も下落気味ということは、日米金利差縮小であり、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」は、ますます出ることになる。

こういったことから、7月31日のニューヨーク市場の午後から夕方に、ドル/円は、[118.40]アラウンドまで下落した。

8月1日のシドニー市場、および、東京市場の午前中のドル/円は、[118.50]を挟んでの小動きだったが、東京市場の午後になって、日本株式の下落、アジア株の下落を材料に、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」の動きが広がり、ドル/円は、[118.00]を割り込んで急落。
安値は、今のところ、[117.55-65]レベルで、117円台ミドル。

週明け月曜日(7月30日)のウェリントン市場・シドニー市場で付けた、ドル/円の安値117円台後半を割り込んだ[117.80]アラウンドには、ストップ・ロス(損切りのドル売り円買い)もあった様子。

まだ、【Fly to quality:質への逃避】が、現在のマーケット(外国為替市場を含む金融市場)のメイン・テーマである状況に変化がない。
(2007年8月1日東京時間18:30記述)



2007年7月30日(月) ドル円ユーロ投資戦略
リスク回避(質への逃避=フライ・トゥ・クオリティ)

先週末(7月27日金曜日)に、ニューヨーク市場で発表された米国GDPは、事前の予想より多少良かった。
しかし、GDPの影響力があるのは、30分くらいのもの。長くても、せいぜい1時間程度。米国経済指標の影響力などそんなものです。

先週末に、多くの市場参加者が注目していたのは、米国株式市場。
ダウは大きく下落して始まったが、早いうちに、寄り付きの値段に戻した。
そのため、ニューヨーク市場の午前中は、米国株価下落(サブプライム・ローン問題)を材料とした「ドル売り」は一服していた。

この時点で、考えていたことは、週末の金曜日なので、市場参加者が少ないこと。
「夏休み相場」なので、市場参加者がいっそうに少ない。
閑散の中、米国株価に動きが無ければ、為替も静かな値動きの可能性もある。

その場合は、現在のメイン・テーマ「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」は、来週に持ち越し。
しかし、持ち越すだけで、まだ、終わっていない。

夏休みシーズンは、7月4日の米国独立記念日から、8月最終週のレイト・サマー・ホリデーまで。その期間には、余計なリスクを避けて、ポジションを縮めることも、戦術(戦略)と考えています。

先週末のニューヨーク市場は、重要なポイントになる、と考えてその後の展開を見守った。
残念なことに、先週末(7月27日金曜日)のニューヨーク市場では、結局のところ、ダウは200ドル以上の大幅な下落。
ドル/円(USD/JPY)も118円台ミドルで、「円高気味」にニューヨーク・クローズ。
ユーロ/円(EUR/JPY)も、161円台で下落傾向のままニューヨーク・クローズ。

週明けの、ウェリントン市場、シドニー市場で、ドル/円、ユーロ/円が、窓を開けて、急落する可能性も出てきた。

参院選にも、言及しておこう。
自民が負ければ、日本株売り。
「日本株売り」は、為替での「円売り」を期待する向きもあろうが、そうはならない。
「日本株売り」は、『リスク回避(質への逃避=フライ・トゥ・クオリティ)』を呼び込む。
だから、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」を呼ぶことになる。

(それは、無いだろうと考えているが、)万一、自民が勝っても、その場合は、先週末のニューヨーク株式大幅下落の写真相場となって、「日本株も売り」となるだろう。
その後のコメントは、まったく同じ。
だから、参院選は、為替相場には、関係ない。

当面の外国為替市場のメイン・テーマは、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」となる。
もう少し、このテーマを、深く掘り下げて斟酌するのならば、『リスク回避(質への逃避=フライ・トゥ・クオリティ)』が、当面のメイン・テーマであることに気が付くことでしょう。
(2007年7月29日東京時間13:00記述)



ドル円ユーロ投資戦略(タクティクス)2007年07月26日(木)

【あなたが相場で取る行動はどれか?】
---拙著『FXで稼ぐ人はなぜ「1勝9敗」でも勝つのか?』から、引用---

この本を、書くに当たって、『この本が出版されてから、しばらくしたら、このことが起こるだろう』と、想定して、以下の文章を記述しました。(2006年12月に記述しました)

この本が、2007年2月22日に出版されて、その後、すぐに、「上海株ショック」(2007年2月下旬)が起こり、すでに、一度、以下の文章は、『役に立っています』。
 しかし、本当は、2007年前半に起こることを想定していたのではなく、これから(2007年夏以降に)起こることについて、それを想定して書いた文章です。
 私の気持ちとすれば、『今、引用、紹介しないで、いつ、それをするのだ?!』といったところです。

今回、仮に、『結果として、目先、役に立たなくとも』、---仮に、2007年7月下旬に役に立たなくとも、「いずれ」という意味で、---『以下の文章が、必ず役に立つときが来ます』。
 自信を持って、そう、予言、断定します。
ただし、今回の値動きで、そうなると、断定しているのではないことにも、留意してください。文章の、読解力がないと、こういった『予知・予言』は、身を滅ぼします。
(傲慢に言っているのでもなく、スノビッシュでもありません。真意を汲み取って下さることを、期待・希望します。)

以下引用です。

第6章 相場で勝つのはこういう人!相場に向くメンタル、向かないメンタル
3 相場で勝てる人、負ける人

●●マーケットで起こっていること

道を歩いていると、道端に人が倒れています。
「大変だ!」
と思って近寄ってみると、瀕死の重傷。もう、助かる見込みがない状態です。今から救急車を呼んでも、間に合わないことは明白。その人は、苦痛にもだえています。
正直に、「もう助からないという事実」を伝えてから、その人に尋ねます。
「ひと思いに、楽にして欲しいか?」
それとも、
「苦しいかもしれないが、そのまま、放っておいて欲しいか?」
その人が答えた通りにしてあげます。
それから、その人に、1つお願いをします。
その人には、もう無用になってしまうのですから、
「所持金を、全部いただきます」
と――。

もちろん、これはブラック・ジョークです。ただ、こういった状況は、マーケットでは日常的に起きていることなのです。そのことを、比喩的に表現しているのです。

●●相場の冷たい現実

たとえば、ドル/円の取引で、ドルが高値で持ち合いを続けた後で、下落を始めたとしましょう。
もっと具体的に、[1ドル=120円〜125円]の「ボックス相場」を数カ月続けた後で、チャート・ポイントであった[120・00]を割り込み、次のチャート・ポイントである[119・50]を目前にした、[119・55―65]レベルに、相場があるとしましょう。

[120円〜125円]の滞空時間が長かったのですから、そのゾーンでドルを買った人たちは、たくさんいるはずです。

そういったドル・ロング(ドル買い持ち)の人たちにとっては、これ以上、ドルが下落してしまうと、ますます損が膨らんでしまいます。
ですから、
「[119・50]のチャート・ポイントを割り込まないで」
と祈るようにしている人たちが、まだ、たくさんいる状態です。

しかし、こういったときは、誰よりも先に[119・50]を売って、ドルをたたき落とすことが、相場に勝つ秘訣なのです。

こう言うと、ためらい、躊躇する方もいると思います。[119・50]をたたき売ることによって、[120円〜125円]でドルを買い、まだ、それを保有している人たちの悲鳴が聞こえてくるようで忍びない、と感じる方もいるでしょう。

しかし、あなたが売らなくとも、マーケットには、無尽蔵の市場参加者がいるのです。
その誰かが、必ず、[119・50]をたたき落とします。

場合によっては、あなたは[120円〜125円]で、ドルを保有している側にいるかもしれません。そうであれば、たたき落とされる側にいるのは、あなたなのです。

●●あなたが相場で取る行動はどれか?

あなたが、高値でドルを保有していない場合に、取るべき行動は、次のどれでしょうか?

【1】[119・50]を売ってドルが下落したら、[120円〜125円]のゾーンでドルを保有している人たちがかわいそう。だから、何もしないで見送る。
【2】[120円〜125円]のドルを保有している人たちをサポート・応援するために、[119・50]がつかないように、一緒にドルを買う。
【3】[120円〜125円]のドルを保有している人たちの気持ちを考えると、かわいそうで忍びない。けれども、次のチャート・ポイントである[119・50]を割り込むと、上でドルを買った人たちの損切りを巻き込んで、もう一段、ドルが急落する可能性が高い。自分が生き残るために、勇気を振り絞って、[119・50]を売る。
【4】[120円〜125円]でドルを買った人たちは、自分の都合、責任でそうしたのだから、「馬鹿だなぁ」と思うだけ。[119・50]を売れば勝つ可能性が高いとストレートに考えて、[119・50]を売る。

(1)または(2)と考える人は、相場に向いていません。
(3)か(4)と答える人が、相場に向いている、と言えるでしょう。
(3)と答えた人は、道端に倒れている人に対して、「ひと思いに、楽にして欲しいか?」「それとも、放っておいて欲しいか?」と尋ねるタイプです。
このタイプは、一般に、経済的に恵まれていなかったり、何かしらの苦労をしてきた人です。そういう人は、他者の苦しさを想像できる人ですから、マーケットの水面下で起きていることにも、想像力を働かせます。
(4)と答えた人は、育ちがよく、何の苦労もせずに、すくすくと育ったタイプでしょう。
幼少のころは、乳母日傘(おんばひがさ)の、お金持ちの「お坊ちゃま」「お嬢ちゃま」だったのではないでしょうか?

●●誰もが、たたかれる側に転落する可能性がある

お金持ちのお坊ちゃまが、爺やと道を歩いていると、道端に人が倒れています。それを発見したお坊ちゃまは、爺やに命令します。
「爺や、あそこに人が倒れている。
 もう死にそうだから、あの人のフトコロからお金を持ってきなさい」
爺やはうなずいて、倒れている人から財布を抜き取り、持ってきます。
「爺や、ご苦労!」
そう言って、お坊ちゃまは爺やと、その場を後にする。

ブラック・ジョークに仕立てるならば、こういったところでしょう。
相場の向き不向きで言うならば、不向きな人は、道端に人が倒れている場合に、
「大変だ! でも、面倒だから、かかわり合いにならないようにしよう」
と考えるタイプかもしれません。
――ただし、それが、一番普通なのかもしれませんが……。――

相場に勝つということは、誰かが負けている、ということです。強い者と戦うよりも、弱い者と戦った方が、勝つ確率は高くなります。ですから、相場は、「弱いヤツから巻き上げる」「弱いヤツをたたく」といった傾向があります。
しかし、自分が弱くなれば、すぐに、たたかれる側に回ることになる――そのことを忘れてはいけません。

●●勝っているときに、その裏側を想像できるか?

外国為替市場に集まってくる人たちは、みな、自分が勝つことを目的としている、ということも忘れてはいけません。
安っぽい同情や情けは通用しない「弱肉強食」の世界です。
かといって、水面下での苦しみを想像できない人は、「いずれ、淘汰されるのではないか?」
とも考えています。

相場は、多くの人たちが望まない方向に動くものです。
多くの人たちが損をする方向に相場が動き出すと、値動きは加速します。
我も我も、と損切りが湧き出てくるからです。

外国為替相場は、先に述べた「ゼロ=サム」ですから、自分が勝っているということは、必ず誰かが負けています。つまり、勝つためには、自分が勝っているときでも、負けている人の気持ちがわからないといけない。
そうでないと、相場の方向性が読めない、といったパラドックスに突き当たります。

外国為替市場は、弱肉強食の世界ですが、他者に対する優しさや思いやりがないと、生き残れない世界でもあるのです。



ドル円ユーロ投資戦略(タクティクス)2007年07月23日(月)
「相場持ち合いとなれば、同数の取り合いなり。逆向かいを可とする。」

今回は「相場持ち合いとなれば、同数の取り合いなり。逆向かいを可とする。」といった相場の格言について。
持ち合い相場が続くと、市場参加者の考えが、ブル・ベア均衡してくる。
 ブル派(相場が上がると考えている人達)は、価格が上昇すると、さらに買う行動に出る。思っていた通りの、いかにも強い相場つきに見えるので、買いでついて行きたくなるのだ。しかし、そこは逆向かって、売っても良いですよ。
 ベア派(相場が下落すると考えている人達)は価格が下がると、「ほれ、見たことか!」といわんばかりに売る。しかし、そこは逆向かって、買っても良いですよ。
 そういった意味。

 だけれども、相場の動きは、普通は結果として、「持ち合い相場」と気がつくのであり、いつ何時、「持ち合い相場」を放れるのかは、誰にもわからない。
 別な言い方をすれば、この相場はまだ「持ち合い相場」が続くのだ、と自ら判断した場合にのみ通用する格言なのです。

 相場の格言は、正しいことが多いのですが、まず、前提条件がそろわないと当てはまらない。

 だから、この格言は『逆向かいを可とする』といった表現をしています。
 『やりたければ、そのようにやっても良いですよ。』といったニュアンスなのです。
 言外に、『やらなくても良い(場合によっては、いつ何時放れるかわからないから、やらない方が良い)』といった意味合いが含まれているのです。

 『このようなときには、このように対応しなさい』といった強いニュアンスの場合には、『逆向かいをするべし』とか、『逆向かうべし』といった表現になるはずです。

 「膠着(こうちゃく)相場」というか、「Box相場」というか、そのような値動きをしている時にも、利益を追求しなければならない場合のアドバイス(格言)だと思います。

 相場そのものを商売にしている人達に向けての言葉(格言)と言ってもよいでしょう。

 しかし、「逆向かいを可とする」相場で、実際に「逆張りオペレーション」を行った場合には、最後に、どちらかに放れるところで、必ず、「損切り(負け)」になります。
 ですから、「逆張り」で何往復とれるのかが、損益の分かれ目になってしまいます。

 オプション・プレイヤーがストライク・プライスを中心に、売買を繰り返すオペレーション(これを「リボルビング・オペレーション」と言いますが)を良くやっていますが、その技法も、この格言にのっとったものです。

 ですから、本当は値幅の小さい「膠着(こうちゃく)相場」「Box相場」の場合には、「休むも相場」と考えて、パスした方が良いのでしょう。

 でも、こんな相場が続いてしまうと、「休んでばかり」になってしまいそうですが・・・・・。




2007年07月16日(月)は、休日のため、休刊

ドル円ユーロ投資戦略(タクティクス)2007年07月19日(木)
「クロス円が強い、弱い」


最近になって、FX取引を始めた方々にとって、「クロス円が強い、弱い」といった表現は、「ちょっと、慣れないと、わかり難いのではないかな?」と、思います。

 外為市場の相場参加者が、【クロス円が強い、弱い】と言った場合の【クロス円】は、---誤解を恐れずに言うならば---【ユーロ/円レート】【ポンド/円レート】【スイス・フラン/円レート】【オーストラリア・ドル/円レート】を指しています。

 なおかつ、【クロス円が強い】と言った場合は、『クロス円レートで、【円安】』を意味します。
 これは、クロス通貨【ユーロ】【ポンド】【スイス・フラン】【オーストラリア・ドル】が、対円で強いということです。

 逆に、【クロス円が弱い】と言った場合は、『クロス円レートで、【円高】』を意味します。
 これは、クロス通貨【ユーロ】【ポンド】【スイス・フラン】【オーストラリア・ドル】が、対円で弱いということです。

 本来の説明も添付しておきます。
 こういったことは、わかり難いことなのです。
 長いこと専門に取引している人でも、新人の頃に、一生懸命に【丸暗記】しただけで、いつの間にか、当たり前のことになってしまい、よく考えたことがない市場参加者も、たくさんいます。

 【マスコミ】のこういった言葉の概念は、かなりいい加減です。ですから、こういった言葉を使っている人たち自身も、きちんと説明できないことが、多いのです。

 日本では、『為替レート』と一般的に言う場合は、暗に【ドル/円レート】を指す場合がありますが、本来『為替レート』と言った場合は、様々な通貨の組み合わせがありますので、2種類の通貨を、ちゃんと呼称するべきでしょう。そうしないと、わかりにくいですから。
 『ドル円為替レート』のように表示した方が、誤解がありません。

 【クロス円】の説明をしましょう。
 『ドル/円レート以外の、対円の為替レートのこと』を【クロス円レート】と呼びます。

 ですから、『クロス円レート』といった場合には、【ユーロ/円レート】【ポンド/円レート】【スイス・フラン/円レート】【オーストラリア・ドル/円レート】【ニュージーランド・ドル/円レート】【カナダ・ドル/円レート】【韓国ウォン/円レート】【中国元/円レート】・・・・

 と、本来の意味ならば、無限に(米ドルを除く通貨の数だけ)存在します。

 【ドル/円レート】は基軸通貨である米国ドルに対する円レートですから、【ドル/円】の市場レートが自立してあります。

 それに対して、【クロス円レート】は、基軸通貨である米ドルに対して成り立っている、それぞれの通貨のレート---例えば、【ユーロ/ドル】【ポンド/ドル】【ドル/スイス・フラン】などのレート---から、計算して導かれるレートのことです。

 通貨取引(外国為替取引)は、【通貨と通貨の交換取引(契約)】ですから、【対価と対価のやり取りであり】ややっこしいところがあります。
 わかりにくいのですが、最終的には慣れるしかありません。

 こういったことは、誰にとってもわかりにくいことです。誰もが、疑問に思っていることでしょう。



ドル円ユーロ投資戦略(タクティクス)2007年07月12日(木)
日銀の利上げは、7月?8月?

例年通りに、7月4日(=米国独立記念日)から、外国為替市場が、『夏休み相場』に、突入している、と考えている。だから、何かするにしても、基本的には、ポジションを少なくして、臨むべき、と考えています。場合によっては、8月下旬まで、のんびりと、何もしないことも戦略だ、と考えています。

先週は、BOE、ECB、米国雇用統計などがあったので、また、日銀の政策委員会・金融政策決定会合を、7月11日、12日に控え、さらに、日本では参院選があるのだから、マーケット(外国為替市場・FX市場)は、いわゆる「夏休みモード」では、まだ、ない。
しかし、徐々にそういったセンチメントになっていくだろう、と見ている。『夏休み相場』は、市場参加者が薄くなります。市場参加者が閑散となるときは、セオリーが働かなくなります。

上記の前提の下に、7月10日時点で、東京市場でのユーロ/ドル(EUR/USD)は、1.36台前半で動き無し。7月10日のロンドン市場で、一歩前進して、1.36台ミドルに上昇した。
 ユーロ/ドル(EUR/USD)のチャート・ポイントであった[1.3700]が、注目されていたが、7月10日のニューヨーク市場の午前中に、上に抜けた。
ユーロ/ドル(EUR/USD)の[1.3700]、ポンド/ドル(GBP/USD)の[2.0200]を、それぞれ、上に抜けた。
 チャート・ポイントを上に抜けたことで、それぞれ、「ユーロ買いドル売り」「ポンド買いドル売り」のシグナルを付けた。
この時点で、ドル/円(USD/JPY)も下落気味なので、「ドル売り」に動いており、マーケット全体に、整合性もある。

日銀の政策委員会・金融政策決定会合では、7月は、参院選を控えて、円金利を据え置き、参院選の結果はどうであれ、8月に利上げを実施するのではないか、といった見方が一般的。
7月に円金利引き上げが実施されても、不思議ではないが、市場にとってみれば、7月に利上げが実施されれば、意外感があるだろう。

7月10日のロンドン市場で、ユーロ/ドル(EUR/USD)での「ユーロ買いドル売り」が進んだことから、ドル/円(USD/JPY)でも、「つれて、ドル売り」気配となった。

「クロス円などでの円買い」の影響もあって、7月10日のニューヨーク市場の午前中に、[122.00]を割れ、121円台後半まで急落した。
7月10日のニューヨーク・クローズから、日付が替わった、翌日(7月11日)のシドニー市場で、再び[122.00]を割り込んだ辺りを攻めた。
短時間で、ドル/円(USD/JPY)は急落して、[121.00]割れまで1円の下落を見ている。
現状のマーケットでは、ドル円は、円キャリートレードの影響で、需給に歪みがあるので、個人的には、ドル円を、やりたくない。
 しかし、ユーロドルや、ポンドドルの上昇のスピードより、ドル円の下落スピードの方が、速くなる可能性もある。
 その場合は、クロス円は、下落する。

そのケースになる場合は、円金利引き上げが、材料視されるかも知れない。

仮に、7月12日の日銀会合で、据え置き、となっても、8月の利上げが確実ならば、マーケットは、先読みする。短期金利市場は、先読みした金利で、取引をするだろうから、経済的効果は、事実上、同じになる。
7月に円金利引き上げがあれば、それなりに「サプライズ」はあるのだろうが、7月でも、8月でも利上げが確実ならば、事実上、大差無し。効果は、同じことだ、と考えています。
(2007年7月11日東京時間15:00記述)




ドル円ユーロ投資戦略(タクティクス)2007年07月09日(月)
もう、『夏休みシーズン』に突入しています

 【年間スケジュール】に従えば、『シーズン』では、とっくに、『夏休み』に突入しています。
 マーケット(FX市場)では、先週末には米国失業率(雇用統計)の発表があったり、ユーロ/円(EUR/JPY)は、「ユーロ統合以来の最高値」を更新して、168円台に乗せるなど、まだ、活況を呈しています。
 だから、それに(そういったことに)目が向いてしまうが、『夏休みのシーズン』に突入していることを、忘れてはいけない。

 (相場を)止めたければ、すぐにでも、『夏休み体制』に入って、レイト・サマー・ホリデー(8月下旬)まで、なにもしないことも、『例年のセオリー』だ!---(強い断定です)---
 まあ、いろいろと、イベントが、矢継ぎ早に出ているので、(相場を)止めるべきだ、とは、言わない。
 「夏休みシーズン」や「クリスマス・シーズン」は、市場参加者が少ないから、---場合によっては、いなくなるから、---それに注意しましょう、と言っているだけです。

 今年のように、何かと、イベントが連続していたり、活況を呈している時は、市場参加者がいる。だから、やりたければやれば良い。ただし、勧めるつもりもない。---セオリーに従えば、米国独立記念日から、『夏休みのシーズン』は始まっているのだから。---
 個人的には、「もう『夏休み』でもいいかな・・・?」と、思っています。

 マーケットが、こういった季節ですから、ちょっとここで、【年間スケジュール】について述べておきましょう。
 相場は、私たちの都合は、聞いてくれません。しかし、毎年、決まりきったパターンがあります。一度、覚えてしまえば、毎年、年間スケジュールは、ほぼ同じです。(イースターの時期が違うのですが、それも、大差がありません。)
 以下の通りです。
1月:[がんばる月]まずは、リハビリ(12月はのんびりしていたので)。トレンドを調べる、チャートを調べる、12月中のニュースを紐解く、など、確認の作業から始める。
2月:[もっと、がんばる月]
3月:[もっと、もっと、がんばる月](イースターが、3月にある場合は、休憩する。)
4月:[後半のゴールデン・ウィークに備える月]ゴールデン・ウィークは、ポジションを取らずに、いったん休憩。(イースターが、4月にある場合は、それも休憩する。)
5月:[ゴールデン・ウィーク明けからがんばる月]まずは、リハビリ(ゴールデン・ウィーク中はのんびりしていたので)。1月と同じように、まずは確認の作業。
6月:[しっかり、がんばる月]
7月:[夏休み(サマー・バケーション・シーズン)] 夏休みのスタートは、『米国の独立記念日』から。
8月:[夏休み(サマー・バケーション・シーズン)] 夏休みの終了は、ロンドンの、『レイト・サマー・ホリデー』まで。
※7月〜8月の[夏休み(サマー・バケーション・シーズン)]は、その年によって、そのスタートは、遅れる場合があります。しかし、夏休みの終了は、ロンドンの、『レイト・サマー・ホリデー』までで、だいたい不変です。
9月:[がんばる月]
10月:[もっと、がんばる月]
11月:[12月に、ちゃんと休めるように、もっと、もっと、がんばる月]
12月:[クリスマス・シーズン=何もしない月]こんな時期に、『相場をやっているヤツは、負けたヤツ』と、横目で眺めている月。
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