大上(扶桑)

2007年08月15日
【『相場の読みを外しても勝つ(勝てる)』】
---誰も思い付かない様なことが起これば、チャンス---


小学校の夏休みの宿題、「算数ドリル」や「漢字書き取りドリル」
じゃあるまいし、
『これをやれば勝てる』
『これさえ出来れば、100戦100勝』
などという『必勝法』(=ノウハウ、テクニック、手法)を書いた本は、
存在しない。

『これをやれば、(これを知れば、)必ず、勝つ方法』は、存在しない。

なぜなら、マーケット(市場・相場)は、常に、変化しているから、
今、現在に、当てはまる「必勝ドリル」を勉強しても、
時間が経てば、それは、いずれ通用しなくなる。

だから、未来永劫、有効な『必勝法』は、存在しない。
今だけに、有効な方法は、必ず、勝つわけではないのだから、
それは『必勝』ではない。

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もちろん、何をするにしても、最低限度の知識は必要だ。
そんなことは、当たり前過ぎて、説明する気にもならない。

その程度の知識があったとして、
『これを知っていれば、このパターンの相場には勝てる』
というノウハウは存在する。

しかし、それ(そのノウハウ)も、100%ではない。
つまり、それは、『100戦100勝』ではない、ということだ。

例えば、チャート分析(テクニカル分析)ひとつを取り上げても、
それは言える。

チャート分析は、パターン分析だから、
『このパターンが来たときには、このように対応する』
といったテクニック(手法)が存在する。

もっと、具体的に述べた方がわかりやすい。

例えば、ドル/円が、「120円〜124円」で
数ヶ月(2、3ヶ月から5、6ヶ月程度)「持ち合い相場」が続き、
今、[120.00]を割り込んだとしよう。

現在レートは、[119.70―80]としよう。
この場合に、次のチャート・ポイント(サポート・ポイント)が
[119.50]とする。

この状況で、取るべき行動パターンには、『セオリー(定石)』がある。

(1)[119.50]が、サポートされることを考えて、
[119.50]を割り込んだ[119.40]に
ストップ・ロス・オーダー(損切りの注文)を置いて、
ドル/円の[119.70―80]を買う。

このスタイル([119.70―80]で買うスタイル)も
『セオリー(定石)』。

しかし、一般的に、[119.70―80]を買う人は、
ドル/円が、「120円〜124円」で
数ヶ月(2、3ヶ月から5、6ヶ月程度)「持ち合い相場」が続く間に、
既に、ドル/円を買っていて、難平(ナンピン)の買いである場合が多い。

難平で、[119.70―80]を買う人は、
[119.40]でストップ・ロス(損切りのドル売り円買い注文)を
入れない。

「120円〜124円」のゾーンで買ったポジションを
[119.40]で売れば、大きな損失になってしまうので、
それ(損切り)が嫌で、出来ないのだ。


外国為替取引の場合、「120円〜124円」のゾーンで買って、
[119.70―80]に現在レートがあれば、
当然に、『評価損』になっている。

「120円〜124円」のゾーンで買ったポジションを
売らなければ、『実現損』ではない。

考え方としてはその通りだ。考え方としては、間違いではない。

『評価損』は、未実現損失であって、まだ、現実の損失が確定した訳ではない。

しかし、それは、観念論に過ぎない。
『評価損』と『実現損』を区別する意味が無いからだ。

外国為替取引は、「お金」と「お金」の売買であり、
換金性(流動性)は、すこぶる高い。
と、言うか、もろにキャッシュ(現金)なのだ。

「120円〜124円」のゾーンで買って、
[119.70―80]に現在レートがあるならば、
それは、現実の損失と、全くイコールなのだ。

売らなければ、損失になっていない、と考えるのは、詭弁に過ぎない。
売らなくても、損失であることに、何ら変わりは無い。


話を元に戻そう。
「120円〜124円」で滞空して、
[119.70―80]に下落してきた場合に、
次のチャート・ポイントが、[119.50]だと、わかっている。

その場合に、[119.40]に、
ストップ・ロス・オーダー(損切りのドル売り円買い注文)を置いて、
ドル/円を買うスタイルは、間違いではない。
[119.50]がサポートされる可能性があるのだから、
その行動は正しい。

多くの人が、間違いをするのは、
『[119.40]で、損切りを行わないこと』なのだ。

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(2)「120円〜124円」で滞空して、
今、[119.70―80]にある場合に、
チャート・ポイント[119.50]を割り込むことを前提に、
ドル/円を売る人がいる。

この行動パターンは、はっきり言えば、間違い。

しかし、この行動を取る人は多い。

今回(2007年7月下旬以降)での値動きで言えば、
この行動を取った人は、今回は、利益に結びついたであろう。

しかし、それは、たまたま相場を当てたに過ぎない。
セオリー(定石)としては、取るべき行動ではない。

こういったスタイルを取る人は、
思惑(おもわく)が当たることを前提に取引をしている人だから、
思惑が当たらなくなると、必ず、損をする。

相場の読みを外すと、必ず、負ける。

こう言うと、何を言っているのか、理解できない人も多い。

私の言いたいことは、
『万一、思惑を外しても、勝つことを考えるべきだ』
ということなのだ。

この点に関しては、もっと多くの説明が必要なことも、
書いている側も理解している。

しかし、これを、文章で説明するのは、「至難の業」だ。

抽象的になってしまうのも、わかっているが、以下の通り。

『相場を読むことが目的ではなく、相場で利益を得ることが目的』

『相場の読みを当てれば、勝てると考える人は、
相場の読みを外せば、確実に負ける』

そういう人は多い。10人いれば、7〜8人は、そう考えるだろう。

『相場の動きを当てることが目的ではない』と考える人は、
『相場の読みを外しても勝つ(勝てる)』。

むしろ、相場の読みを外した場合の方が、大きく勝っている。

相場を読むという作業は、たいして難しくない。
誰でも、似たようなことしか思い付かないのだから。
相場に対する思惑は、もともと、大差が無いからだ。

突飛な発想は、かえってダメだ。

いつでも、相場が、理不尽に、突飛に、動いている訳ではない。

突飛なことしか考えない人は、通常の相場で負けて退場する。
突飛なことしか考えない人は、もともと、根本的に、通用しないのだ。

しかし、誰も思い付かない様なことが起これば、チャンスなのだ。
誰も思い付かないことは、それが起きても、誰も思い付いていない。

当たり前だが。言葉の遊びをしている訳ではない。

誰も思い付かないことは、誰も想定していない。
つまり、それに対する準備が、事前に出来ていない、ということだ。

全く、当たり前のことを言っているのだが、
多くの人は、それを理解しない
(理解出来ない、理解しようと努力をしない)。

だから、相場の読み(思惑)を外したときは、チャンスなのだ。
誰も思い付いていないし、準備も出来ていない。
『だから、今から行動を起こしても、間に合うのだ』。

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(3)[119.50―60]になって、
[119.50]を売る人は、積極的な人だろう。

マーケット(相場)に、チャレンジする人(性格)。
だから、それは、行動として正しい。

しかし、チャート・ポイントで、跳ね返された場合は、
素直に負けを認めて損切りが出来ないと、最終的には殺される。

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(4)[119.30―40]を売る人は、
『相場の読みを外しても勝つ(勝てる)人』。

セオリー(定石)通りであり、我慢強い。
思惑に振り回されずに、淡々と、勝つために、するべきことをしている。

つまり、上述の例では、[119.70―80]で、買っても良いが、
[119.30―40]で、『ひっくり返して売ること』が出来る人は、
生き残れる。

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今回の相場(2007年7月下旬以降の相場)で、
万一、違うパターンでの値動きがあったとしても、
[119.70―80]で買っても良い(買わなくとも良い)。
そして、[119.30―40]を売る。

気を付けなければいけないのは、チャート・ポイントは、変化するし、
日々のマーケット(相場)を、注視・研究して、
チェックしておかなければいけない、ということ。

『「1勝9敗」でも勝つ』の中で、[119.50]の重要性について、
詳述した。

この本の文章(原稿)を書いていたのは、
昨年(2006年11月頃)だから、
「何故、それが分かるのか?」
といった質問が来るのは、想像できる。

それは、『経験則』としか言えない(言いようが無い)。

だから、『「1勝9敗」でも勝つ』の本では、
「120円〜125円」で滞空と述べている。

現実の相場は、「120円〜124円」での滞空だった。

また、[119.50]のチャート・ポイントが、
これ程『あっさりと』扱われるとは思わなかった。

しかし、いくつか事前に読めることはある。

[120.00]は大台であり、誰しもが注目するレート。

しかし、オプション取引でストライク・プライスが集中するのは
[120.00]ではなく、[119.00]であることは、
経験則に照らせば明白。

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だらだらと書いているように感じる読者もいることだろう。
文章も推敲していない。

しかし、こういった感覚的なノウハウを文章でまとめ上げるのは、
まさに「至難の業」。

ピン・ポイントで伝えられるノウハウなど、
薄っぺらな、本当は役に立たないノウハウなのだ。

「円キャリー・トレード」は分かりやすい。
低金利通貨を売って、高金利通貨を買うだけだから。

そんな『ちゃちな』ノウハウが、いつまでも通用する、と考える方が、
私にとっては、よっぽど驚きだ。

まだ、もうしばらくは、「円キャリー・トレード」は生存するだろう。
しかし、その終焉は近い。

「円キャリー・トレードの終焉」は、この夏、この秋かも知れないが、
FED(FRB)やECBが、
そのリスク(円キャリー・トレード終焉に伴う金融市場の混乱)に
畏れをなして、今、必死に対処対応している。

だから、もう少し、「円キャリー・トレード」は、生存するのだろう、
と考えている。

個人的には、今年の年末から来年初(1月〜2月ころ?)が、
そのポイントになるのではないか、と考えています。

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今回の文章は、専門的に過ぎる、感覚的に過ぎる、
と感じる読者もいることでしょう。

しかし、今回の文意を読み取れる位でないと、
生き残るのは難しいのではないか、と、心配しています。


感覚的なもの、直感的なものを、文章で表現するのは難しい。

「見て、美しい」という感覚を伝えるのは、「見て美しい」と言うだけ。
それだけでは、伝わらないから、どのように美しいのか、
具体的に書くしかない。付帯描写をするしかない。

しかし、それは、美しいという、見た本人の感動を伝えることにはならない。
だから、見た感覚を、文章で伝えることは、もともと、不可能なのだ。

文章に書かれた感覚を、読み取るには、
読者が想像力を持って、推測するしかない。

中国の北京で、天安門広場に立ったとき、その広さに驚いた。
4キロメートル・スクエア(4km×4km)の人工的な平面(広場)は
日本では見たことが無い。

天安門の前には、100m道路。
そして、天安門広場の4km離れた端に立つと、
毛沢東主席の写真は見えない。

周りの額は見えるが、
そして、それが、毛沢東の肖像画だと知っているから、
それがそうだ、とわかるが、人物を確認できない。

4km先を見渡せる、その感覚、驚きを伝えるには、
実際に見た方が、正確で速い。

「食べて、おいしい」という感覚を、文章で説明することは、
事実上、不可能だろう。

どのような味がして、どのようにおいしいのか、は、
食べてみないと分からない。

相場が、このように動いていくのではないか、と、感得したことを、
理屈で、理論的に表現するのは、難しい。

しかし、そういった感覚は確実に存在するし、
真剣にマーケット(相場)に臨むと、自然と見えてくるものがある。

それを説明することは、
「美しい」とか、「おいしい」を伝えることに似ている。

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第1章 通貨の機能―円キャリートレードとは?(1)
▲読者対象を考えて、この本を読むにあたっての予備知識をここでまとめる

(論旨の持って行き方)
通貨には、価値を保存する機能がある。価値を保存する際に、通常は、利息が付く。
通貨によって、利息が違う。


【お金って何だろう?】---通貨の機能---


 通貨(お金)は、さまざまな国で発行されています。
 最近では、ヨーロッパの統一通貨ユーロ(EUR)がありますから、
『それぞれの国には、それぞれの通貨(お金)がある』
といった表現は正しくないのですが、世界にはさまざまな国々があり、それぞれの国に通貨(お金)があることは、みなさんもご承知でしょう。

 現在の、世界の国々のさまざまな通貨(お金)を例示してみましょう。
 米国は米ドル(USD)、日本は円(JPY)、ドイツ、フランス、イタリアなどの欧州諸国は統一通貨ユーロ(EUR)、英国はポンド(GBP)、スイスはスイスフラン(CHF)、オーストラリアはオーストラリア・ドル(豪ドル)(AUD)、ニュージーランドはニュージーランド・ドル(NZD)、カナダはカナダドル(加ドル)(CAD)、中国は中国元(人民元)(CNY)、香港は香港ドル(HKD)、台湾は台湾ドル(TWD)、韓国は韓国ウォン(KRW)、インドはインド・ルピー(INR)、インドネシアはインドネシア・ルピア(IDR)、タイはタイ・バーツ(THB)、フィリピンはフィリピン・ペソ(PHP)、ロシアはロシアン・ルーブル(RUB)、スウェーデンはスウェーデン・クローナ(SEK)、メキシコはメキシコ・ペソ(MXN)、ブラジルはリアル(BRL)、南アフリカはランド(ZAR)……
 まだまだ世界には、さまざまな国で発行されているたくさんの通貨(お金)があります。
 これらの通貨(お金)は、毎日、使われています。

 さて、では、みなさん、お金(通貨)とは、いったい何でしょうか?
 「お金」は誰でも使ったことがあるでしょう。使ったことのない人の方が珍しいことでしょう。
 では、
『お金って何だろう?』
と、考えたことがありますか?
 毎日使っていても、空気や水のように、あるのが当たり前になってしまい、深く考えたことがないのではないでしょうか?
 小学生に質問をしてみます。
 「お金って、何だろう?」
 「ものを買うときに、使うもの」
 「100円玉とか、1000円札」
 そういった答えが返ってきます。
 きわめて現実的で、具体的、具象的な発想です。
 大人だって、毎日使っているし、その時に『お金って、何だろう?』と考えることは、あまりないのではないでしょうか?
 それを不思議に思うことは稀でしょう。
 しかし、実は、それは世の中が安定しているという証で、ありがたいことでもあるのです。

---通貨(お金)の決済機能---
 『お金って、何だろう?』と真面目に考えます。
 「ものを買うときに、対価として支払うもの」と、まず、誰でも思い付くことでしょう。
 「お金」を相手に渡すことで、その買ったものは、対価を支払った人のものになります。つまり、所有権の移転が起こります。
 こういったお金の働き(効果・機能)を、「決済機能」とか「交換機能」といいます。
 この決済・交換機能については、わかりやすいので、この程度にしておきましょう。
 普段の生活で、キャッシュ(現金)で買い物をすることを想像すればよいことです。
 少額の品物を取引する場合は、キャッシュ(現金)での売買が便利です。
 このキャッシュ(現金)取引については、さまざまな通貨(お金)を考えてみても、円であろうと、ドルであろうと、ユーロであろうと、あるいは、インド・ルピーであろうと、中国元(人民元)であろうと、あまりたいした問題にはならないでしょう。従来の通りなのですから。

 次に、ここで「対価」を考えてみましょう。
 「対価」をたくさん支払うには、当然に、お金がたくさん必要ということです。それは、その買ったものの値段が高い、ということです。つまり、その買ったものの価値が高いことを意味します。
 「対価」が小額でも良いということは、その買ったものの値段が安い、つまり、価値が低いことを意味しています。
 もちろん、ものの価格には、適正水準(適正価格)というものがあって、通常の状態ならば、この程度の値段が適正であるという常識があります。
 通常ではない状態とは、どういった場合かというと、例えば、砂漠での「一杯の水」は、非常に高価であろうと想像ができる、と思います。
 あるいは、食糧危機が起きているような有事の場合、「10キログラムの米」は、10万円を支払っても買えないかも知れません。
 そういった特殊な状態ではなく、一般的な状況で考えます。
 すると、『支払った対価の額の多い少ないは、買ったものの価値を金額で表したものである』ということになります。

---通貨(お金)の表示機能---
 ちょっと、わかりにくい表現になってしまいましたが……。
 このことに、どういった利点があるのでしょうか?
 それは、全く異なるものの価値を比較することができるようになることです。
 例えば、美術館に、古い美術品の「つぼ」があったとします。
 それが、高価であるのはわかるのですが、古美術の鑑定は誰にでも出来るわけではありませんから、具体的にどれ程の価値なのかは、簡単にはわかりません。
 一方、その美術館に「ゴッホの絵」が展示されています。
 果たして、先程の「つぼ」と「ゴッホの絵」とでは、どちらの価値が大きいのでしょうか?
 「つぼ」と「絵」を、単純に比較しても、答えは出てきません。
 しかし、この「つぼ」の鑑定された値段が1000万円で、「ゴッホの絵」が10億円ならば、誰でも簡単に、「ゴッホの絵」の方が価値が大きいとわかります。
 もちろん、こういった美術品は、個人の好みがありますから、
 『それでも私には、「つぼ」の方が価値がある』
と考える人もいるでしょう。
 だから、ここでお話しているのは、あくまでも一般常識で、経済的にどちらの価値が大きいかを客観的に比べることです。
 そういった場合、その比較するものを、それぞれ金銭価値で表示すれば、全く異なるものであっても、その価値を簡単に比べることが出来るようになります。
 ここで、気を付けなければいけないことは、ものの価値を金銭で表示して比較する場合は、同じ通貨(お金)を用いる必要があります。
 どういうことかと言うと、先ほどの例で、古い美術品の「つぼ」は1000万円で、「ゴッホの絵」が1000万ドルと表示されると、通貨(お金)が違うので、すぐに比較できなくなります。
 こういった場合は、両方を「円(JPY)」で表示しても良いし、それぞれを「ドル(USD)」で表示して、比較しても良いのですが、いずれにしても、表示する通貨(お金)を統一しておかないと、その価値を簡単には比べることが出来ません。
 ここで、通貨(お金)を「円(JPY)」で表示する場合や、「ドル(USD)」で表示する場合を引き合いに出しましたが、日本人にとっては、「円(JPY)」で表示する方が、きっとイメージし易いことでしょう。
 通貨(お金)を統一すれば、どんな通貨(お金)で表示しても、どちらの方が、価値が大きいのか、簡単に比較できますが、普段使っていない通貨(お金)で言われても、それが、どれ程の価値なのかはピンと来ません。
 では、この「つぼ」と「ゴッホの絵」を比較する場合に、フランス人に説明をするとしましょう。
 もちろん、その場合でも、古い美術品の「つぼ」は1000万円で、「ゴッホの絵」が10億円とそのフランス人に伝えれば、価値の大小はすぐに理解してくれるでしょう。
 しかし、その場合は、「つぼ」は10万ドル(100,000ドル)で、「ゴッホの絵」が1000万ドル(10,000,000ドル)と説明をした方が親切です。
 それは、ドルが基軸通貨だからです。
 フランスやドイツのように、「ユーロ(EUR)」を使う国の人々には、「ユーロ(EUR)」に換算して伝えれば、より親切でしょうが、「ドル(USD)」は、現在の基軸通貨ですから、「ドル(USD)」で表示しても失礼にはなりません。
 中東や南米の人たちに、こういった説明をするのならば、「円(JPY)」でも、「ユーロ(EUR)」でもなく、「ドル(USD)」で表示して伝えるべきでしょう。

 もうひとつ、別の例を挙げます。
 公共事業をする際に、ダムを作るならば、3000億円の費用がかかるとしましょう。
 そのダムを作ることによって、「どういった効果・効能が得られるのか」を金額で試算すれば、費用対効果が明らかになります。
 ダム建設ではなくて、トンネルを掘ったり、巨大な橋を架けて道路を作るならば、もっと建設コストが高くて、1兆円の費用がかかるとしましょう。
 ダムならば3000億円の費用で済みますが、道路だと1兆円かかります。どちらの方が、費用が高いのかは一目瞭然です。
 お金で比較するのならば、道路建設の方が価値が高いことになります。
 しかし、その道路によって、どういった利点があるのかを金銭で表示すれば、道路建設事業の方が、費用対効果を考慮すると、本当は価値が低いことになるかも知れません。
 「通貨(お金)の表示機能」にも使い方がある、ということです。
 ただし、こういったケースを考える場合でも、「お金」は万能ではないこと、「お金」では計量できないものがあることも、忘れてはいけない、と考えていますが……。
 具体的に述べてきましたが、つまり、「お金(通貨)」は、「もの」や「サービス」の価値を表示している、ということです。
 これを「通貨の表示機能」といいます。

---通貨(お金)の保存機能---
 「お金(通貨)」は、もうひとつ、重要な役割を果たしています。それは価値を保存することです。蓄えて、取っておく働きです。
 例えば、100万円のお金があったとします。
 銀行や郵便局に預けておけば、その100万円は、1年後でも2年後でも、100万円として戻ってきます。
 日本が超低金利政策を採って長い期間が経っていますから、預けておけば利子が付きますとは、この時世では言いにくいのですが、通常は「お金(通貨)」を元本保証の金融商品に預けた場合は、元本の価値を保存して、利息が貰えることになります。
 こういった「お金(通貨)」の働きを、「保存機能」とか「ストック機能」と呼びます。

 ちょっと、余談を加えておきましょう。「ハイパー・インフレ状態」の場合です。
 「ハイパー・インフレ状態」のときは、預けていたお金(通貨)の価値は、インフレ率以上の金利が付かなければ、元利を合計しても、実質的価値は目減り(減少)していることになります。
 しかし、それでも、表面上(額面上)は預けていたお金(通貨)の100万円は、100万円として戻ってきます。
 こういった実質的価値の変化は、「インフレの問題(テーマ)」であって、「通貨の保存機能」の問題ではありません。
 しかしながら、こういった事柄は、切っても切り離せない部分がありますから、一緒に考えるべき、とも言えます。
 気を付けるべき点は、「インフレの問題(テーマ)」と「通貨の保存機能」を混同してはいけない、ということです。

【通貨(お金)の代わりになれるもの】


 現在、「通貨(お金)」の価値は、それぞれの国家が保証しています。
 そして、その国家を信認することで「通貨(お金)」が世の中で成り立っている訳です。
 世の中の人々が、その絶対的な価値を認める『何か』でも、「通貨(お金)」の代わりになり得るなずです。
 もちろん、「もの」には、それぞれの価値があり、現代でも物々交換が成立するのですから、その『何か』は、何でも良いのでしょうが……。
 もっと、普遍的に使える『何か』は、無いでしょうか?
 歴史的には、「貴金属」、その代表として「金(Gold)」が、世界で流通していました。
 金本位制に戻ることがあり得るのでしょうか?
 歴史的に駄目な事が、確認されているといえるのでしょうか?
 現在の世界で流通している通貨を兌換するだけの金(ゴールド)は足りていません。
 そう考えると、金本位制に戻ることは難しいと考えています。

 では、歴史上の中国やインドなどで使われた宝石類(ルビー、サファイア、ダイアモンド、玉璧など)はどうでしょうか?
 これはだめでしょう。
 日本の安土・桃山時代に用いられた「茶の湯道具」など骨董品もまた無理でしょう。
 宝石類や骨董品などは万人が目利きできるわけではないからです。
 では、江戸時代の米(食料)はどうでしょう?
 これもだめでしょう。歴史が既に証明しています。
 貯蔵に倉庫が必要であったり、品質を維持したりするのに手間がかかるからです。

 金本位制度の時代でも、紙幣は画期的でありました。
 英国が、ポンドの「兌換紙幣」を発行することで、重くかさばる「金(Gold)」を運ばなくても済むようになりました。代わりに、ポンドの「兌換紙幣」を運べば良くなったのです。
 実際には、税金などの問題が起こるので、現実的ではありませんが、現在でも、「金(Gold)」で決済をすることは可能です。
 もので決済することを考えてみましょう。
 例えば、原油で考えてみましょう。
 原油1バレル=65ドルとすると、原油100万バレル=6500万ドルです。
 このときに、1ドル=120.00円とすると、
 原油100万バレル=6500万ドル×120.00=78億円
になります。
 品物は何でも良いのですが、大量の取引を行なう際に、100万バレルの原油を支払って、78億円相当の品物を手に入れることは可能でしょう。
 しかし、その場合には、原油100万バレルを受け取り、それを貯蔵できる設備が必要ですから、もちろん現実的ではないのでしょうが……。
 ここで言いたいのは、現実的、実質的ではないのですが、大量の品物は、お金(通貨)の機能を持ち得る、ということです。
 しかし、お金(通貨)ほど、便利ではないのですから、使われないだけ、ということです。




第1章 通貨の機能―円キャリートレードとは?(2)
【外国為替】とは何か?


 通貨(お金)には、三つの機能があることを理解できたでしょうか?
 通貨(お金)は、さまざまな国が発行しています。
 例えとして、私たちに、最も身近な「円(日本)」と「ドル(米国)」で考えてみましょう。
 日本の大手輸出企業は、日本で作られた自動車や家電製品を米国に輸出します。
 米国で、それらの製品を購入するのは米国人(アメリカ人)ですから、彼らが支払うお金は「ドル」です。
 製品を輸出した企業は、「ドル」を代価として受け取りますが、それをそのまま日本に持ってきても、日本では使えません。
 だから、そういった輸出企業は、「ドル」を「円」に交換します。
 この交換することを「為替(かわせ)」といいます。「為替(かわせ)」という言葉は、「かわす(交わす)」つまり「交換する」ことを意味します。
 外国間で「為替」が行なわれるので、「外国為替」とも呼びます。

 日本の輸入企業が、米国から牛肉や小麦、大豆などを輸入する場合には、「ドル」を支払います。
 しかし、日本の企業は「ドル」を持っていませんから、持っている「円」を「ドル」に交換して、その「ドル」で、支払いを行ないます。
 ここでも為替(外国為替)が起こっています。
 日本は、ほぼ100%の石油を輸入に頼っているのは、みなさんも良くご存知でしょう。
 例えば、中東の産油国サウジアラビアの自国通貨は、サウジ・リアル(SAR)、クウェートの通貨は、クウェート・ディナール(KWD)ですが、産油国である中東の国々は、原油の代価をドル(USD)で支払うことを要求します。
 だから、日本の石油会社は、円(JPY)をドル(USD)に交換して、中東諸国に支払います。
 相手国が米国に限らなくても、円(JPY)とドル(USD)の為替が必要になることが、理解できたでしょうか?
 異なる通貨を使う二国間の貿易取引の場合、外国為替が必要になります。

 もっと身近な例で、みなさんが、ニューヨークに行く場合を考えてください。
 みなさんがニューヨークに旅行に行く場合は、ニューヨークはアメリカですから、持っている円(JPY)をドル(USD)に交換して、持って行くはずです。
 ドルを持っていないと、ニューヨークに着いてから、バスやタクシーにも乗れませんし、レストランで食事をすることも出来ません。ホテルに宿泊することも出来ません。
 だから、ニューヨークに行く場合にも、外国為替(通貨の交換)が必要になります。
 ここで考えて欲しいのですが、円(JPY)をドル(USD)に交換するということは、みなさんが銀行に行って、円(JPY)を支払って、ドル(USD)を買うことです。
 円(JPY)もドル(USD)も、どちらも「お金」ですから、「お金」で「お金」を売買することになります。
 通貨と通貨の取引は、少し慣れないと、違和感があるかも知れませんが、「円(JPY)をドル(USD)に交換すること」と「円(JPY)を支払って、ドル(USD)を買うこと」は、実は、全く同じことを意味し、表現しています。

 もうひとつ、日本の投資家が米国株式や米国債券に投資することを考えてください。
 米国株式や米国債券に投資するとは、それを購入することです。支払いの代価は、ドル(USD)です。
 日本の投資家はドル(USD)を持っていませんから、持っている円(JPY)をドル(USD)に交換して、そのドル(USD)を支払いに使って、米国株式や米国債券を受け取ります。
 つまり、日本の投資家が米国株式や米国債券に投資する場合は、円(JPY)でドル(USD)を買って、その購入したドル(USD)で支払いを行ないます。
 逆に、米国の投資家が日本株式や日本の債券に投資する場合は、ドル(USD)で円(JPY)を買って、その購入した円(JPY)で支払いを行ないます。

 外国為替取引とは、異なる通貨を交換する取引のことです。
 ドル(USD)と円(JPY)で例を挙げるなら、
 ●ドル(USD)を受け取って、円(JPY)を支払う取引が、ドル/円(USD/JPY)を『買う』ということ。
 ●円(JPY)を受け取って、ドル(USD)を支払う取引が、ドル/円(USD/JPY)を『売る』ということ。

【国際通貨制度】----金本位制--- --固定相場制と変動相場制---


 国際間の貿易や金融取引の決済に使われる通貨のことを「基軸通貨」とか、「国際通貨」といいます。
 「国際通貨制度」について、お話をしておきましょう。
  歴史的に見ると、「国際通貨制度」の基準になったのは「金(ゴールド)」です。
 「金(ゴールド)」の保有を通貨の価値基準とする制度を「金本位制」といいます。「金(ゴールド)」を多く備蓄した経済力の強い国の通貨が国際通貨として使われてきました。
 19世紀には、英国ポンド(GBP)が、20世紀になると米国ドル(USD)が、「基軸通貨」として使われてきました。
 「金本位制」の下では、各国の通貨が、「金(ゴールド)」と一定比率で交換されます。つまり、「金(ゴールド)」を介在させる「固定相場制度」です。
 「金本位制」での「固定相場制度」は通貨の裏付けとなる「金(ゴールド)」の備蓄が前提です。
 ところが、20世紀後半になると、財政難から英国や米国は「金本位制」を維持するだけの「金(ゴールド)」の保有が出来なくなりました。
 その結果、「金本位制」での「固定相場制」から、現在の「変動相場制」に移行します。
 「変動相場制」は、通貨の交換レート、つまり外国為替レートが、マーケット(外国為替市場)の売買によって決まるシステム(制度)です。

 「変動相場制」とは、マーケット(外国為替市場)で取引される通貨ペア(二種類の通貨)の交換比率(為替レート)を、一定比率に固定せずに、マーケット(外国為替市場)の需要と供給によって、自由に変動させる制度です。
 「変動相場制」が採択され、制度が移行した当時、「変動相場制」は各国間の貿易不均衡、自動的に調整する機能を持つ、と考えられていました。
 例えば、米国の対日貿易赤字が拡大すると、それは、日本の輸出額が増大していることですから、日本からの『ドル(USD)を売って円(JPY)を買う』といったニーズが増えます。「ドル売り円買い」が増えるのですから、その結果、「ドル安円高」の圧力が強くなって、ドル/円(USD/JPY)の為替レートが下落するだろう。
 そして、「ドル安」になれば、米国製品の輸出が増加し、「円高」によって日本製品の輸出が減少して、米国の対日貿易赤字は解消されるだろう、といった理屈です。
 しかし、現実の世界経済では、こうした自動調整機能はうまく働きませんでした。
 つまり、各国通貨間の為替レートは、必ずしも、貿易収支を均衡させる機能を果たしていません。

 各国通貨間の金利差が外国為替相場に大きな影響を与えるなど、さまざまな為替変動要因が複雑に働いているため、為替レートが予想以上に不安定になることもある、と、わかってきています。
 しかし、そういった欠点を抱えながらも、主要通貨間の「変動相場制」は、現在まで維持されています。
 現在のところ、それに替わる、もっと良い制度(システム)が、考え出されていないだけで、今後、考え出されるのかも知れませんが……。

【為替レートは交換比率】


 『通常の外国為替の取引では、「それぞれの通貨」と、現在の基軸通貨である「米国ドル」の交換比率を使う。』
 このように言うと、わかりにくいのですが、テレビや新聞などで、
 「1ドル=125.00円」
このように、表示していることを思い出せば良いでしょう。
 為替レートは交換比率だから、「1ドルが125.00円」とすると、
 「1円=0.008ドル」
と、表示しても良いわけです。
 日本人にとっては「1ドル=125.00円」の方がわかりやすいでしょう。
 それは、「1ドルという物(通貨)」が125.00円なのだな、と考えるからです。
 アメリカの先物取引所であるシカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジ(CME)では、実際に「ドル円」の先物取引(フューチャー)をする際に、
 「100円=0.8000ドル」
の形式で取引を行っています。
 アメリカ人の発想では、「100円が80セント」ということなのでしょう。
 このように、為替レートは交換比率に過ぎないのだから、本当は、どちらの通貨を基準にしてもかまわないのです。
 そうなのですが、通貨間の為替レートの一般的な表示方法は、市場慣行で決まっています。

 2007年5月4日の実際の外国為替レートを掲載しておきます。
EURUSD:1.3545-1.3550
USDJPY:120.27-120.32
GBPUSD:1.9870-1.9875
USDCHF:1.2151-1.2156
AUDUSD:0.8193-0.8198
NZDUSD:0.7346-0.7351
USDCAD:1.1073-1.1078
EURJPY:162.93-162.98
GBPJPY:238.97-239.07
CHFJPY:98.93-99.03
AUDJPY:98.54-98.64
NZDJPY:88.35-88.45
CADJPY:108.57-108.67

(注)
USD:ドル(米ドル)
JPY:円
EUR:ユーロ
GBP:英国ポンド
CHF:スイス・フラン
AUD:豪ドル(オーストラリア・ドル)
NZD:ニュージーランド・ドル
CAD:カナダ・ドル

【市場慣行】


 通貨間の為替レートの一般的な表示方法は、市場慣行で決まっていることをお話しました。
 通常の通貨は、「1米ドルが、いくら」と表記されます。例えば、「1ドル=125円」のように。すなわち、「1USD=125JPY」ということです。
 これは、米ドルが基軸通貨であるから、ドルが主体になっている訳です。
 米ドルが基軸通貨になる前、歴史的にみれば、「英国ポンド(GBP)」が基軸通貨でした。
 そのことを背景に、現在でも、上述のように、
 「1英国ポンド(GBP)=1.9870米ドル(USD)」
と表記されます。
 どちらが基準の通貨となるかは、市場の慣行で決められています。つまり、多くの市場参加者が、そのように取引すれば、そのようになります。

 外国為替取引が「通貨」と「通貨」の交換取引であるということは、すなわち、「対価」対「対価」の取引になり、そして、「外国為替レート」は何を意味するかと言うと、『その通貨間の交換比率』を表すことになることは、既に述べました。
 例えば、通常の表現方法で、『ドル=125.00円』としましょう。
 この場合、『外国為替レートの表示』としては、以下の表現は、いずれも同じことを意味しています。
●1ドル=125.00円
●10ドル=1250.00円
●500ドル=62500円
●ドル/円=125.00円
■円=0.008ドル
■円/ドル=0.008ドル
■100円=0.8000ドル
■50000円=400ドル

 前者は「対ドルの円価格」、後者は「対円のドル価格」と読み取れます。
 外国為替レートは、「通貨」と「通貨」の交換比率ですから、表現方法に違いがあっても、実は、
 「対ドルの円価格」=「対円のドル価格」
になります。
 ですから、「対ドルの円価格」も、「対円のドル価格」も実質的な意味・内容は同一のことです。
 だから、「ドル/円為替レート」といった場合は、『ドルに対しての円価格』になのですが、これに関しては、「ドル/円為替レート」といった場合は、『ドルを円価格で表示したもの』と表現した方がわかりやすいかも知れません。

 言葉で表現すると、ややこしいのですが、外国為替取引で、【ドル円】、【ドル/円】といった場合は、【ドル÷円】という意味で、【ドル=125円】、【1ドル=125円】のように表示します。
 【円ドル】、【円/ドル】といった場合は、【円÷ドル】という意味で、【円=0.008ドル】、【100円=0.8000ドル】のように表示します。

 【ドル=125円】、【1ドル=125円】、【ドル/円=125円】
 【円=0.008ドル】、【100円=0.8000ドル】、【円/ドル=0.008】
 これらの表示は、事実上の内容は、全く同じことを表していますが、通常の【ドル】と【円】の取引は、【市場慣行】で、【ドル=125円】、【1ドル=125円】、【ドル/円=125円】の形式で表示されます。
 ですから、外国為替取引において、通常の【ドル】と【円】の取引は、【ドル】というものを、【対価の円】で取引しています。

 外国為替取引が、他の取引と比べて、最も特徴的なことは、【通貨】と【通貨】の交換取引(Currencies Exchange Deal)であるということです。

【通貨】と【通貨】の交換取引(Currencies Exchange Deal)であるということは、即ち、「対価」対「対価」の取引になるわけです。
 【ドル】と【円】の取引を例にとります。
 【ドル】の価格上昇は、即ち、【円】の価格下落になります。
 【ドル】の価格下落は、即ち、【円】の価格上昇になります。
 ですから、外国為替取引では、一方の通貨の価格の変動は、必ず、もう一方の通貨の反対の(逆の)価値変動になっているのです。

「通貨」と「通貨」の交換取引ではなく、「もの」と「通貨」の売買取引で考えてみましょう。「もの」と「通貨」の取引の方が、むしろ、普通の取引でしょうが……。
「もの」は通貨以外の何でも良いのですが、『BSE問題』で話題になって、その際に価格が大きく上下した【牛肉】にしましょう。
 『BSE問題』で一時期の需要が大きく減って、【牛肉】の価格は大きく下落しました。
 その後、一時期の騒ぎも治まり、価格は徐々に戻りつつありました。
 この場合に、『BSE騒動』で、【牛肉】の価格は下落しましたが、それが、即ち、【円】の価格(価値)上昇になるわけではありません。
 その後、『BSE騒動』が一段落してから、【牛肉】価格が上昇しますが、このことが、即ち、【円】の価格(価値)下落になるわけでもありません。
 ですから、外国為替取引(通貨間取引)ではない取引の場合、一方の価格(価値)の上昇が、即ち、もう一方の価格(価値)の下落になるわけではないということです。

 それから、「市場慣行」についても説明を加えておきましょう。
 通貨取引(外国為替取引)は、「市場慣行」がルールです。
 市場参加者の多くが、その形式で取引を行えば、それが「市場慣行」となります。
 「市場慣行」は、理屈ではありません。
 そうすることが、便宜が良いからそうするのです。
 都合が悪くなれば、自然に新しい「市場慣行=ルール」に変わって、新しい「市場慣行=ルール」が成立してゆくことになります。
 例えば、現在は、「市場慣行」で、ドル(USD)が基軸通貨です。
 ドル(USD)の前は、英国ポンド(GBP)が基軸通貨でした。
 ドル(USD)よりも、基軸通貨にふさわしい通貨が、「市場慣行」上で出てくれば、その通貨が基軸通貨になります。

 一部の新聞やテレビなどの報道で、「ドル円相場」のことを、「円ドル相場」と、相変わらず表現していることがありますが、それは、「市場慣行」に照らし合わせれば、誤りです。
 そういった記事を書く人は、「今までは、それで通用してきた」とか、「日本では、歴史的に、こう表現してきた」とか、屁理屈を言うのでしょう。
 しかし、外国為替市場で、「通貨・円(JPY)」の取引は、この20年間で、飛躍的に拡大し、今や、「円(JPY)」は「準基軸通貨」の地位を占めています。
 そして、国際市場の中で比較すれば、「ドル円取引」における、東京市場(日本国内市場)のシェアは、三分の一程度です。
 場合によっては、ロンドン市場、ニューヨーク市場で取引される量の方が、多くなってきています。
 世界の主流に従うのなら、「円ドル相場」という表現は、極めて少数派であり、「市場慣行」というルールに照らして、不自然な表示です。
 柔道が、国際的なスポーツになった今、「柔道は日本の武道であり、お家芸だから、ルールは日本で決める」という態度は、横暴であり、許されることではありません。
 全てが、多数決だとは言いませんが、「市場慣行」というルールに敬意をもっと払うべきでしょう。
 「円ドル相場」という表現は、よっぽど頭が固いか?
 あるいは、「市場慣行」というルールを知らない不勉強ものか?
 よっぽどの国粋主義者?―――自国通貨を先に表示するという意味で―――なのでしょう。

 取引上の例示もしましょう。
 Aという市場参加と、Bという市場参加者が、「ドル」と「円」を取引する場合に、Aは【1ドル=125.00円】の表示形式で取引を行なおうとし、Bは【100円=0.8000ドル】の表示形式で取引を行おうすると、【1ドル=125円】と【100円=0.8000ドル】が同じ為替レートにもかかわらず、わかり難く、混乱が生じます。
 どちらかに表示を統一しなければ、取引ができません。
 【1ドル=125.00円】の形式で取引をするのなら、【ドル円相場】と表示されるべきです。
 通貨取引(外国為替取引)で、わかり難く、混乱が生じるということは、取引に間違いが生じて実損が生じることですから、それを避けるために、自然発生的に【市場慣行】というルールができてきたのです。
 それが不便になれば、時代に伴い、自然発生的に変更していく場合もあります。
 市場の発展・衰退や、コンピューター技術の進歩、通信方法の変化などで、【市場慣行】というルールは、人為的に、合議などで、変更される場合もあります。

【「メジャー・カレンシー(Major Currency、主要通貨)」と「マイナー・カレンシー(Minor Currency、非主要通貨)」】


 日本で「為替レート」という場合、通常は「ドル円」レートを指します。
 しかし、外国為替市場で取引されているのは、もちろん「ドル円」だけではありません。
 当然、海外で、「為替レート」と言っても、「ドル円」レートを指す訳ではありません。
 「どの通貨」と「どの通貨」の組み合わせのレート(値段・価格)なのかと聞き返されることになるでしょう。
 外国為替市場では世界中の様々な通貨が取引されており、「それぞれの通貨」対「それぞれの通貨」のレート(値段・価格)が成り立っていることになります。
 世界中の外国為替市場で、多くの市場参加者が、頻繁に売買している通貨を「メジャー・カレンシー(Major Currency、主要通貨)」と呼びます。
 2007年の現在において、「メジャー・カレンシー(Major Currency、主要通貨)」は、「米ドル(USD)」・「円(JPY)」・「ユーロ(EUR)」・「英国ポンド(GBP)」・「スイス・フラン(CHF)」を指します。
 「豪州ドル(オーストラリア・ドル、AUD)」を「メジャー・カレンシー(Major Currency、主要通貨)」に含める人もいますが、私個人の考え方、感じ方では含めない方が良い、と思っています。
 リクイディティ(Liquidity)の無い通貨は、国際的に信用があり、流通・通用するという機能を、全うしておらず、「メジャー・カレンシー(Major Currency、主要通貨)」とは呼べない、と考えるからです。
 「メジャー・カレンシー(Major Currency、主要通貨)」以外の通貨は「マイナー・カレンシー(Minor Currency、非主要通貨)」と呼びます。
 では、さて、「リクイディティ(Liquidity)」とは何でしょうか?

 「豊富に取引されていて、世界中に多くの市場参加者が存在しており、いつでも売買したい時に、世界中のマーケットで、すぐにその時の気配値で取引が可能なこと」をリクイディティ(Liquidity)があるといいます。
 「リクイディティ(Liquidity)の無い通貨」は、「物」・「品物」・「商品」と一緒です。
 ある意味で、「リクイディティ(Liquidity)の無い通貨の取引」は「商品取引」に近いものと考えています。取引の参加者が普遍的ではなく、一部に限られているからです。
 取引参加者が限定的であるということは、取引ができる時間帯が限定されます。
 参加者が多くないので競争の原理が働かず、取引されるプライス(価格)のスプレッドがワイドになる。
 「ビッド」(Bid、買値)と「オファー」(Offer、売値)のスプレッド(Spread、開き)が広がる訳です。
 決して、そういった通貨を「ばかにしている」訳ではありません。
 そして、もちろん「商品取引」が「通貨取引」に比べて劣るなどとは思いません。
 「取引参加者が少なくて、自由に売買ができない」、「取引に制限がある」、「通貨供給量が少ない」、「充分な売買環境が整っていない」、「その通貨を発行している国(国々)が何らかの規制をしている」。
 そういった通貨が、「リクイディティ(Liquidity)の無い通貨」です。

 通貨とは、「それに価値があるという信頼」、「その国家に対する信任」に基づいています。即ち、「通貨」は「国家」なのです。
 自国内だけで流通させることが主目的な通貨は、「メジャー・カレンシー(Major Currency、主要通貨)」の要件を備えていない、と考えます。
 その他の通貨は「マイナー・カレンシー(Minor Currency、非主要通貨)」と呼びます。
 「豪州ドル(オーストラリア・ドル、AUD)」は「マイナー・カレンシー(Minor Currency、非主要通貨)」に含まれる、と考えています。



第1章 通貨の機能―円キャリートレードとは?(3)
【円の超低金利政策】


 話の内容が、「通貨の機能」や歴史的な「金本位制」「基軸通貨」といった、ちょっと専門的な事柄が、たくさん出てきましたが、大丈夫でしょうか?
 あまり、堅苦しい話ばかりだと、飽きてきて眠くなりませんか?

 ちょっと、別の観点からのお金(通貨)の話にしましょう。利息の話題です。
 銀行に行って、お金を預けると、利息が付きます。
 みなさんが、日本で、銀行に行ってお金を預ける場合は、普通は円(JPY)を預ける円預金でしょう。
 日本は、長い期間に渡って、超低金利政策を採ってきました。現在も、超低金利政策が続いています。
 一時期は、「ゼロ金利政策」を採っていたので、銀行に預金をしても、ほとんど利息が付かない時期もありました。2007年5月の時点でも、金利水準はゼロではないにしても超低金利ですから、付く利息は「すずめの涙」のままですが……。

 2006年になって、「ゼロ金利政策の解除」に向けて、日銀は、まず「量的緩和政策の解除」を実施します。2006年3月9日、「量的緩和政策の解除」が決定されました。
 この時点では、「ゼロ金利政策」は、当面継続する姿勢も表明されましたので、円金利が直ぐに上昇した訳ではありません。(いずれ、確実に、上昇することを忘れてはいけないけれど・・・)

 実際のマーケット(外国為替市場)を振り返ってみましょう。
 2006年3月9日に「量的緩和政策の解除」のニュースが流れると、ドル/円(USD/JPY)は、117円台後半から上昇し、118円台に乗せています。
 この値動きは、ちょっと不可解なのですが、動いてしまえば、それもまたマーケット(外為市場)。そのまま、素直に、受け取れば良い、と考えています。
 強いて、解説を加えるのならば(屁理屈をこね回すのならば)、「量的緩和政策の解除決定」というニュースが流れたことで、一部の市場参加者が「目先の材料出尽くし」と判断し、ドル/円(USD/JPY)を買い上げて、118円台前半にあったストップ・ロス・オーダー(目先の損切り注文)を付けた、といったところでしょう。
 『ストップ・ロス・ハンティング(他者の損切りを狙って売買を行なうこと)』が終わって、それから、おもむろに、マーケットは「円買い」に反応しています。118円台前半から、[117.09]まで急落しています。1円の急落です。
 しかし、上述の通りに、いわゆる「ゼロ金利政策」は、当面継続する姿勢も表明されて、円金利が直ぐに上昇する訳ではないことから、目先の「円買い」が終わると、今度は反転上昇しています。
 結局のところ、量的緩和政策が解除された2006年3月9日のドル/円(USD/JPY)は、117円台後半から118円台前半に上昇した後に、117円台前半に急落。そして、再び、118円台前半に急上昇。そういった1円幅程度での上下動の繰り返し。
 1円幅を「小さい」と言っては、反発する読者も居られるでしょうが、『小さい値幅での反復乱高下、最終的には、持ち合い』。大きな流れ(トレンド)に変化を与えるような値動きではありませんでした。この時点で、マーケットは、何らのシグナルを発していない、と考えています。

 「量的緩和政策が解除」されて以降は、「ゼロ金利政策の解除」がいつになるのか、マーケットは、既に、心の準備を終えた状態になっていました。
 結局、4ヵ月後の2006年7月14日の午後になって、日銀は、金融政策決定会合でゼロ金利政策の解除を決定し、誘導目標を0.25%に、公定歩合を0.4%に引き上げます。
 このときのマーケットは、そうなることが事前にわかっている、完全に織り込み済みの状況で、反応らしい反応をしていません。ドル/円(USD/JPY)は、むしろ、「ドル買い円売り」に動いています。
 2006年7月14日の朝方のドル/円(USD/JPY)は、115円台ミドル程度で寄り付き、午後になっては、115円台後半程度で推移。
 日銀の金融政策に対する思惑での売買があったことや、東京時間13:30過ぎになって、実際に、「円金利の引き上げ」が発表されて、ドルは、上下動しています。
 115円台後半から115円台ミドルの急落したり、そこから、再度、上昇して、116円台に乗せるなど、値幅(振幅)は、それ程でもないのですが、それなりに、荒っぽい上下動となっています。しかし、所詮、「織り込み済み」の印象は免れない。
 個人的には、これで、当面のイベントも終了した、という印象。『夏休み体制』に突入といった気分・・・、でした。

 2006年末の時点で、翌年(2007年)の外国為替のテーマとしては、円金利が話題に上がることが多くなりそうだ、と推測できます。
 2006年暮れの福井日銀総裁の発言は、『早く円金利を引き上げたい』といった内容です。つまり、「近いうちに日米金利差が縮まるのではないか」といった思惑(観測)がマーケットに定着していました。
 ところが日本銀行は12月19日の金融政策決定会合では、当面の金融政策について全員一致で「現状維持」を決定しています。
 「現状維持」を決めた原因は、12月になって、発表された「日銀短観」が、思ったよりも良い結果ではなかったことが挙げられます。
 直前の経済指標に表れた消費の弱さが確認された形で、この時点で、日銀が12月18、19日に開く政策委員会・金融政策決定会合で年内の追加利上げを見送る見通しが強くなりました。円金利引き上げは、翌年(2007年)に持ち越された格好でした。
 ですから、2007年の外国為替のテーマとしては、円金利が話題に上がることが多くなりそうだ、と推測できるわけです。

 2007年1月18日に開催された日銀金融政策決定会合は、注目されていました。
 現行の金融政策の維持を賛成6人、反対3人の賛成多数で決定。
 当面の金融市場調節方針は、短期金利の誘導目標である「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.25%前後で推移するよう促す」としています。
 短期金利の事実上の上限となる補完貸付金利(公定歩合)も、年0.4%のまま据え置きました。
 金融政策の決定で、3人が反対に回るのは、極めて異例。
 この時点で、日銀は2月中旬に発表される2006年10〜12月期の国内総生産(GDP)統計や、個人消費などの経済指標を見た上で、2月以降、利上げを目指すことになる、と考えられます。
 金融政策の決定発表後のマーケットでは、3人の反対票が出たことで、2月に利上げする可能性が高まった、とういう観測(思惑)が広がっています。

 円金利の据え置きが発表されると、「円売り」が進み、発表前の120円台ミドルから、東京市場の午後には、121円台をうかがう展開となっています。
 121.00の手前では、ドル/円(USD/JPY)が上昇して欲しくないと考える市場参加者がドルをうる、いわゆる「防戦のドル売り」もありましたが、結局、121円台前半に乗せると、この日の東京市場クローズ(東京時間17:00)は、121円台ミドルに上昇しています。

 2007年1月の日銀金融政策決定会合では、日銀の円金利引き上げに事実上「マッタ」をかけたのは、政府与党の幹事長。
 「何故、政府与党の幹事長は横槍を入れたのか?」
 それは、2007年に実施される参院選へ向けての人気取り(パフォーマンス)と考えられます。幹事長の最大の仕事は、選挙に勝つこと。金利引き上げは、景気の足を引っ張る要因。中小企業のことも、考えていますよ、というパフォーマンスであり、そういったポーズを見せました。
 政府は、国民のためを思い行動している、その権力は、日銀を凌駕していることを、これ見よがしにしたことで、政府与党には、それだけの力があることを国民に見せたかったのかも知れません。
 しかし、国益を重視するのならば、はなはだハカげた行為。日銀という中央銀行の権威失墜であり、世界中からバカにされることになります。ついては、今後の金融政策がやり難くなるのです。いざ、何かあっても、中央銀行に信頼がないのは困ります。そして、また、横槍が入るのではないか?といった疑心暗鬼を生むことになります。

 2007年2月20日の海外市場では、翌日21日の日銀金融政策決定会合の結果発表を直前に控えて、思惑が錯綜しています。
 先月の会合同様に、「政府筋の圧力から円金利の引き上げを見送るのではないか?」といった観測も流布しました。
 また、仮に、円金利の引き上げが実施されても、0.25%の利上げで、対ドル、対ユーロなどの金利差は依然として大きいので、「実質的に、円金利引き上げの影響は少ない」といった思惑もありました。
 東京市場の昼過ぎにテレビのニュースで、「福井日銀総裁が利上げを提案」と報道されると、120円台ミドルから、一気に120.00を割り込み、119円台後半に急落しています。
 東京時間14時を過ぎて、政策金利の0.25%の引き上げ決定が、正式に発表された。発表されると、今度は、ドル/円(USD/JPY)急騰。119円台後半から、120円台ミドルへジャンプアップ。思惑のぶつかり合いで、乱高下が継続しています。

 その後の定例会見で、福井日銀総裁が、「今後の金利水準の調整について、ゆっくりと進めていく」「スケジュール感を持たず、情勢の変化を丹念に点検しながら決めていく」「次の追加利上げの時期については、今の時点では全くオープンだ」と発言。
 更なる円金利引き上げは、すぐにはなく、当面は、かなり先になるのではないか、といった観測がった。
 上述の通り、円の政策金利が0.50%になっても、対ドル、対ユーロなどの金利差は依然として大きい。
 そのため、「円キャリー・トレード」の流れ、つまり、「低金利の円資金を借りて、外貨に投資・運用し、金利差を受け取る取引が広まっていること」に変化はない、といった思惑から、「ドル買い円売り」を誘発する結果となっています。




「円キャリー・トレード」---ドル/円よりも、ユーロ/円の方が投資行動を取り易い---
 この時点で「円キャリー・トレード」を考える際に、ドル/円よりも、ユーロ/円の方が投資行動を取り易い、と感じます。
 この時点での与件で判断するならば、ユーロ金利は、上昇傾向であり、時間の問題で、いずれユーロ金利引き上げが実施されるでしょう。それに対し、ドル金利は、目先、様子見で、現状維持と考えるからです。
 時間の経過で、いずれドル金利引き上げが話題になる可能性も残っていましたが、「円キャリー・トレード」を考慮するならば、対ユーロの方が、分が良い印象が残ります。




第1章 通貨の機能―円キャリートレードとは?(4)
【円キャリートレードとは?】


 2006年7月に「ゼロ金利政策」は解除されましたが、2007年5月現在も、円の超低金利政策は継続しています。
 2007年5月の時点での、円の政策金利は0.50%です。
 これは、通貨「円」の金利と言えます。つまり2007年5月の円金利は0.50%です。
 もっとわかりやすく、具体的に表現すれば、120万円を銀行に1年間預ければ、
(120万円)×(0.50%)=6,000円
ですから、1年後に、6,000円の利息をもらえるということです。
 円の金利は日銀が会合を開いて決めています。それが円の政策金利です。

 通貨「ドル」にも金利はあります。
 ドル金利は、米国が政策判断をして決めています。
 だから、当然ですが、円金利とは異なるレート(金利)です。
 2007年5月の時点で、ドルの政策金利は、5.25%です。
 円預金の場合と同じように、具体例を挙げましょう。
 1万ドルを銀行に1年間預ければ、
 (10,000ドル)×(5.25%)=525ドル
ですから、1年後に、525ドルの利息を受け取ります。

 ドル/円(USD/JPY)の為替レートが、1ドル=120.00円の場合、日本円の120万円は、米ドルでは1万ドルです。
 1ドル=120.00円の場合なのですから、
 525ドル×120.00=63,000円
になります。
 つまり、120万円を円預金で1年間預けても6,000円の利息しか付かないのに、1万ドルをドル預金すると、525ドル(@120円として、63,000円)の利息が付く、ということです。

 上述は、計算上では正しいものですが、為替レートが、1ドル=120.00円で動かない、と仮定しています。
 為替レートは、時々刻々と変動しているのですから、為替リスクを考慮していない点で誤りがあります。

 また、日本でも、日本にある銀行で、ドルで預金をすることが出来ます。「外貨預金」です。
 ただし、外貨預金をしようと思って、銀行の店頭に120万円を持って行っても、1万ドルの外貨預金にはなりません。手数料がかかるからです。
 銀行で外貨預金をする場合の手数料は1ドルについて1円です。
 ですから、1万ドルの外貨預金をする場合には、1万円の手数料がかかります。
 さらに、1年後に、元本と利息を受け取る際に、受け取る通貨はドルのままです。
 そのドルを円に交換するのにも、外国為替が起こりますから、1ドルについて1円の手数料がかかります。

 先ほどの例を。もう一度、ちゃんと比較してみましょう。
 ドル/円(USD/JPY)の為替レートが、1ドル=120.00で、動かないと仮定します。
 120万円を円預金で1年間、銀行に預金すると、
 (120万円)×(0.50%)=6,000円
 円預金の場合には、外国為替手数料はかかりませんから、1年後に受け取る元利合計は、1,206,000円になります。

 1万ドルの外貨預金をするには、1ドルについて1円の手数料がかかりますから、121万円を支払って、1万ドルを購入して、それを預金します。
 1年後に受け取る利息は525ドルですから、受け取る元利合計は10,525ドルになります。
 これを円に交換するのですから、手数料は、10,525円かかります。
 (10,525ドル)×120.00−10,525=1,252,475円
 一番初めに支払ったのは121万円ですから、42,475円が利息ということになります。
 42,475÷(121万円)=3.51033(%)
 実質利回りは、3.51%になります。
 つまり、手数料がかかるので、ドル金利が5.25%だからといって、5.25%の利息がもらえる訳ではない、ということです。
 また、円金利が、0.50%だからといって、ドル金利と円金利の差、つまり、
 (5.25%)−(0.50%)=4.75%
だからといって、4.75%の金利差を受け取れる訳ではない、ということです。

 しかし、円金利が低く、ドル金利が高い場合に、為替レートが動かなければ、円をドルに交換して(外国為替取引を行なって)、そのドルを預金すれば、高いドルの金利で運用することが出来ると、理解されたでしょうか?

 ここまでは、日本円を持っている個人投資家の立場で説明してきましたが、こういった金利差を利用する取引は、円資金をもともと保有していなくとも取引をすることが可能です。
 円資金を持っていなければ、借りてくれば良いのです。
 日本円の金利は、引き続き、超低金利政策ですから、低い金利で円を借りてきて、その円資金をドルに交換して、ドルで運用すれば、その金利差を享受できます。
 こういった円の低金利を利用して、高金利通貨との金利差を儲けようとする取引手法(トレード・テクニック)を「円キャリー・トレード」といいます。

 金利差を狙って儲けようとするのならば、低金利の通貨と高金利の通貨を組み合わせれば良い訳です。それは、その通りです。
 ただ、この10年以上にわたって、円金利が、群を抜いて低かったものですから、「円キャリー・トレード」という言葉は、世界の通貨市場(外国為替市場)で、流行語になりました。

 円金利が相対的に高かった頃、1990年代前半頃には、スイスフラン金利が相対的に低い時期がありました。その頃には、「スイスフラン・キャリー・トレード」という言葉も使われました。
 現在でもスイスフラン金利は相対的に低いので、「スイスフラン・キャリー・トレード」を行う市場参加者もいます。
 しかし、円金利がゼロ金利政策を採ったように、円金利の低さは突出していましたから、「円キャリー・トレード」が注目されて、ブームになったのも理解できるところがあります。

【「キャリー・トレード」は矛盾している】---金利とは、何か?---


 さて、では、金利とは何でしょうか?
 金利は、その国のインフレ率です。
 金利が高いということは、その国のインフレ率が高く、その国の通貨価値は、いずれ下落することを意味しています。

 例えば、10%の金利が付くということは、100万円は、1年後に110万円になるということです。
 2年後には、121万円に、3年後には133.1万円になるということです。(複利計算をしています)
 お金が増えているのですが、物価も上昇しています。つまり、こういう状態のときは、インフレが進んでいるということです。
 インフレは、お金(通貨)の価値が下落することですから、その国の中では、その通貨価値は下落しているのです。
 こういった通貨価値の変動は、日々の外国為替市場で、徐々に調整されれば良いのですが、インフレ率ばかりがマーケット(相場)の変動要因ではありません。
 インフレ率が高い、つまり、高金利であることが要因になって、「キャリー・トレード」が行なわれると、その高金利通貨は、「買い」の対象になります。

 ある通貨が、高金利であるということは、その通貨を発行している国が、インフレであるということです。
 だから、いずれ、その通貨価値が下落することになる可能性があるのです。
 そうであるにもかかわらず、低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買うという「キャリー・トレード」でのターゲット(買いの対象)になっているのです。

 「キャリー・トレード」が続いて、その規模が拡大増加している間は、インフレ(高金利)であっても、その通貨の価値は、むしろ、上昇します。
 現在の、外国為替市場は、先に説明した通りに、変動相場制ですから、需給で価格(為替レート)が決まります。
 「キャリー・トレード」によって、その高金利通貨の需要が高まるので、価格が上昇するのです。

 しかし、インフレが、いずれ通貨価値を下落させることは、消えて無くなった訳ではありません。
 需給による価格変動の影にかくれて見えにくくなっているだけで、潜在的に存在し続けています。
 むしろ、需給により、ゆがめられて、その潜在的な下落リスクは大きくなっていることになります。

 人は、世の中が変わらないことを前提に、さまざまな取引をしています。
 しかし、日々の変化は少なくとも、それは徐々に矛盾を蓄積し、次の大きな変化のエネルギーとして、溜まっていきます。
 地球上の大陸プレート(地表)の移動は、1年毎に数ミリから数センチ程度で、日々の変化は、人間には感知できないでしょう。
 しかし、プレートは時々刻々と動いています。プレートとプレートの圧力が一定のレベルにまで溜まると、プレートは瞬時に大きく動き、それまでに溜めたエネルギーを放出します。突然の大地震となって修正を行うのです。
 それは、表向きには、よくわからないし、目にも見えないでしょう。しかし、火山の地底深くにマグマが溜まり、それが抑えきれなくなると、突然に、噴火するようなものだ、と考えています。

 マーケット(外国為替市場)も、矛盾がない訳ではなく、不完全な制度(システム)です。
 日々、少しづつ矛盾が溜まって、いずれ激変を招きます。
 その激変する時を、「クラッシュ」と呼べるのかも知れません。



(チャート1) 相場の典型的なパターン




(チャート2) 相場の典型的なパターン
         (サポート・ライン記入)




(チャート3) 相場の典型的なパターン
         (ボックス相場)




(チャート4) 相場の典型的なパターン 
         (上昇パターン)




(チャート5) 相場の典型的なパターン 
        (上昇パターン)
(サポート・ラインを記入し、上図のはみ出した部分を削除したもの)




(チャート6) 相場の典型的なパターン 
        (下落パターン)




(チャート7) 相場の典型的なパターン 
        (下落パターン)
        (サポート・ライン記入)




(チャート8) 相場の典型的なパターン 
         (下落パターン)




(チャート9) 相場の典型的なパターン 
         (下落パターン)
(上図のはみ出した部分を削除したもの)




チャート10 買いのポイント




チャート11売りのポイント(Part1---売りの方が難しい---




チャート12売りのポイント(Part2---売りの方が難しい---




「買いのテクニック」


「円キャリー・トレード」が拡大している間は、「買いのテクニック」が有効。
(チャート10 買いのポイント)
「買いのテクニック」とは、「買っては売り」「買っては売り」の繰り返し。
サポート・ラインの外側に、ストップ・ロス・オーダーを置いて、買いから入る。
"Buy on dip."

「売りのテクニック」


(チャート11売りのポイント(Part1)---売りの方が難しい---)を参照
それまで、買いで戦っていても、【A】で「売る」(この場合は「損切り」となる)。
【A】で損切りの「売り」を敢行しても、基本的には、まだ、次に行うオペレーションは「買い」。
(チャート12売りのポイント(Part2)---売りの方が難しい---)を参照
つまり、【A】から【A'】のゾーンは、基本的には、まだ、「買い場探し」となる。
何故ならば、【A'】の時点では、まだ、チャート・ポイントを明確に下に抜けておらず、改めて、「ボックス相場」を形成する可能性があるから。

(チャート3) 相場の典型的なパターン(ボックス相場)を参照


(チャート12売りのポイント(Part2)---売りの方が難しい---)を参照
【A'】で「買い」、【B】で「損切り」を敢行し、いわゆる「ドテン売り」を行う。
ここで、初めて「売り」で戦うことになる。すなわち、【B】で「売り転換」が起こる。

相場観を考えてみよう。
仮に、相場観がブル(強気・上昇)であった場合には、【A】から【A'】のゾーンで、買うことに、異存はないであろう。
しかし、【B】では、チャート・ポイントを下に抜けたのだから、損切りの「売り」を行うべきところ。

仮に、相場観がベア(弱気・下落)であった場合には、チャート・ポイントを下に抜けた【B】で、満を持して「売り」を行う。相場観がベア(弱気・下落)ならば、このポイントが来るのを待っていたはずだ。

つまり、【B】は、相場観がブル(強気・上昇)であろうとも、相場観がベア(弱気・下落)であろうとも、「必ず、売るべきポイント」になる。

相場観のいかんにかかわらず、「全員が売らなければいけないポイント」が、「売りのチャート・ポイント」。

(チャート12売りのポイント(Part2)---売りの方が難しい---)の図で、【A】と、【B】が、「売りのチャート・ポイント」ということになる。

「売り相場の戦い方」


【B】で「売り」に転換する。(ポジション「売り持ち」を作る)
その際に、【A'】にストップ・ロス・オーダー(損切りの買戻し注文)を置く。
相場が下落して、【C】地点に来た場合には、きっと、「利食いたいなぁ・・・」と思うだろう。しかし、そこを「売る」。
【B】と【C】で同じアマウント(金額)を売ったのならば、アベレージ(平均コスト)は、【B】と【C】の中間のレートになる。
そして、【A'】に置いていたストップ・ロス・オーダー(損切りの買戻し注文)を、【B】ないし、それ以下のレートに下げる。
(この時点で、為替レートは【C】地点にある)

相場が、さらに下落して、【D】地点に来たとしよう。
きっと、また、「利食いたいなぁ・・・」と思うだろう。しかし、そこを「売る」。
【B】【C】【D】と同じアマウント(金額)を売ったのならば、アベレージ(平均コスト)は、【C】になる。
そして、【B】に置いていたストップ・ロス・オーダー(損切りの買戻し注文)を、【C】ないし、それ以下のレートに下げる。
(この時点で、為替レートは【D】地点にある)
【B】に置いていたストップ・ロス・オーダー(損切りの買戻し注文)を、【C】においた時点で、もう「負け」はなくなる。
何故なら、仮に、相場がリバウンドして(反転上昇して)、ストップ・ロス・オーダー(損切りの買戻し注文)が付いても、損切りの値段と、アベレージ(平均コスト)は、いずれも【C】なので、同じ値段なのだから、ストップ・ロス・オーダー(損切りの買戻し注文)が付いても損益は【プラスマイナス・ゼロ】。

「売り相場」と「買い相場」の戦い方は違う。
「売り相場」では、ポジションが膨らむ。
しかし、膨らんでもよいのだ。
●「含み益」が出ている状態になるから、資金が不足することはない。(個人で取引をしている場合でも、証拠金が不足することはない。)
●「売り相場」は、「買い相場」に比べて、スピードが速い。つまり、「短期決戦」。
※ もちろん、1日、2日で、終戦を迎えるとは限らないが。
「時間的リスク」は、「売り相場」の方が、一般的には、小さくなる。つまり、ポジションを保有する時間は短くなる。


ここで、必ず、出てくる質問にお答えしよう。
『いつ「利食い」を行うのか?』
「利食い」を行いたかったら、いつでも、良いのです。
ただし、「売り相場」で、「利食い」を敢行する場合は、保有しているポジションを全部買い戻すことです。

「利食い」は、自分の都合で構いません。好きにすれば良いのです。
「損切り」は厳しく、「利食い」は甘く、それで良いと思っています。
ただし、「売り相場」で、「利食い」を敢行する場合は、ポジションを残さずに、残りの値動きは、マーケットにくれてやりましょう。
少しだけポジションを残して、楽しもうといった考えの人がよくいるのですが、「売り相場」の場合は、そういった中途半端をすると、リズムを壊します。
繰り返しますが、「売り相場」は、スピードが速いのです。
下駄を履いたら、さっさとトバ(博打場)を出ることです!
勝負が終わったら、もうそれ以上、パソコンに触ってはいけません!見てもいけません!データは、翌日になっても、見ることができます。日曜に見ても、不思議と、同じデータなはずです。
「勝負が終わった後で、値動きを見ていても、仕方がありません。スクエアにしたら、マーケットを見ていても、しょうがないのです。」
こういった場合は、適宜、ゲットアウトした場合は、巻き込まれないように、下駄を履いたら逃げることが肝要です。
「頭と尻尾はくれてやれ」とは、そういう意味です。最後のところまで、食べに行ってはいけないのです。
いずれにせよ、逃げるときも、徹底して逃げないと、「手負いのトラ」は、容赦しませんので、要注意です。
スクエアにしたら、悩まない!!「利食い」でしょ?
利食いをおこなった後で、もっとうまく出来たのではない、と考えることを「欲張り」といいます。
負けた人がいることも考えて、ありがとうの感謝の気持ちが大切です。
「売り相場」で大相場の場合は、リバウンドが起きたら、そのリバウンドもスピードがあって、一般に、強烈です。



【人に会え、臆するな!】




2007年09月27日号Part2
【そのまま、再配信】
---2006年07月25日Part3【人に会え、臆するな!】---


以下は、昨年(2006年)の7月に配信したメールマガジンです。
ある人に、読んでもらいたかったので、そのまま、再配信します。

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2006年07月25日Part3
【人に会え、臆するな!】
---人に会うことは、有意義だ!---

今回のメールマガジンは、「外国為替」が直接のテーマではありません。
(念のため)
マーケット(外国為替市場)も、引き続き、静かなものです・・・。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

このところ、意識して、人に会おうとしている。
人に会うことは、実は、「おっくう」でもある。

また、いざ、誰それに、会おうと思っても、連絡先がわからなかったりする。

長いこと、無沙汰で、
『あいつ、どうしているのかなぁ・・・?』
などと、思いついても、
年賀状のやり取りをしている相手以外は、連絡先を知らない。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

今年は、亜細亜大学で、講師をするチャンスを持った。

その際に、大学生に、
「人に会え、臆するな!」
と、伝えた。

人は、皆、忙しい。
また、相性もあるだろう。
会った人たちが、皆、愛想良く、迎えてくれる、などということは無い。

無理に、会いに行けば、迷惑に思う人もいるだろう。

しかし、それでも、チャンスがあれば、人に会うことは、有意義だ。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

先日、大学を卒業して以来、会っていない友人“O”を思い出した。
大学を卒業して、軽く20年以上経つ。30年の方が近い。

高校・大学と同じだったし、
一年浪人をしていることから、大学での学部まで一緒だった。

大学生のころは、教室や道ですれ違っても、
「元気かよ?!」
「ああ!」
と、いった程度の会話しか覚えていない。

彼が、広告代理店に就職し、その後、コマーシャル制作で、大成功したことは、
風の便りに知っていた。

最近は、独立したことも、風の便りが届いた。

その業界では定評のある、酒や清涼飲料水の会社のコマーシャルも手がけたり、
スマップのCMは、ほとんど全部、“O”が作っているのだそうだ。
今や、一世を風靡し、飛ぶ鳥を落とす勢いのようだ。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

大学生に、「人に会え、臆するな」、と、伝えた手前、
私自身も動かなければ、ウソになる・・・

そう考えて、探しに探して、“O”に連絡を取った。

携帯に電話して、
「誰だかわかるか?」
と訊くと、
「いや、わからねー・・・」

『マッタク、トモダチガイのないヤツだ!』
と、思ったが、
『会えばわかるだろう』
と、“O”の秘書に再度電話してアポを取った。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

青山の一等地のオフィスを訪問したところ、開口一番
「なんだ、お前か!アハハハ」

「ああ、オレだ。相変わらずだな!アハハハ」

会ってしまえば、子供の時から知っている相手は気を許せる。
頼みたい用事もあったし、それを快く引き受けてくれた。

「人に会え、臆するな」
は、自分に伝えたかった言葉なのかもしれない・・・。

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2007年09月27日号Part3
【読者の方からのメール】
---『男のジェラシー』=『ポジション・トーク』---


今回の内容も、外国為替とは、関係ありません。(念のため)

タイトルも、『独断と偏見』ですから、お許しいただくことにします!
(^0^)/♪

ただ、外国為替とは、関係の無いテーマの方が、評判が良さそうです・・・。
【マーケット・コメント】は読まないけれど、
その他のテーマは、必ず、読んでいます、といったお便りを、よく頂きます。
---それは、それで、私としては、複雑なのですが・・・。---
(^0^)/♪


本日(9月27日)配信したメールマガジンについて、メールを頂きました。

“O”は、広告業界の中でも超有名人なようですし、
スマップのCMを検索すれば、すぐにわかりますから、
実際のところ、その程度のプライバシーは、問題にならないと、考えます。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

Attn:“O”へ!

何か、文句があったら、直接、連絡してください!!
(^0^)/♪

ということで、以下、頂いたメールと、そのお返事。

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差出人 ******
宛先 satoshi.matsuda2007@gmail.com
日付 2007/09/27
件名 「“O”」氏というのは


突然のメールで申し訳ありません

メールマガジン読者の******と申します。
いつも記事を興味深く拝見し、勉強させていただいております。

さて、つまらぬ話題で恐縮なのですが、

「 ◆◆◆【独断と偏見の為替相場】◆◆◆ 2007年09月27日号Part2
---2006年07月25日Part3【人に会え、臆するな!】--- 」

に登場する「“O”」氏というのは
ひょっとして タグボートの岡 康道氏 のことでありましょうか。

それを知ったところでそれほどの意味はないのですが、
以前広告制作に関心があったため岡氏の名前は知っており、
ついつい気になり、やがて気になって気になって仕方なくなり
メールさせていただいた次第です。

プライバシーの事もありましょうし、お教えいただかなくとも構いません。
私の中では恐らく間違いないだろうという感じがしていますので。

それに 答えがどうかなのではなく、
メールをさせていただくこと自体に個人的に意味がありました。

O氏がどなたか気になって仕方なくなっていた時、
「メールで気軽に聞いてみればいいじゃん」と思う自分と
「臆病な」自分がしばらく格闘していました。
いつも「臆病な」自分が勝ち、色々な面で色々な損をしてきました。
「【人に会え、臆するな!】」を読ませていただき、励まされ、
臆さずメールさせていただこうと思いました。
臆することなく実践していく自分をほんの少しづつでも積み上げていけば、
やがて臆病な自分から脱皮できるのでは
といった気持ちは普段から自分の中にあるのですが、
何かのキッカケがない限り、ただあるだけで終わっている。

今回「【人に会え、臆するな!】」はそのキッカケになりました。
本来ならキッカケなどなくとも
思い立ったら即軽いフットワークで実践力といきたいところなのですが、、、

お忙しいところ、つまらぬメールで申し訳ありませんでした。

P.S.
「【独断と偏見の為替相場】ひとりごと--」が大変に興味深いです。
色々なひとりごとこれからも期待しております。

お時間をいただきありがとうございました。

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差出人 松田 哲
宛先 ******
日付 2007/09/27
件名 Re:「“O”」氏というのは

****様

メールありがとうございます!

出先におります。
時間の合間に、携帯電話から、お返事を書いております。
まとまりの無い文章をお許しください。

おっしゃる通り、『O』は、『岡康道』のことです。
岡が、広告業界に進んだことは、知っていたのです。
大学四年生の就職活動をしていた時に、
『あー・・・、岡は、電通かぁー・・・』
と、話をしました。

大学生の私は、マスコミ関係に、あまり興味が無かったので、
その後は、音信不通と、なりました。

5〜6年前に、インターネット博覧会(インパク)が行われ、
HP『フォレックス・ディーラー物語』で、
当時の担当大臣、竹中平蔵氏から賞を頂きました。

その際に、インパク広報を電通が、請け負っており、
受賞インタビューを受けました。

インタビューの時に、雑談で、
「岡っていう、私の同級生が、電通にいるはずだけど、知っていますか?」
と、尋ねました。

当時、タグボートを、立ち上げた頃と、思いますが、岡の大成功を聞きました。

陰ながら、嬉しく思いました。

しかし、それからも、あえて、連絡をすることは、ありませんでした。

大成功をした友人に、わざわざ連絡をするのも、
何だか、さもしいような気がしたからです。

もっと、正直に、自己分析をするのならば、
嫉妬(ジェラシー)だったのでしょう・・・。

歩んで来た道程は、まったく違うのですから、
そんな感情を持つことは、滑稽で、馬鹿げています。

そして、男のジェラシーは、自覚が無いのが、困るのです。

なんだかんだ屁理屈を捏ねくり回し、ジェラシーだと、認めようとしません。
(認めたくない感情)

この感情は、相場の世界では、『ポジション・トーク』と、言います。

やっていること、うんぬんではなく、
大成功をしたこと自体を、無意識に、うらやましい、
と、思ったのでしょう・・・。

ただ、岡の成功が、嬉しかったし、ずっと、気になっていました。

昨年、亜細亜大学で、学生に、
『人に会え!臆するな!』
と、話をしたのですが、
それは、自分自身に、そう語りかけていたのだろう・・・、そう思います。

取り留めが、ありませんが、メールありがとうございます!

何もしなければ、何も起こらないことを、お伝え出来れば、
このお返事も、少しは、意義があるのではないか、と、考えつつ・・・。

松田哲、拝


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2007年10月04日号Part1
【人に会え!臆するな!】
---前に配信したメルマガの続き(Part1)---


ユーロ円が165円台に、再び、乗せている。
そんな時に、為替と関係の無いコンテンツ(内容)ですが・・・

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昨年、亜細亜大の講義の最中に、
「人に会え!臆するな!」と、話した。

大学生に、そう話した以上は、自分も実行しなければいけない、と考えて、
高校、大学の同級生だった「岡康道」に会いに行った。

そのことを、昨年、メルマガに書いた。
先日、それを、そのまま再送した。

文章に、手を加える必要は無い。
書いたその時の気持ちは、時間が経つにつれて、薄くなるから、
むしろ、そのままの方が良い。

それに、私は、自身、思っているのだが、
時間が経過することで、役に立たなくなる文章は、駄文だ、と、思う。

世の中の変化などで、役に立たなくなってしまうコンテンツ(文章)は、
確実に、たくさん存在する。

現在、出回っている、『円キャリー・トレードの利用法(活用法)』などは、
その典型だろう。

今、しばらくは、「円キャリー・トレードのノウハウ」は、有効だろうし、
いずれくる「円キャリー・トレードの崩壊」が終わって、
また、その後で、相応の時間が経過すれば、再び、
「円キャリー・トレードのノウハウ」は、有効になる時が来る。
しかし、そこまで、見越して書かれた文章は少ない。

つまり、『円キャリー・トレードの利用法(活用法)』を書くのなら、
今、現在の瞬間にのみ、使えるものを書くのではなく、
ノウハウとして、もっと普遍的に通用する内容を書くべきだろう、と、考える。


まあ、「円キャリー・トレード」はさておき、
目先の時間にしか、通用しない文章は、駄文に過ぎない、と言って良いだろう。

ここまで明言してしまうと、読者によっては、
「キツイ」「キビシイ」といった印象を持つ方もいることだろう。

それも、理解するし、私自身も駄文を書いている時がある。
自身書いていて、
『これは駄文だから、風雪に耐えられないだろう・・・。』
そう、思いながら、書いていることがある。

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話を戻して、「人に会え!臆するな!」を再送して、
たくさんの読者の方からメールを頂いた。

何人かには、お返事を差し上げたが、時間が足りず、
また、やらなければならないことが山積みで、
とても、全員に、お返事を出来そうにありません。

申し訳ないのですが、頂いたメールには、全て、目を通しておりますので、
ご容赦ください。

多くのメールに、「人に会え!臆するな!」に触発され、
勇気を持って、発信した旨の記載がありました。

そうです!
動かなければ、何も起こらないのです!

行動したことで、まず、第一歩を踏み出したことを、
ご自身で、かみ締めてください。

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2007年10月04日号Part2
【人に会え!臆するな!】
---前に配信したメルマガの続き(Part2)---


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差出人 ******
宛先 satoshi.matsuda2007@gmail.com
日付 2007/09/28
件名 Re: Re:「“O”」氏というのは


昨日、岡氏に関しメールさせていただいた****と申します。

ご丁寧な返信メールありがとうございました。

「『男のジェラシー』=『ポジション・トーク』」で今回のやり取り
が掲載されているのにびっくりしました。


私が学生時代、通っていた電通クリエーティブ塾という広告制作の講習で
たまたま欠席した日がありました。
その日の講師が後で岡氏であったことを知り、
ひどくショックだったことを覚えています。

という訳で岡氏とは面識はありませんが、
今でも雑誌やらサイトやらで触れる岡氏の物事に対するその繊細な捉え方には
やはり嫉妬します。
私の場合、その後決まって自分とのギャップに落ち込む訳ですが、、、


今回(昨日分)メールさせていただいて本当に良かったです。

思いがけず返信をいただき、緊張しつつ読ませていただきました。
その後メルマガにやり取りが掲載されて驚き、と同時に、
普段通りのメルマガなのにどうも気恥ずかしくて読み進めることが出来ない
という妙な感覚を味わいました。
さらに、為替と無関係の内容のメルマガには
普段なら軽くがっかりする私は(失礼!)、
多くの読者様の中にも私のどうでもよい話題で
やはりがっかりしている方がおられるのでは、
という妙なプレッシャーを感じたりなどなど、、、

なるほど! 一歩踏み出してみると、事は動き出し、
様々な気持ちが湧き起こる。
当然と言えば当然かもかもしれませんが、
今回そのことをありありと体感しました。

「何もしなければ、何も起こらないこと」、伝わりました。

未熟で面倒臭い話にお付き合いいただき感謝しています。

この度は本当にありがとうございました。

P.S.
お忙しい時間を割いてこのメールにお返事いただくのは大変心苦しく、
昨日いただいたメールで充分伝わるものがありました、
という気持ちだけお伝えしておきます。

****

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2007年10月04日号Part3
【人に会え!臆するな!】
---前に配信したメルマガの続き(Part3)---


岡に会いに行ったのには、目的があった。

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松田: 「岡は、マスコミ業界にいるんだから、出版社を知ってるだろ?」

岡:  「テレビの広告業界と、出版業界って違うんだよ。」

松田: 「えっ?? そうなの??
マスコミ業界だから、つながりがあるんじゃないの?」

岡:  「そーでもないんだよ。
全く違う分野の人たちから見ると、
同じに見えるんだろうけど・・・。」

松田: 「そっかぁ・・・。」

岡:  「何か、出したいものがあるのか?」

松田: 「うん。そんなところだ。」

岡:  「だけど、もう、何冊か出してるんだから、
そっちを当たった方が早いんじゃないか?」

松田: 「あー・・・。
ビジネス本じゃない分野の出版社を、岡なら知ってんじゃないか、
と、思ったんだよ。」

岡:  「フーン・・・。もっと、一般的なものを書きたい訳ネ?」

松田: 「鋭いネェ・・・。」

岡:  「ああ。その気持ち、分かるもん。
だって、オレたちも、もう50じゃないか。残り10年だろ?」

松田: 「もうちょっと、あるんじゃないかぁ?」

岡:  「まあ、それでも10年ちょっとか、15年さぁ。
オレは10年って考えてる。
10年とすると、
『オレの作れるコマーシャルも、あと100本かな?』
と、思うと、あせる。
『何かを残したい!』って、切実に思うときがある。」

松田: 「へー!!岡でも、そんなこと思うのかぁ?
もーたくさん残したんじゃないのか?」

岡:  「いや、松田な、100本コマーシャル作ったって、
いいものは、2コか3コだぜ。」

松田: 「オイオイ、そんなこと、スポンサーに言うなよ。
聞いたら怒るぜ。」

岡:  「あー、分かってるよ。
いろんな作品を作るじゃないか。
ただなぁ・・・、作品の評価は、人によって違うんだよ。
だから、オレは、自分の作品は、
自分で評価をしないことにしてる。」

松田: 「どーいうこと?」

岡:  「一生懸命、クリエイトして、作品が出来るじゃないかぁ。
そのときに、『よし、これは!』と、自信のあるものが、
けっこうダメなんだよ。
ヒットしない。」

松田: 「フーン・・・。」

岡:  「やるだけやって、作って、
でも、『どーしても、こりゃダメだ!』と思う作品もあるんだ・・・。
最初から作り直す訳にもいかない。納期とかあるだろ?」

松田: 「うん。」

岡:  「だから、ゴメンなさいって、出しちゃうんだ。
とりあえず、納めておいて、
『次作でガンバロウ!勘弁!』って、気持ちなんだ・・・。」

松田: 「へー!!!そんなもんかぁ・・・。」

岡:  「そーゆーのに限って、『岡さん!ザンシンですネェー!!』とか、
言われたりして・・・。
『岡さんの発想は素晴らしい!』なんて、褒められたりする訳よ。
こっちは、ゴメンなさいって気持ちなんだけど。」

松田: 「へー・・・。」

岡:  「そんなこと、言えないじゃないかぁ。
『そんなこと考えて作った訳じゃありません』なんて。」

松田: 「まあ、そーだなぁー。」

岡:  「だから、オレは、自分の作品は、自分で評価をしないんだ。」

松田: 「フーン・・・。」

岡:  「だけど、自分が納得するもので、
世の中に認めて貰いたいっていう気持ちが、フツフツと湧くんだ。
そう考えると、10年しかないって、思う・・・。」

松田: 「・・・・。」

岡:  「松田の目を見りゃ、お前も同じようなこと考えてるのが分かる。
だから、オレに会いに来たんだろ?」

松田: 「うん。そーだ・・・。
鋭いなぁ・・・。お前、昔から、そんなに鋭かったっけぇ?」

岡:  「お前こそ、相変わらず失礼なヤツだなぁ!!」


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2007年10月07日号
【人に会え!臆するな!】
---読者の方からのメール(続き)---


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差出人 ******
宛先 satoshi.matsuda2007@gmail.com
日付 2007/10/05
件名 「【人に会え!臆するな!】」に関して


度々失礼致します。

数回メールさせていただいた****です。

昨日(10/4)のメルマガ【人に会え!臆するな!】シリーズ
読ませていただきました。

またまた私にとっては大変に貴重な内容でした。
中でも、岡氏のクリエイターとしての本音や苦悩そして哲学の
ようなものに触れることが出来、しかも会話形式であるが故の
リアリティー、、、興奮してしまいました。
と同時に嫉妬&自分とのギャップからくる落ち込みも。

いやあ、大変面白かったです。ありがとうございました。


【人に会え!臆するな!】は普遍的なテーマですね。
自分も含め一歩足が前に出ず、チャンスを逃している人たちは
大勢いるのだと思います。だからこのテーマは、昨年に引き続き
今年も、そして来年も再来年もまた大勢の人たちにとって有効な
テーマであり続けるのだろうと思います。

しかしあまり長続きして欲しくないテーマだなとも思います。

一歩踏み出して行動する、そのことがそれぞれの人たちにとって
当たり前の世の中、つまり【人に会え!臆するな!】という
テーマがもはやテーマとして扱われないくらいに、誰もが軽い
フットワークで行動してゆくスタンスを持っている世の中になれば、
世界はもっと変わってゆくかもしれないなどと思うのですが、、、
う〜ん、大袈裟ですね。


さて【人に会え!臆するな!】は2006年07月25日の再配信のよう
です。あまり意識していなかったため、最近のイメージで読んで
いました。
ん?、2006年07月と言えば、私は既にメルマガ読者になっていた
はず。全てのメルマガを保存している訳ではなく、保存すべきと
思ったものしか残してないのですが、、、探してみると、、、

ありました!

「2006年07月25日号Part3【人に会え、臆するな!】---人に会う
ことは、有意義だ!---」

恐らく、この時も私は「”O”さんてひょっとして、、、」などと
気になったのだろうし、少なくとも何かしらの意味を感じて保存
しておいたのだと思います。

昨年は何もせず、今年は一歩踏み出し、問い合わせメールをさせて
いただいた。昨年と今年で何が違うのか後でじっくり個人的に考える
としまして、ともかく、昨年のメルマガが発見された瞬間、ようやく
喉につかえていた骨が取れたようで気分はスッキリしました。

仮に来年、2008年版の【人に会え!臆するな!】メルマガが
再々配信されたのなら、私はいい意味でスルーするのでしょう。

2007年版をもって”O”氏がどなたか判明し、また思いがけず、
それ以上の様々で貴重な情報にも触れさせていただくことが出来、
【人に会え!臆するな!】メルマガは私の中で120%消化されたと
考えるからです。


P.S.
長くなり申し訳ありません。
気温の変動が激しいです。体調など崩されぬようお体お大事に


****

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日付 2007/10/11 15:05
件名 【独断と偏見の為替相場】ひとりごと---取材---

ひとりごと---取材---


このところ、取材されることが多い。
取材をするのではなく、される側なので、
若干、気が楽だ。

原稿を書く側に立つと、
話した内容や、伝えたいことを、
文章におこすことになる。
なかなか難しい作業でもある。

取材する側は、相手が伝えたかった内容を、
まず、自分が、理解しないと、文章にはならない。

さらに、取材される側の考えを吟味して、
『その考えが、正しいか、否か?』を、思量する。

さらに、それを、
第三者(読者)に、わかるように伝える。

そう考えると、
『取材をするのは、なかなかに難しいことだ』
と、改めて、思う。

(続く)




2007年10月18日号Part2
【人に会え!臆するな!】
---今までの経緯の続き:「岡康道」氏の随筆---


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このところ、「岡康道」氏を「ネタ」で、使わせて貰った。
そればかりでは、彼に申し訳ないし、
また、彼のことを、当然知らない読者の方々も多いことだろう。

『マツダさんは、何で、彼のことを書くのだろう・・・?』

『そんなヤツのことは、どーでもいーから、さっさと為替のことを書けよ!』

と、いった意見も多いのではないか?
若干、危惧する。

しかし、そういったコメント(ご意見)や、メールは、
幸いなことに、来ていない。

こういったことは、プライベート・ベースのことだから、
といった意識が、私に残っているので、
必要以上に、そんな気になるのかもしれない・・・。

先週(10月10日)、改めて、岡に会った。
南青山で、取材があった。その際に、ついでに寄ったらオフィスにいた。

その際のことも、メールマガジンに掲載しようと思って、
すでに、ノートに書いてある(原稿は出来ている)。

しかし、このところ、毎日、何かしらがあり、
ノートに書いた原稿を、パソコンに打ち込む時間が無い・・・。

それでいて、先に、この文章を書いている・・・。
(矛盾していますが、アウフヘーベンしてください・・・)(^0^)/♪


ちょっと、「岡康道」氏の紹介を兼ねて、書いておこうと思う。

ちなみに、その先日、会った際に、
「お前のこと、ネタで書いたよ!」
と、岡に、伝えた。

「あーそーか! 好きに書いてくれよぉ。」

そう言っていたから、そのまま言葉通りに受け取らせて貰う。

ATTN:岡康道さま
万一、この文章を読んで、問題があったら、連絡してくれ!

(免責事項のつもり↑)

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電通とタグボートは、
雑誌の総合情報サイト「magabon(マガボン)」を開設した。
利用は無料。
サイトに掲載されている雑誌は、表紙や目次を拡大して確認できるほか、
内容の一部を閲覧することも可能だ。閲覧には最新のFlash Playerが必要。

http://magabon.jp/

雑誌を立ち読み感覚で楽しめる「ちょい読み」をはじめ、
「magabon」は雑誌に関連した情報を発信する雑誌ポータルサイトです。

24時間365日、インターネットで最新の雑誌情報ばかりでなく、
話題で人気のクリエイティブコンテンツも楽しめる
「マガジン&クリエイティブ」なサイトです!
( http://www.magabon.jp/content/aboutmagabon.html より引用)

※タグボートは、岡氏が代表を務める「クリエイティブ」の会社。

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上記の雑誌の総合情報サイト「magabon(マガボン)」
http://magabon.jp/

のコンテンツに、「岡康道」氏本人の随筆があった。


【すべてはいつか、笑うため。】
http://www.magabon.jp/special/oka/

※私も、今さっき、発見したばかりなのですが、
 すでに、第33話まで掲載されています。

 早速、第1話と第33話の二つを読んでみた。(最初と最後を読んだ)

 なかなか面白い!

 おいおい、全部読んでみよう、と思っている。

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2007年10月19日号
【がんばれ!!! プロ・サッカー選手!!!】
---[ブログ]【IPPEI AOKI 1.28】---


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今回の、この内容は、外国為替市場とは関係ありません!(念のため)
ルーマニアに飛び立った、新人プロサッカー選手の話の『続き』です。


【引用】
IPPEI AOKI 1.28
http://ippei.cocolog-nifty.com/blog/

※最近になって、メルマガやブログを読み始めた方は、
『どーして、ルーマニアのサッカーなの?』
と、思うことでしょう。

一平は、昨年、亜細亜大学で、私の授業を受けていた学生です。
(今年の春、亜細亜大学を卒業)
卒業式には出られずに、今年の1月28日、プロ・サッカー選手になるために、
ルーマニアに渡りました。

その後、現地のプロリーグ(ルーマニア2部リーグ・3部リーグ)の中で、
もまれながらも、一生懸命に、活動しています!

応援、よろしくお願いします!!

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2007年10月14日 (日)

【悩み】

約一週間くらい前からブラショフという都市のチームにきていたんですが、
2日前にチームからオファーを受けました。期間は来年の6月まで。

なんだけど、いまサインをするかしないか物凄く迷ってる。
理由はいっぱいあるんだけど、
ここには書けないこともあるので、書けることだけ書きたいと思います。

1番の問題は2部のチームにこだわってきたということ。

6月まで3部でプレーした後、
ルーマニアの2部と3部の色んなチームのテストを受けてきた。
1度3部のチームからのオファーを断ったりもした。

テストを受けてきて感じたことは、
2部でもやれる力が自分にはあるっていうこと。
結果だけをみれば、最終的に契約まで至るチームはなかったわけだから、
何を言っても言い訳かもしれないけど、
客観的に自分の力と他の選手の力を比べる目は確かだと思っている。
というか自分の力、レベルを把握できない人間はプロにはなれないと思うし、
そもそもここには来ていないとも思う。
自分の力・可能性を分かっているからこそ、才能を信じているからこそ、
諦めなかった。
その結果、こうして自分はプロになれたと思ってる。

自分が2部でプレーできる力を持っていることはわかった。
それだけに2部でプレーしたい。
でもいざ契約となると難しいこともある。
やはり外国人を雇うことは色んなリスクがある。
言葉の問題、コスト、
チームからすれば助っ人としてチームに欲しいわけだから、
他の選手と変わらないレベルならばリスクのある外人を雇うよりも
自分の国の選手を使う。
だからテストでは他の選手よりも飛び抜けていなきゃいけない。
それか何か飛びぬけた武器をもっていなければいけない。

正直2部のチームにいた時、他の選手と変わらないレベルを持っていたけど、
飛びぬけていたかと言われれば、飛び抜けてはいなかった。それじゃダメ。

結果だけが求められる世界。
たとえ色んなリスクがあったとしても結果的にチームに入れなかったのなら、
それは2部の力を持っていなかったのと一緒のようなもの。

純粋にテストだけでチームに入るってことは本当に難しい。
だからこそ、3部とはいえオファーをもらえたことは本当に嬉しい。

物凄く悩む。。。

来週中には答え出ると思います。

あぁでも文章ってほんと難しい・・・

今回も自分の言いたいことが言えてるのか全然わかんない。

きっと時間が経ってこの文をみたら、
『何だこの文、もうちょっとちゃんと書けたろ』って思うんだろうなぁ。
(苦笑)


あっあとこれブラショフの街です。
ルーマニアで1番の観光都市だけあって素晴らしいっす!

http://ippei.cocolog-nifty.com/blog/images/2007/10/14/picture_022.jpg

http://ippei.cocolog-nifty.com/blog/images/2007/10/14/picture_001.jpg

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【人に会え、臆するな!】

参考:「岡康道」氏のページ

すべてはいつか、笑うため。
http://www.magabon.jp/special/oka/

岡 康道の世界広告道中記:NBonline(日経ビジネス オンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20070511/124636/

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昨日(10月18日)、一平のブログに投稿した。
(まだ、承認されていないので、アップされていない)

【一平に送ったメッセージ】

ちゃんと、伝わってるよ!!
悩んでいることも、わかるし、
一平が「ジレンマ」におちいっていることもわかる!

妥協したくない気持ちもわかるし、
生きていくためには、(食べていくためには、)
ガマンしなければいけないのか・・・?
そう、考えて、苦しんでいることも、わかる。

実際に、やってみて、自信も持てたけれど、
自分に何が必要なのか、も、理解したこと、
それも、わかる。

でも、着実に、進歩前進しているヨ!!

オレは、サッカーは、わからないけれど、
『一平が、自分自身を、第三者の立場から、見ることを始めた』
それが、伝わる。

きっと、サッカーも、
日本にいるときよりも、うまくなっているのじゃないかな?

世阿弥・観阿弥の『舞の名人』の話を覚えているかな?
『舞の名人』は、失敗をしないのではない。
もう一人の自分がいて、自分の舞を見ている。
観客の目は、ごまかせても、もう一人の自分は、だませない。

http://forexdealer.web.fc2.com/Ippei001.html

このページは、『オレの個人的なメモ帳の一部』で、
広く公開しているわけではないのだが、
【人に会え、臆するな!】
という題(タイトル)の一連のコラムを作った。
時間のあるときに、読んでご覧。
(^0^)/♪

この内容の、【人に会え、臆するな!】は、一平に言った言葉だ!
オレが、一平に、その言葉を言ったことで、オレも前進している!

近くにいれば、いくらでも会って話ができるけど、
文章で、伝えるのは、確かに、まどろっこしい!!
(^0^)/♪

自信と誇りを持って、自身で、よく考え、判断すればいい。
時として、回り道に見えることが、近道だったりする。

ただし、回り道であっても、王道を進め!
オレは、一平の判断を信じる!

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今日(10月19日)の午前中に、一平にメールを送った。
一平が気が付くのは、東京時間なら、今日の夕方になるだろう・・・。

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【一平に送ったメール】

一平が、ブログに、アップしている文章を、
---「今回の文章」と、私が、「今回、投稿した文章」を、---
メルマガや、私のブログに引用掲載したい。

一平自身が、自分のブログで、発表しているのだから、
問題は、無いと、思うけど、念のため、このメールを送ります!
(^O^)/

返事がない場合は、一平が、了解したと、考えます。
(忙しいだろうことは、想像付きます。だから、無理して、返信不要。)

※(自身、悔いのない判断を!)

※(オレは、何もできないが、一平を信じることだけは、できる!
遠い本国に、一平を応援している人が、いるヨ!頑張れよ!)
(^O^)/

松田哲より

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2007年10月19日号Part3
【人に会え!臆するな!】
---取材やら、高校の同級生やら、子供の就職やら、取り留めの無い話---


先日(10月11日)に、取材のことを書いた。

その際に、(続く)と書いてあったので、
『あの続きは、どーしたのかな?』
と、思っている(思っていた)方は、いますか?

先日(10月11日)の文章は、ノートに書きあがっていたのですが、
パソコンに打ち込む時間が無かったのです・・・。

最近、取材を受けることが多い。
ありがたいことだ、と感謝しています。

出先で、時間の合間に、携帯電話から、コメントを発信することも多い。
ノートに、手書きで、思いついたことを書き留めておくことも多い。

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このところ、取材されることが多い。
取材をするのではなく、される側なので、若干、気が楽だ。

原稿を書く側に立つと、話した内容や、伝えたいことを、
文章におこすことになる。
なかなか難しい作業でもある。

取材する側は、相手が伝えたかった内容を、
まず、自分が、理解しないと、文章にはならない。

さらに、取材される側の考えを吟味して、
『その考えが、正しいか、否か?』を、思量する。

さらに、それを、第三者(読者)に、わかるように伝える。

そう考えると、
『取材をするのは、なかなかに難しいことだ』
と、改めて、思う。

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10月10日の取材は、南青山(表参道)。
久しぶりに青山の骨董通りや青山学院大周辺などを歩いた。

---取材をする場所(ビル)が、わからなかったので、
ウロウロとしただけなのだが・・・。---

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現在の外国為替市場、外貨投資に関する取材内容に関しては、
まあ、私にとってみれば、通常のことなので、このコンテンツでは割愛。

取材記事に掲載するための写真を、かなりたくさん撮った。

プロのカメラマンに撮ってもらう写真は、やはり違う。

それに、ちゃんと、背景用のシートを、組み立てて、
---携帯用の背景用シート(たたむと、ものすごく小さくなる)---
ライティングをして、さまざまなアングルから、たくさんの写真を撮れば、
何枚かは、良く写っている写真もあるだろうと期待。
(いくつか、ポーズをとりました!!)

ブログにアップしたい旨を伝えて、いくつかのデータを送って欲しい旨依頼。
どんな写真か、楽しみだ。

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取材が終わって、外に出るも、まだ3時半。中途半端な時間でもある。

青山の一等地だが、半分は「おのぼりさん」状態だから、
それ程知っているところも無い。

表参道の地下鉄入り口に戻る際に、「岡」の事務所が近いことを思い出した。

このところ、メルマガ(ブログ)で、昨年のことを再配信したり、
昨年には書かなかったことも、思い出しながら、「ネタ」として書いた。

そういえば、その後、「岡」に紹介してもらった出版社の御礼も、
ほったらかしのままであることも思い出した。

---結局、その出版社とは、ご縁が無かったのだが・・・。---

「岡」がオフィスに居るとは限らないし、多忙なヤツだと知っている。

オフィスの前にまで着いて、「アポ無し」で訪ねるのも、ちょっと気が引けた。

オフィスの前でためらった。

それでも、
『まあ、いいや・・・』
と、ドアを引いてみると、
セキュリティのためなのだろう、鍵がかかっている。

ドアのすぐ横にインターホンはあるのだが、
インターホンのボタンを押さずに、携帯から電話をした。

(『変な行動だな・・・』と、我ながら、苦笑)

電話をすると、秘書の女性が、15分ほど待てば会える、とのこと。
応接で待たせてもらった。

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たまたま、その日の取材のために持っていた新刊本『外貨崩落』を手土産に、
無沙汰の挨拶。

その後、紹介してくれた出版社とは、ご縁が無かったものの、その御礼。
(もう、1年以上も経ってしまったのだが・・・)

取り留めの無い話やら、高校時代の同級生(同窓生)たちの話。

「岡」と親しかった「小田嶋隆」や、
私と同じクラスだった「森本あんり」のことが話題に上った。

※小田嶋隆:【人はなぜ学歴にこだわるのか。(知恵の森文庫)】
⇒ http://www.amazon.co.jp/dp/4334783503

※森本あんり:国際基督教大学(ICU)教養学部教授(宗教学・神学)
【アメリカ・キリスト教史―理念によって建てられた国の軌跡】
⇒ http://www.amazon.co.jp/dp/4400221172

「岡」は、オレが新刊の本をプレゼントしたので、
気を使って出版のことを話題にしてくれたのだろう。

ここで、「岡」の書いた本も紹介しておこう。

※「岡康道」:【ブランドII】(岡康道共著)
⇒ http://www.amazon.co.jp/dp/488335105X

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岡: 「オレの長男も、就職でなぁ・・・。」

松田:「ヘェー! 岡のコネ使えば、割と自由だろ?」

岡: 「広告業界がいいんだってヨ!
オレは、大変だから、ヤメロ!って言ってんだけど・・・。」

松田:「なおさら岡の顔が利くじゃないかぁ?」

岡: 「あー。
この業界なら、『D社』か『H社』になるんだろうけど・・・。」

松田:「『D社』なら、もっと顔が利くじゃないか。
お前がいたとこなんだし。
それに、お前は『D社』から、もう独立したんだから、
構わないんじゃないかぁ?」

岡: 「あー。そーなんだけど・・・。
『アンチ』もいるからなぁ・・・。
『オレのこと嫌いなやつ』も多いから。
苦労するんじゃないかなぁ・・・。
だから、『H社』かなぁ、とも、思ってるんだ・・・。
『H社』は勤めていた訳じゃないし、仕事上の関係だけだから、
意地悪もされないだろうし・・・。」

松田:「あはは。どこにも『アンチ』はいるよ。
たいていは『アンチ』にすらならない。意識に残らないからなぁ。
お前が成功した証だよ。
それに、どこに行っても、親が誰でも、そんなもの関係ないさぁ!
働くのは、本人だもの。
仕事は教えてもらわないと出来ないし、最初は誰でも苦労するさ!」

岡: 「・・・・。
ところで、本を書けるってのは、スゲーよなぁ。」

松田:「岡の方が、スゲーんじゃねぇか?」

岡: 「いや、オレは、思い付くままに、
いい加減にやってるだけだから・・・」

松田:「・・・・。」

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『その方がスゲーじゃねぇか?』
と、思いながら、
その話が長くなっても仕方が無い、と思い、黙っていた。

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