為替随想

[為替随想] 2007年11月01日
外国為替相場を読む際に、実在するものに対して、「無いものとして扱うわけにはいかない」

何かをしようと、考えて、目的を持つ際に、「大義」がないと、続かない。あるいは、続いても、たかが知れる。
 受験勉強で、いわゆる「いい大学」に入ることが、目的の場合、その目的の「いい大学」に入って、『終わる』。=勉強をしなくなる

いわゆる「いい大学」に入ることが、目的ではなく、その先の、いい会社に就職する、あるいは、高級官僚になる、弁護士や裁判官になることが、目的の場合、官僚試験や、司法試験に受かれば、そこで成長が止まる。有名な会社に入れば、それで成長が止まる。
 それも、また、その人の人生だから、それで構わない。
 そういった人たちは、本来、頭の良い人たちだから、いずれ、『何か』に気が付く。
 そして、考える。
 悩むかもしれない・・・。考えても仕方が無い、と考えて、能動的に(=わざと、)考えるのを止める。それは、『志』の無くなった状態で、会社に属する場合は「社蓄(会社の家畜)」。国家公務員ならば、「国家の寄生虫」となる。

 別の例。もっと、具体的に、「お金持ちになる」という目的を持ったとしよう。
 「お金は力」。さまざまな意味で、力。国家間の戦争は、所詮、お金のたくさんある国が勝つ。それは、有史以来の歴史が証明している。戦争は、経済力を武力に変換しただけ。
現在もそうだが、最新の武器(戦闘機、イージス艦、さまざまな情報機器など)は、値段が高い。
 ローマ帝国も、現在のアメリカ覇権も、似たようなものだ。
 ホリエモンが言っていたが、「金で買えないものは無い」。
 本当だろうか?
 ある立場から見れば、それも正しい。
世の中、「きれいごと」ばかりではない。そう考える人たちの中では、事実なのだ。

世の中で、麻薬を売り、巨額のお金を持つ人は、世界中を見れば、たくさん居る。
世の中、「きれいごと」ばかりではない。日本にだって、麻薬の密売組織はあるし、それを摘発できない日本の警察がある。「金の亡者」は警察官にもいる。

今回、防衛省事務次官が、ゴルフ接待で、窮地に居る。摘発すればよい、と考えるが、彼は、国防の、つまり、日本の治安を考える本当の『トップ』ではないか!
 日本人が、すべてそうだとは言わないが・・・。

防衛省事務次官のゴルフ接待などは、せいぜい数百万円の、取るに足らない少額だが、世界規模で考えれば、巨額のアングラ・マネー(アンダーグラウンド・マネー=不正資金)が存在する。

そういった巨額のアングラ・マネーの代表が、麻薬や人身売買のお金。
それは、スイスの銀行に、何兆円、何十兆円といった規模で、実在する。

そういった不正のお金は、いけない、と、誰もが考えるが、必ず、悪いことをしても、自分が儲かれば、自分さえ良ければ構わない、と、考える人も、実在している。

私は、外国為替相場を読む際に、そういった資金がどのように動くのか、(=資金移動、資本移動)それを、意識して、考える。

不正だろうが、実在するものに対して、「無いものとして扱うわけにはいかない」。
『事実を見よ!事実を見なければ、相場では勝てない・・・。』と、考える。

不正を不正として追求することは、また、別の問題なのだ。

こういった事柄(テーマ)に、私には、まだ、明確な答えが無い。
仕事の世界で、引退するまでに、私なりの、『明確な答え』が見つかると良いなぁ・・・、と、考えている。



[為替随想] 2007年10月05日
メジャー・カレンシーとマイナー・カレンシー

 日本で「為替レート」と言う場合、通常はドル/円(USD/JPY)レートを指します。
 しかし、マーケット(外国為替市場)で取引されているのは、もちろんドル/円だけではありません。
 海外では、「為替レート」と言っても、ドル/円レートを指すわけではありません。
『どの通貨とどの通貨の組み合わせのレートなのか?』
と聞き返されることになるでしょう。
 マーケットでは、世界中のさまざまな通貨が取引されており、それぞれの通貨対それぞれの通貨のレートが成り立っています。

 世界中のマーケットで、多くの市場参加者が、頻繁に売買している通貨を「メジャー・カレンシー(Major Currency/主要通貨)」と呼びます。
 2007年現在、メジャー・カレンシーは、ドル(USD)、円(JPY)、ユーロ(EUR)、ポンド(GBP)、スイス・フラン(CHF)を指します。
 オーストラリア・ドル(豪ドル・AUD)をメジャー・カレンシーに含める人もいますが、私個人の考え方、感じ方では含めない方がよい、と考えています。
 リクイディティ(Liquidity)のない通貨は、国際的な信用に裏打ちされ、流通・通用するという機能をまっとうしておらず、メジャー・カレンシーとは呼べない、と考えているからです。
メジャー・カレンシー以外の通貨は、「マイナー・カレンシー(Minor Currency/非主要通貨)」と呼びます。
 では、「リクイディティ」とは何でしょうか。
「豊富に取引されていて、世界中に多くの市場参加者が存在しており、売買したいときにいつでも、世界中のマーケットで、すぐにその時の気配値で取引が可能なこと」を「リクイディティがある」と言います。
「リクイディティのない通貨」は、もの、品物、商品と一緒です。
 リクイディティのない通貨の取引は、商品取引に近いと言えるでしょう。取引の参加
者が普遍的ではなく、一部に限られているからです。
 取引参加者が限定的であるということは、取引できる時間帯が限定される、ということです。参加者が多くないので競争の原理が働かず、取引されるプライス(価格)のスプレッドがワイドになります。「ビッド(Bid/買値)」と「オファー(Offer/売値)」の「スプレッド(Spread/開き)」が広がるわけです。
 とはいえ、決して、そういった通貨を馬鹿にしているわけではありません。
 そして、もちろん、商品取引が外国為替取引に比べて劣るなどとも思いません。

「取引参加者が少なくて、自由に売買ができない」「取引に制限がある」「通貨供給量が少ない」「十分な売買環境が整っていない」「その通貨を発行している国(国々)が何らかの規制をしている」。そういった通貨が、「リクイディティのない通貨」です。
 通貨とは、それに価値があるという信頼、その国家に対する信任に基づいています。つまり、「通貨」は「国家」なのです。
 自国内だけで流通させることが主目的の通貨は、メジャー・カレンシーの要件を備えていません。私の考え方では、オーストラリア・ドルは、マイナー・カレンシーに含まれます。



[為替随想] 2007年09月28日
【巨額の資金を使わなければ、相場は動かない】


 FOMC(9月18日)の前後になって、急にドル/円が買い気配になった。

それは、ドル/円レートの値動きを見れば、誰にでもわかることで、それに、気が付かない方が、おかしい。ドル/円レートが上昇しているのだから、誰にでも、分かることだ。
 そして、それは、当然に、『誰か』が、ドル/円を買っているはずだ。

何のニュースもない、まだ、FOMCには、ずいぶんと時間があるときに、マーケットのみんなは、一様に、FOMCを待っているときに、そういった動きがあれば、『その人』は、FOMCに賭けて出ている(=ギャンブルに出ている)のは、明白ではないか?

『その人』は、彼だか、彼女だか、知らないが、―――別に、興味も無いので、どうでも良いが、―――FOMCで、ドル/円が上昇することに賭けて、大量の「ドル買い円売り」を実行した(はずだ)。

大量(巨額)の資金を使わなければ、相場は動かない。
 『ニュースだけで、相場が動く』と言う人がいるが、それは、『ウソ』だ。
 ニュースに基づいて、大量(巨額)の資金が動くから、為替レートも動くのだ!

現に、FOMCの発表前に、米系大手証券の決算発表で、「サブプライム・ローン」に伴う損失が、思った程でもない(事前予想よりも小さい)ことが発表されて、ドル/円は、上昇気味となった。
 そのニュースに伴って、「ドル買い円売り」が実行されたから、ドル/円レートが上昇したのだ。そのニュースだけで、相場が動いたのではない。

FOMCの日は、その米系証券の決算発表後に、『対米証券投資』が発表されている。
 事前予想に比べて、とんでもなく悪かったのだが、ドル/円レートは動いていない。

つまり、この日は、『対米証券投資』のニュースがあったのだが、そのニュースに基づいて大量の売買が起きなかったのだ。

否、この日、『対米証券投資』に基づいて、ドル/円を売った市場参加者は存在した(はずだ)。
 その、「ドル/円の売り」を吸収して、ドル/円レートをサポートした、―――つまり、ドル/円レートが下落しないようにドルを買った、―――市場参加者がいたはずだ。
 それは、『その人』と、同一人物(同一チーム?)だった、と考えられる。

 『その人』は、FOMCに賭けて、ギャンブルに出ているのだから、降りる訳にはいかなかったのだろう。もう、始めてしまったのだから、途中で降りたら、とんでもない損失になる。
 だから、降りることも、不可能だった。降りることは、すなわち、言葉の綾ではなく、文字通り、死を意味する状態だったのだろう。
 たぶん、『その人』は、8月の相場で、巨額の損失を抱えて、何もしなければ、死を迎える状態だったのだろう。
 そうでなければ、乾坤一擲、死を賭した勝負に出る馬鹿はいない。

理屈で考えても、分かるではないか!
 死を賭して、相場に臨むなど、正気の人間のすることではない。狂気の沙汰だ。
 どうして、そんな、狂気の沙汰に及んだのか?を、考えれば、その向こう側にある動機(原因・理由)は見えてくる。

結果的に、『その人』(そのチーム?)は、FOMC当日、その前後の勝負には、勝った(だろう)。
 しかし、8月の相場で負けた金額には、全く、遠く、及ばない。(もともと、「サブプライム・ローン」で負った巨額の損失を、抱えているのかも、知れない・・・。)

まだ、『その人』(そのチーム?)は、対円絡みで、マーケットにしがみついて、目を光らせている。
 暗闇に隠れて、「トラ(損失を抱えた投機筋)」の目が光っている。




2007年09月21日
タイトル
FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)は、
ドル金利を[0.50%]利下げた!


ドル金利に関しては、『なーんだ・・・、利下げかぁ』と、いったところ。

私は、FED(FRB)の毅然とした態度を期待して、
『据え置き』を予想していたが、結局、ドル金利は、引き下げとなった。

ただ、これで、対応は、『ドル売り』だから、為替相場への臨み方は、単純。
同じ、『ドル売り』ならば、『ユーロ買いドル売り』が、
ポジションを持ちやすい、と、考える。

『ドル売り円買い』『ポンド買いドル売り』よりも、
『ユーロ買いドル売り』が、一番、楽だろう。

ユーロは、利上げを控えているし、気分的に楽。

これで、米国は、予防的利下げを実施したことになるが、
だとすると、サブプライム・ローン問題は、想像以上に、悪いことになる。

なおかつ、全員一致の決定。
サブプライム・ローン問題は、相当悪い(巨額の損失がある)という証。

結局は、ドルを買う訳にいかない。


FOMCの当日は、かなり、歪んだマーケット状況だった。

FOMCの当日(9月18日)に、FOMCの前に発表された『対米証券投資』が、
大幅に、驚くほど極端に、減少している!

にも、かかわらず、この日のマーケット(外国為替市場)は、
目立った反応を示していない!

『対米証券投資』の結果から、
サブプライム・ローン問題で、対米投資が、撤退している、
つまり、『質への逃避』が、起きていることが、確認できる。


みんな、『サブプライム・ローン問題』で、
変になっちゃったのかなー・・・。

反応が、変だ!偏っている。

対米証券投資のこの結果は、私は、『ドル売り』と、判断する。

その前に、発表された米系大手証券の決算が、
予想よりも、悪くなかったことを材料に、『ドル買い』と、なった。
それは、それで、良い。

しかし、だったら、対米証券投資にも、『ドル売り』に反応するのが、
普通(通常)のマーケット。

この日のマーケットには、何らかの、思惑(何らかの腕力的な作用・力)が、
働いている、ということだろう。

と、なると、この後で発表される、FOMCが、関連している、ということ。

ドル金利の利下げを前提に、行動している、ということ。

巨大投機筋が、マニュピュレーション(価格操作)を、
しているのだろう。

私が、ここで言っている『価格操作』には、悪いニュアンスは、無い。

かなり、本気の(場合によっては、命懸けの)、勝負に出ている、ということ。

ビッグ・サイズ(巨額の資金)で動いている、ということ。

負けが込んでいる投機筋が、勝負に出ている。

こーいう時は、『肩すかし』で、相手をしない方が良い!

巻き込まれたら、危ないからだ。

FOMCでの利下げ直後からは、しばし、ドル円では、ドル買いも見られ、
「円キャリー・トレード復活」の様相も少し見られたが、

結局、FOMCの後の9月20日のニューヨーク市場では、
ユーロドルは、1.4100を付けた。(ユーロ買いドル売りが進んだ)
ドル円も、113円台後半を見た。(ドル売り円買いとなった)

FOMCの当日には、ドル金利の引き下げを、『奇貨として』、
「円キャリー・トレード復活を装い」、
相場を仕掛けた巨大投機筋(米系ヘッジファンド)がいたのだが、
その相場を仕掛けた巨大投機筋(米系ヘッジファンド)は、
うまくやったのかな?
(うまく、売り逃げることができたのかな?)

大きなお世話だし、他者の利益損失を考えるほど、私はヒマでもないので、
どうでもいいのだが、
巨大投機筋(米系ヘッジファンド)は、
命懸けでやっている割には、うまくいっていないのではないかなぁ・・・。

ムキになると、誰でも、うまくいかないものだ・・・。

大玉(巨大資金)を振り回すと、
その瞬間は、マーケットを支配できるのだが、
逃げようとしたときには、相手がいなくて、逃げ切れないことも多い。




2007年09月14日
タイトル:安倍首相の辞任


9月12日(水)、安倍首相が辞意を表明した。

個人的には、参院選の前から、自民党が負けた場合は、
安倍首相は責任をとると表明していたのだから、
参院選後にすぐに辞任するのだろう、と、考えていた。

もちろん、これほどの大敗とは思わなかったが、
選挙前から、自民党の負けは見えていたから、安倍首相の辞任交代は、
予測できた。

しかし、今回の件では、その予測に反して、
安倍首相は、本来、参院選直後に、辞めるべきだったのに、
安倍首相自身が、間違った判断をして、続投した。

それだけのことだ、と考えています。

私にしてみれば、以下のように考えています。

『ほれ見ろ!』
『たったの2ヶ月、ズレただけ』
『安倍さんは、民意・下情が、分からない人柄だ』

急に、こういった展開になったが、
水面下では、米軍への給油問題がある、と考える。

「テロ特措法」で、米軍に燃料を配給しているが、それを、今後も継続すると、
今回の日米交渉で、安倍首相は、
米国と約束(ブッシュ大統領と約束)をしていたのだろう。

米国との約束を守れなくなったので(なりそうなので)、
米国に対する立場で、辞める決意をしたのだろう。
そんなところだろうと、考えている。


そして、気になる相場への影響だが、
安倍首相が、辞めることは、外国為替相場に、影響を与えない、
と考える。

株式市場には多少影響があると考える。
しかし、為替市場と株式市場は違う。
株式市場は株式市場。為替市場は為替市場だ。

通常ならば、首相の突然の辞任は、
日本の政局不安定だから『円売り』になるが、
もともと、日本の政局は不安定なのだから、『織り込み済み』なのだ。

参院で逆転状態だから、日本の政局不安定は、
今後も、長ければ、衆院選挙まで続く。

衆院解散は、自民党にしてみれば、できる限り避けたいところ。

現状では、前回の衆院選のように大勝できる可能性が無いのだから、
解散総選挙の断を下すわけが無い。

だから、解散総選挙に持ち込まれたら、負けるのがわかっているから、
勝負には出ない。

相場も同じだが、
『負けるのがわかっている勝負に出るのは、単なる愚』
それは
『匹夫の勇』


また、今の外国為替市場は『ドル売り』のニュースには反応するが、
『ドル買い』のニュースには反応しない。

センチメント(市場心理)が、そういった場合だから、
安倍首相が、辞めることは、外国為替相場に関係無い。
(影響を与えない=あっても軽微)



「為替随想」2007年09月07日分原稿
タイトル:玉石混淆の情報氾濫・憲法の表現の自由



人間は、『誰でも、自分と、同じだ』と、考えている。

自分の好きな食べ物を食して、『美味い』と、考える。

他の人達にも、『食べたらおいしいヨ!』と、伝える(言いたくなる)。

今の世の中(時代)で、一般的なものなら、『そーかぁ・・・。それは、おいしいのかな?』と、考えるだろう。

『鹿肉の刺身』は、一般的ではないかも知れない。が、脂っこく無いし、淡泊で、実は、誰にでも、食べやすい。
しかし、奈良公園や、安芸の宮島(広島)で、そういう話をすると、不快に思う人も多いだろう。
そこでは、鹿は、神様のお使いだったりするからだ。

鯨(くじら)は、刺身でも、ステーキでも、大好物だ!

捕鯨に規制がかかるようになって、鯨は、値段が、高くなった。
私が、子供の頃は、小学校の給食に、頻繁に出た!
鯨肉のから揚げや鯨のステーキは、ご馳走だった!(値段も安かった)

捕鯨禁止を訴える人達に、鯨の刺身やステーキが、美味い、ということを伝えたら、不快に思うだろう。
しかし、鯨の刺身、ステーキを、食して、美味い、と、感じるのは、私であり、嘘ではない。

『美味いなら、食ってもいいのか?』は、別の問題だ!という意見も理解するが、牛肉を食しても良いが、(仕方が無いが、)鯨を食するのは、残酷だ!というロジック(論理)は、全く理解出来ない。

所詮、地球上の生物は、他の生物を食しないと、死んでしまう!植物も微生物も、生命体という意味では、鯨や牛と、同じだ!

人間も、変わらない!
では、食人(しょくじん=人食い)を認めるか?
さすがに、論点を、そこに、持って行きたく無い。

閑話休題。

人間は、誰でも、自分と同じように感じるだろう、と、考えて、行動するが、結構、そうでもない!

このところのマーケットを見ていて、為替や金利のいい加減なコメントを読んで、苦笑いをすることが、多い。

同じものを(同じ情報・ニュース、同一のチャートを)見ても、感じること、考えることは、実は、みんな違う、ということ。

自分だけが、正しい、などとは、決して思わない!
そこまで傲慢ではないし、
『敬けんな畏れの気持ち』は、常に持つ(努力する)。

しかし、不勉強をさらけ出す、噴飯コメントは、困ったものだ!

玉石混淆の情報氾濫。

情報を受け取る側が、しっかりしないと、いけない、ということか・・・!?

表現の自由は、憲法で保障されている。

しかし、憲法で、表現の自由を保障したということは、つまり、その受け手側に、責任が転化されていることにも、
留意する必要が、ある。

表現の自由とは、つまり、そういうことだ。




[為替随想] 2007年08月31日
コストの悪いドル/円のロング(買い持ち)は、処分した方が良い

8月の最終週、27日月曜日のニューヨーク市場朝方のドル/円は、若干、ドル安気味の[116.00]アラウンドで始まった。ニューヨーク市場は、[116.00]を挟んだ水準での小動き。
ロンドン市場が、レイト・サマー・ホリデーで休場のため、市場参加者も薄く、取引も不活発。
8月27日、週明け月曜日のニューヨーク・クローズは、[116.00]アラウンド。
 レイト・サマー・ホリデーには、何もなかった。

8月27日月曜日のニューヨーク市場が引けて、その翌日(=8月28日)のシドニー市場で、ドル売りが出て、115円台ミドルに下落した。
 ニューヨークの株が安く引けたことなども材料だろうが、ニューヨーク市場が終わってからドル/円を売ったのだから、たいした理由もない。
 誰だか知らないが、(知る必要も無いが、)まとめてドルを売ったので、下落した。

冗談、ジョークで、そういったことを述べているのではない。
マーケットのセンチメント(雰囲気)が、ドル下落を許す状況だ、ということを言いたいのだ。

シドニー市場で、115円台ミドルまで、売り込まれた際に、『それは、安い(安過ぎる)』と、多くの市場参加者が感じれば、すぐに、ドル買いが出て、反発する(はずだ)。
 シドニー市場で、[115.50]をいったん割り込むと、結局、東京市場は、115円台ミドル程度で、持ち合いに推移している。
 反発上昇する気が無いのだ。

マーケット(=マーケットを構成する多くの市場参加者)は、それ(その為替水準、絶対水準)を認めている、ということ。
 認めなければ、(認めたくなければ、)いわゆる『防戦のドル買い』なり、何なりの行動が起こる(起こす)。
 シドニー市場で、ドルが下落して、すんなり、そのまま東京市場が始まるということは、その気もない、と、いうこと。

個人的には、ドル/円(USD/JPY)を買う気には、全くならない。
まだ、コストの悪いドル/円(USD/JPY)のロング(買い持ち)が、---[119.50]よりも上で買いでつかまったロングが、---上値を重くしている。

8月17日に付けた、111円台ミドルから見れば、8月23日に、117円台までよく戻した。
少しでも、助かるチャンスを、マーケットは、もたらしてくれました・・・。
  マーケットは、いつも意地悪だけど、今回は、比較的、優しいところ(温和なところ)がある、と感じています・・・。
コストの悪いドル/円(USD/JPY)のロング(買い持ち)を、処分するには、良いチャンスだったと思う。

[115.00]は、重要なレート。すでに、何度も、通過していますが、引き続き、みんなが意識する(している)レートです。
[115.00]よりも、下にいると、ベア(ドル弱気)になります。
[115.00]よりも、上にいると、再度、上昇の可能性を期待するところがあります。

個人的には、[115.00]よりも、上にいると、マーケットが(参加者が)、再度、上昇の可能性を期待するところがあるのは理解しますが、ドル/円(USD/JPY)を買うのは、現状では、絶対に嫌です。
現在は、『揺り戻し』局面であり、『下値持ち合い』を形成しているところ。
コストの悪いドル/円(USD/JPY)のロング(買い持ち)は、処分した方が良い。

『処分する』とは、すなわち、『損切りのドル売り円買い』を敢行することで、それ以外に、上手くするような方法(手法・戦術・戦略)は無い。
だから、『売りのチャンス』を逃した場合は、今すぐに、『損切りのドル売り円買い』を敢行して、次の相場に備えるしか、対応策は無い。



[為替随想] 2007年08月24日
【8月の円金利据え置きで、思うところ】

2007年8月23日、日銀は、政策金利の据え置きを決定した。円の政策金利は、[0.5%]のまま。

7月下旬の参院選の前から、参院選後の8月には、日銀が円金利引き上げを実施することが確実視されていた。
しかし、7月下旬以降、米国の「サブプライム・ローン問題」から、金融市場では、「クレジット・クランチ(=信用収縮)」が発生。世界同時株安となった。
米国は、ドルの公定歩合を引き下げる措置を採った。

こういった与件の変化から、『円金利の引き上げは、「先送り」されるだろう』と、マーケットのコンセンサス(合意)は変化した。直前の予想では、円金利据え置きは、大多数を占めた。

円の政策金利据え置きが発表されて、マーケットには、安心感が広がった雰囲気。印象としては、「納得」。

世界同時株安には、当然に、日本株の下落も含まれている。
そういった意味では、日本の株安に配慮して、円金利の引き上げを先送りした感は、否めない。
確かに、これで、一時的な緊急避難策としては、正しいのだろうが、「本末転倒」の印象も残る。
金融政策としての円金利政策が、『単なる株価対策』として使用されている感覚が残るからだ。
もちろん、資本主義なのだから、株価はそのバロメーターとして重要だし、その意義を否定しない。
しかし、円金利の異常な低金利政策が、さまざまな『歪み』を作り出したことを考えると、どうも、釈然としない。

例えば、現在の、世界同時株安を引き起こしたのは、米国ヘッジ・ファンドが、株を売ったのが、主な原因と言える。
 そのヘッジ・ファンドは、円金利が異常に低利であることを『奇貨(きか)』として、「円キャリー・トレード」を行ってきた。それが、現在の金融市場に『歪み』を作った。

『歪み』が大きくなり過ぎて、その根源的なところを、---円金利が異常に低利であることを、---矯正できなくなっている、といった印象が、どうしても残る。

「ゼロ金利政策」にしても、「超低金利政策」にしても、緊急避難的対応策だったのに、それが、長期間にわたったので、いつの間にか、「そういうものだ」「それが当然だ」と、なってしまっている。

こう書いていくと、『麻薬の常習性と同じ』、と、気付く。
 不景気を脱却するためのカンフルとして、『覚せい剤(超低金利)』を使用した。
使用した当初は、それが、『劇薬』であること、そして、『カラダをムシバムこと』を理解していた。「できる限り、早く止めなければ・・・」という常識が、最初はあった。
しかし、いつの間にか、それが、当たり前になってしまった。

カラダのどこかに、異常があるのだけれど、日々の変化は、目に見える程ではないので、
どこに異常があるのか、わからない。
 本人も、異常に気付いていない・・・。周りから見ても、わからない・・・。
しかし、『覚せい剤(超低金利)』が無いと、禁断症状が出てくる。
周り(米国&欧州)も、いま、当人(日本)に寝込まれると、困るので、黙っている。

『覚せい剤(超低金利)』をやっているのは、当人(日本)の責任だから、余計なことを言って、やめられたら、自分たち(米国&欧州)にも影響がある。

 でも、その『ツケ』は、突然やってくる(気がします・・・)。



[為替随想] 2007年08月17日
「質への逃避」

 「サブプライム・ローン問題」が、最近のマーケットでの注目となっています。
 今年の前半に、上がってきた問題ですが、ここにきて、再浮上しています。

現状のマーケット(金融市場)では、「サブプライム・ローン問題」が、「質への逃避」を引き起こしました。

「質への逃避」の一環として、外国為替市場では、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が惹起されています。

そういった意味では、「サブプライム・ローン問題」が、引鉄(ひきがね)ですが、マーケットは、動き出してしまえば、原因や理由は、さほど問題ではありません。

ここにきて、外国為替市場では、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」そのものが、テーマになってきています。

現在の「質への逃避」のバロメーター(メルクマール:指標)は、株式市場(各国の株価)になっており、株価の上下動で、為替レートが右往左往しています。
 つまり、株価の動きで、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が加速されたり、さらに、その買戻しが起こったりしています。

「質への逃避」について、説明をしておきましょう。
「質への逃避」は、英語の"Fly to quality"を和訳したものです。

金融市場が混乱して、先行きに対する不安が著しく高まったとき、リスクを避けるために、より安全性(信用度)・流動性(換金性)の高い投資対象を求めて取る行動を指して、「質への逃避」と言います。
投資家の不安心理が高まると、相対的にリスクが低く流動性が高い投資対象へ資金をシフトする傾向があります。
「質への逃避」の具体例としては、次のようなものがあります。

●エマージング市場(新興国市場)から先進国市場へ資金をシフトすること
●為替変動リスクを回避するために、資金を自国の金融商品へシフトすること
●株式投資から債券投資へ資金をシフトすること
●社債や住宅ローン担保証券などから国債へ資金をシフトすること

 現在の外国為替市場では、「サブプライム・ローン問題」が金融市場の信用不安を引き起こし、為替リスクを回避する動きが出てきています。

金融市場の信用不安に対して、8月9日、FED(米国の中央銀行システム)は、240億ドル(約2兆9000億円)の資金供給を実施。8月9日のECB(欧州中央銀行)が、950億ユーロ(15兆4000億円)の資金供給。8月10日の日銀の資金供給が、1兆円。
緊急の資金供給としては、"September11"の時より多いらしい。
その後にも、緊急の資金供給を、各国中銀が実施しています。

「株価の急落は、問題だが、そんなに重大問題なのか?」
何だか、訳が、わからないから、余計に不安になる。

そう考えると、世界の金融システムが、震撼する程の損失が、「サブプライム・ローン問題」で、積み上がっているということか?

各国の中央銀行が、明確な説明をしないと、かえって、リスク回避(質への逃避=Fry to Quality)を惹起する(=引き起こす)という結果になっています。




[為替随想] 2007年08月10日
サブプライム・ローン問題

 「サブプライム・ローン問題」が、最近のマーケットでの注目となっています。
 今年の前半に、上がってきた問題ですが、ここにきて、再浮上しています。

 サブプライム問題とは、「サブプライム・ローン」をめぐる、米国金融機関の信用不安問題のこと。
 米国には「サブプライム・ローン」という、ローン(貸付)があります。これは、信用力の低い顧客に高金利で融資するものです。住宅ローン、育英ローン、自動車ローン、結婚式ローンなどがあります。
「サブプライム・ローン」の焦げ付きが原因で、住宅金融関連の金融機関が破綻するのではないか、といった噂が2007年3月に浮上しました。
そして、実際その直後に、米国サブプライム・ローン大手のセンチュリー・ファイナンシャルの財務見通しが悪化、ニューヨーク証券取引所は「債務不履行を理由に、上場廃止の手続きを始めた」と発表しています。

 金融機関の破綻は、社会的な信用不安を与えます。
 3月中旬の米国株式市場では、「サブプライム・ローン」をめぐる懸念を背景に株価が急落しています。

 米国は政策金利(ドル金利)の引き下げを実施して、金融システムの不安をぬぐう、といった政策を採るのではないか、といった憶測が金融マーケットで広がっているようです。

 『この問題が解決できるのか?』
それが、多くの市場参加者の関心です。しかし、それは、正直なところ、わかりません。
 わからないから、不安が広がり、株価が急落しました。
 漠然とした不安心理が、マーケット(金融市場)に広がっています。
 解決できるのか、できないのか、誰にもわからない、状況が続いています。
 もちろん、個人的には、解決してほしい問題ですし、解決のために、米国はさまざまなこと(政策)を行うだろう、と考えられます。

 サブプライム問題は、米国の信用問題ですから、外国為替市場では、「ドル売りの材料」になります。
 この問題が、長引けば、潜在的な米国信用不安も継続することになり、ドルに対する投資(対米投資)の意欲が減少します。
 現在の米国は、その巨額の貿易赤字を、海外からの対米投資で補っている図式、と言われていますが、それが崩れると、大幅なドル下落の可能性にもつながります。

 現在の外国為替市場では、「サブプライム・ローン問題」の再燃から、「リスク回避」の思惑が広がり、このところ活発だった「円キャリー・トレード」を解消する動きにつながっています。
 そのため、7月下旬以降のドル/円、クロス円は、下落傾向(円高傾向)を示しています。

「サブプライム・ローン問題」そのものが、「円キャリー・トレード崩壊」の原因になることはないかもしれません。しかし、そのきっかけになる可能性は、十分にあります。



[為替随想] 2007年08月03日
「損切り」の原則

外国為替市場に臨んで、誰にとっても難しいのは「損切り」でしょう。

「損切り」のポイントは、簡単には説明することが難しい問題(テーマ)です。
何かしらのポジションを取る場合には、それが、外貨取引であろうと、株式・債券・商品であろうと、その取引をする人の「思惑」に過ぎません。
「相場に絶対」はありません。ですから、思惑が当たってうまくいくときもあれば、思惑が外れて損をすることもあります。
思惑が当たった場合は問題ありません。利食ってもいいし、放っておいてもいいのです。利益になっているのだから、考えなくてもいいのです。
思惑が外れて損になった場合には、考えなければいけません。「含み損」を抱えても、まだ、そのポジションを保有し続けるかどうか。その場合に、「どこまでの損失を認めるのか」を考えるべきです。
相場の思惑が当たる確率は、3割〜7割程度(要するに半々)なのですから、本来は、ポジションを取る際に、考えておかなければならないことなのです。
損切りのポイントを、自分の資金繰りの都合で決めてはいけません。そうした場合は、必ず、損切りは実行(エグゼキュート)されます。
このままでは、何を言っているのかわかりづらいと思います。もう少し説明を加えましょう。
たとえば、「50万円の損失が出たら、それ以上、負けたくないので、ストップ・ロス・オーダー(損切りの注文)を入れておこう」と考えて、最大損失の50万円を、保有しているポジションで「割り算」をして、損切りのレートを計算します。
こういった、自分の都合で計算した損切りは、必ず、エグゼキュートされる。そういう意味です。

では、損切りのポイントは、どこに置けばよいのでしょうか?
チャートで分析して、明確なチャート・ポイントの外側(10ないし20ポイント外側)に、ストップ・ロス・オーダーを置き、他者に預けることです。
自分でストップ・ロス・オーダーを見ない方がいい、と考えています。
意志の強い人ならば(自制心の強い人ならば)、自分でストップ・ロス・オーダーを見ていても、そのレートがきた際に、きちんと損切りを敢行できるでしょうが、多くの人は、自分でストップ・ロス・オーダーを見ていて、そのレートが近づいてくると、ストップ・ロス・オーダーを変更したくなります。
どんなに意志の強い人でも誰でも、そういう気持ちは理解できるでしょう。ですから、他の人にストップ・ロス・オーダーを見てもらうのがいいのです。
ストップ・ロス・オーダーは、オフしない(キャンセルしない)。
こういった、的確なストップ・ロス・オーダーは、エグゼキュートしてから、再度、相場を考えればいいのです。
やはり、同じポジションを持とう、と判断したならば、ストップ・ロス・オーダーがついてから(損切りをしてから)「売る」なり「買う」なり、同じポジションを作ってかまいません。
そこで発生する手数料などは、微々たるものです。
そのような些細なことが気になるのならば、自分が相場に向かない性格であることをきちんと認識して、今後も相場に参加するかどうかを考えた方がいいでしょう。



為替随想2007年7月27日
サブプライム・ローン問題を材料に、ドル売りが広がる

7月下旬になって、ニューヨーク市場では、サブプライム・ローン問題を材料に、ドル売りが広がった。
 サブプライム・ローン問題は、「米国へ投資されている資金の引き上げ」を促している。

リスクを回避する、つまり、ヘッジ(Hedge)の意識を高めている。
ある種の"Fly to Quality"(質への逃避)が起こっている、と考えている。
 このところ、活発に、拡大していた円キャリー・トレードのアンワインド(買戻し)が出て、「円買い」は加速した。

7月上旬には、123円台にあったドル/円は、7月下旬の東京市場で、一時、120.00を割り込み、119円台後半を見ている。
7月25日の東京市場では、市場がオープンして、すぐに[120.00]を下に抜けた。安値は、今のところ、[119.75-85]レベル。

ドル/円の水準が変わったのだが、外国為替市場には、積極的動意が薄い印象が残る。
手が出ていないのか?
 市場参加者の危機意識(リスク感覚)にかけるのか?
 はたまた、やる気がないのか?

現状は、「円キャリー・トレード」のアンワインド(巻き戻し・解消)が出ているのだから、もう一段の円高が進む可能性もあると見ているが、実は、重要なポイントは、[120.00]よりも、[119.50]と考えている。

すでに、[120.00]は、割り込んだ。もともと、[120.00]は、テクニカル分析では、さほど重要ではないと考えるが、『きりのよい数字』で、多くの市場参加者が注目するレート。
 だから、注目度が高いという意味で、「チャート・ポイント」と呼んでもよいが、いずれにせよ、『完璧に』下に抜けたので、もう、[120.00]には意味はない。

[120.00]よりも重要なポイントである[119.50]に注目している。

しかし、「夏休み相場」で、市場参加者が薄くなってきている。特に、海外市場で、そのセンチメント(やる気の無さ)を感じる。

「閑散に売り無し」といった相場の格言があるが、ドル/円(USD/JPY)が、120円台、119円台後半を見ても、動意が薄い、と感じる。

個人的には、[119.50]を割り込むようならば、「ドル売り」でついて行く必要を感じるが、
目先のマーケットは、閑散の中、鈍い値動きになるのではないか、といったところ。

今回の、ドル/円が下落した際のポイントは、121円台後半ないし121円台ミドル程度で、ここを下に抜ける場合は、「夏休み相場」でもあるし、ドル円のロングは撤退した方がよい、といったポイント。

121円台で、逃げそびれている場合は、(売りそびれている場合は、)[120.80]アラウンドが、セカンダリー・ポイントであった。

両ポイントを逃した場合は、今すぐに損切りを敢行したほうがよい、と考える。

円キャリー・トレードを行なってきた向きは、「いったんの利食い」を行なって、利益を確定しておく方が良い、と考えている。「夏休み相場」(市場参加者の極端に少なくなる時期の相場)に備えることも、重要と考えています。

(2007年7月26日記述)



為替随想2007年7月20日
【外国為替レート】は何を意味するか

外国為替取引が、他の取引と比べて、最も特徴的なことは、【通貨】と【通貨】の交換取引であるということです。ここが(それが)、こんがらがる最大の理由です。
【通貨】と【通貨】の交換取引であるということは、即ち、「対価」対「対価」の取引になるわけです。
そして、【外国為替レート】は何を意味するかと言うと、『その通貨間の交換比率』を表すことになります。
例えば、通常の表現方法で、『ドル=125.00円』としましょう。
この場合、『外国為替レートの表示』としては、以下の表現は、いずれも同じことを意味しています。

●1ドル=125.00円
●10ドル=1250.00円
●500ドル=62500円
●ドル/円=125.00円

■円=0.008ドル
■円/ドル=0.008ドル
■100円=0.8000ドル
■50000円=400ドル

前者は「対ドルの円価格」、後者は「対円のドル価格」と読み取れます。

外国為替レートは、【通貨】と【通貨】の交換比率ですから、表現方法に違いがあっても、実は、「対ドルの円価格」=「対円のドル価格」になります。
ですから、「対ドルの円価格」も、「対円のドル価格」も実質的な意味・内容は同一のことです。
【ドル/円】といった場合は、『ドルに対しての円価格』になります。
これに関しては、【ドル/円】といった場合は、『ドルを円価格で表示したもの』になります、と表現した方がわかりやいかな、とも思います。

言葉で表現すると、ややこしいのですが、外国為替取引で、【ドル円】、【ドル/円】といった場合は、【ドル÷円】という意味で、【ドル=125円】、【1ドル=125円】のように表示します。
【円ドル】、【円/ドル】といった場合は、【円÷ドル】という意味で、【円=0.008ドル】、【100円=0.8000ドル】のように表示します。

【ドル=125円】、【1ドル=125円】、【ドル/円=125円】
【円=0.008ドル】、【100円=0.8000ドル】、【円/ドル=0.008】

これらの表示は、事実上の内容は、全く同じことを表していますが、通常の【ドル】と【円】の取引は、【市場慣行】で、【ドル=125円】、【1ドル=125円】、【ドル/円=125円】の形式で表示されます。
ですから、外国為替取引において、通常の【ドル】と【円】の取引は、【ドル】というものを、【対価の円】で取引しています。

ところが、―――『ところ変われば、品変わる』といったことで、―――シカゴの先物市場(CME=シカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジ)では、【100円=0.8000ドル】の形で取引が行われています。
この場合は、【円】というものを、【対価のドル】で取引していることになります。

ところで、Aという市場参加と、Bという市場参加者が、【ドル】と【円】を取引する場合に、Aは【1ドル=125.00円】の表示形式で取引を行なおうとし、Bは【100円=0.8000ドル】の表示形式で取引を行おうすると、【1ドル=125円】と【100円=0.8000ドル】が同じ為替レートにもかかわらず、わかり難く、混乱が生じます。
どちらかに表示を統一しなければ、取引ができません。

通貨取引(外国為替取引)で、わかり難く、混乱が生じるということは、取引に間違いが生じて実損が生じることですから、それを避けるために、自然発生的に【市場慣行】というルールがあります。
通常の、市場慣行に従うなら、BがAに合わせて、【1ドル=125.00円】の表示形式に統一して取引が行なわれます。



為替随想2007年7月13日
日銀の利上げは、7月でも8月でも同じこと

 4月中旬から6月初旬の、それまでのユーロ/ドルは、概して、[1.3400-1.3700]のゾーンでボックス相場を形成しており、調整局面が続いていた。この調整は、[1.3700]を上にブレイクできなかったことによる「ユーロの下落調整」。
 その後、ユーロ/ドルに関しては、[1.3400]を『完璧に』下に抜けたことで、「調整局面」が続いていることが、再確認された状況となった。
 ユーロ/ドルは、[1.3350]程度で膠着。
 6月中旬に、ユーロ/円が、161円台ミドルにまで下落する際に、[1.3300]を割り込んだが、ユーロ/ドルの下落は、加速せず。結果的に、[1.3300]を挟んだ小動きが続いていた。
 しかし、それだけではなく、ユーロ/ドルが、[1.3400]を割り込んでも、底堅かったのは、[1.3400]を買っていた同一人物が、[1.3300]でも買っていただけ、と考えている。
 どこかの国が、外貨準備の比率を変更しているのだろう。
 あるいは、どこかの機関投資家が、ポートフォリオをドルからユーロにシフトしているのか?
『規模を考えると、その複合かな?』と、考えている。
ユーロ/ドルは、この時点で、「調整局面」にあったが、「ユーロ高」のトレンドは、壊れていない、と考えている。だから、最終的には、「ユーロ買いドル売り」を行なう必要がある、と考えていた。

7月10日時点で、東京市場でのユーロ/ドルは、1.36台前半。7月10日のロンドン市場で、一歩前進して、1.36台ミドルに上昇した。ユーロ/ドルのチャート・ポイントであった[1.3700]に、注目していたが、7月10日のニューヨーク市場の午前中に、上に抜けた。
ユーロ/ドルのチャート・ポイント[1.3700]を上に抜けたことで、「ユーロ買いドル売り」のシグナルを付けた。

この時点で、ドル/円も下落気味なので、「ドル売り」に動いており、マーケット全体に、「ドル安」といった整合性もある。
 ドル/円の下落は、ユーロ/ドルで、ドル売りとなったための、「つれて、ドル売り」。
「クロス円などでの円買い」の影響もあって、7月10日のニューヨーク市場の午前中に、[122.00]を割れ、121円台後半まで急落した。
7月10日のニューヨーク・クローズから、日付が替わった、翌日(7月11日)のシドニー市場で、再び[122.00]を割り込んだ辺りを攻めた。短時間で、ドル/円は急落して、[121.00]割れまで1円の下落を見ている。
ユーロ/ドルの上昇のスピードより、ドル/円の下落スピードの方が、速くなる可能性もある。その場合は、クロス円は、下落する。

そのケースになる場合は、円金利引き上げが、材料視されるかも知れない。

日銀の政策委員会・金融政策決定会合では、7月は、参院選を控えて、円金利を据え置き、参院選の結果はどうであれ、8月に利上げを実施するのではないか、といった見方が一般的。
7月に円金利引き上げが実施されても、不思議ではないが、市場にとってみれば、7月に利上げが実施されれば、意外感があるだろう。

仮に、7月12日の日銀会合で、据え置き、となっても、8月の利上げが確実ならば、マーケットは、先読みする。短期金利市場は、先読みした金利で、取引をするだろうから、経済的効果は、事実上、同じになる。
7月に円金利引き上げがあれば、それなりに「サプライズ」はあるのだろうが、7月でも、8月でも利上げが確実ならば、事実上、大差無し。効果は、同じことだ、と考えています。

(2007年7月11日東京時間17:00記述)



[為替随想] 2007年07月06日
参院選が、外国為替相場に与える影響は軽微

 7月になって、防衛大臣が、その発言の責任を取って辞任しています。このニュースは、参院選にも大きな影響を与えることでしょう。
 安倍政権になって、辞めたり、自殺した大臣は、3人です。
 年金問題も紛糾しています。
 参院選の争点はたくさんありそうです。

 しかし、それでも、参院選の結果がどうであれ、外国為替市場に与える影響は、軽微だと、考えています。
 もっと、はっきり言えば、今回の参院選は、外国為替相場には、関係ない、と考えています。
 それは、言い過ぎだ、というご意見もあるでしょう。しかし、現実を、直視すれば、今回の参院選で、自民が負けようが勝とうが、衆院での自民多数には、何も変化は無いのです。
 参院選の結果で、自民が大敗をすれば、総理大臣が変わる可能性もありますが、それを含めても、外国為替市場に与える影響は、軽微だと、考えています。

 それに、今回の選挙で、「前回の衆院選のような、自民大勝」を予想しているでしょうか?  あるいは、事前に予想していたでしょうか?
 さすがに、今回の参院選は、「自民が負けること」が前提で、『その負け具合がどの程度であるのか?』がテーマなのではないでしょうか? あるいは、テーマだったのではないでしょうか?
 つまり、『自民が負けることは、すでに、マーケットでは「織り込み済み」の状態』と、言える、と考えています。

 念のために、加筆しておきますが、私は、どこかの政党を、特に応援したり、どこかの政党の足を引っ張るつもりは、全くありません。
 主義主張が無い訳ではありませんが、今回の参院選が、マーケット(外国為替市場・FX市場)に与える影響を、冷徹に見ているだけです。
 マーケットで生き残るには、現実をとらえた、冷徹な、現状分析が一番大切と信じるからです。

 日本の政治(選挙など)は、その結果が出た時の瞬間風速だけで、たいして影響も無いから、過大に評価してはいけない。ましてや、今回は参院選。世界経済には、関係無い。

 そうは言っても、 自民が負ければ「円売り」の材料にしたがる人もいることでしょう。
 しかし、自民が、負けようが、万一、勝とうが、その影響は、ほとんど無いに等しい。
 残念ながら、日本の政治など、世界の人々は、注目していないからです。
 そういった意味では、日本人は、自意識過剰といえます。だから、日本の参院選は、外為市場に関係無い。

 それでも、いかにも、さもありなん、といった「ご意見」を言いたがるコメンテーターは、腐る程、これからも、出てくることでしょう。参院選が近づけば、なおさらです。
 日本の政治が、世界から、相手にされないのは、 個人的には、誠に、残念至極の感に堪えないのですが・・・。

 しかし、海外の投資家は、日本の選挙が、何の影響もないことに賭けていることでしょう。

 米国の二大政党の名前くらいは、世界中の、誰でも知っていることでしょう。
 それを、知らずに、外国為替市場に参加していたら、かなり危険。
 最近は、そういう人も、多いのではないかと、心配していますが……。

 しかし、日本の政党の名前を知っている人は、海外市場に、どれくらいいるでしょうか?
 それは、知らなくとも、当然だし、知らなくとも、困らない。だから、知る必然性がないことだからです。



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